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【消費税アップ 暮らし賢く】お得で楽ちん、「中食」に注目

2019/9/29 19:25

 総菜や弁当など調理された料理を持ち帰って食べる「中食」。消費税率が10%となる明日からは、いっそう注目されそうだ。外食は10%だが、持ち帰れば軽減税率が適用されて8%になって「お得感」がある。共働きやシニアの世帯を中心に、「手軽でおいしい」の魅力は増すばかり。少し手を加えれば、栄養のバランスや見た目が良くなることも知っておきたい。

 9月下旬の週末、広島市南区の会社員宮崎天音さん(45)宅のテーブルに、すしや唐揚げ、焼き鳥の盛り合わせが所狭しと並んだ。どれも回転ずし店やファミリーレストランで持ち帰ったり、スーパーで買ったりしたものだ。この日は、長女と同じ保育園に通う子のいる4家族とのホームパーティー。月に2、3回開くが中食は欠かせない。

 魅力は、とにかく楽なことだという。十数人分の料理を手作りするのは大変だ。かといって、外食は高くつく。買った総菜を持ち寄るのが、ちょうどいい。「わが家の味がみんなの口に合うか、見栄えはどうかと気を使わなくていい。万一いまいちでも、言い訳できます」と笑う。

 さらに「外で食べると子どもが騒ぐのが気になるけど、家なら気兼ねしません」とも言う。増税後はますます、外食の機会が減りそうだ。

 パーティーに限らず、日常の食卓でも、共働き世帯にとって中食は欠かせない存在になりつつある。中区のイタリア料理店マリオエスプレッソ袋町店は6月から、テークアウトできる商品の種類を約4倍に増やした。5年前に比べて利用者は倍増。子連れの母親や仕事帰りの女性たちの利用が目立つという。小林英利店長(43)は「仕事や子育てをしながら毎日食事の支度をするのは大変。少しでもニーズに応えられたら」と話す。

 シニア世帯も「お持ち帰り」に軽減税率が適用されるのを歓迎する。広島県坂町で妻と2人暮らしの自営業西谷勝国さん(74)は最近、食卓にもう一品を加えるため、総菜を買うことが増えたという。年を取ったせいか、妻が作る夕食はレパートリーが限られてきたが、無理は言いたくない。

 自身も料理するが「材料が多かったり、火を使ったりするおかずは私も妻も面倒になってね」。この日は仕事の帰り道、JR広島駅(広島市南区)の駅ビルアッセ内の「お持ち帰り専門店餃子家龍」で好物のギョーザを手にした。「老後の生活には不安もある。10月からも8%はありがたいです」

 中食の市場規模は、年々拡大している。日本惣菜協会(東京)によると、2018年のスーパーマーケットなどで売られる総菜の市場規模は10兆2518億円で、09年からの10年間で20%以上伸びた。ただ、この中にはハンバーガーなどのファストフードやファミリーレストランといった外食産業の持ち帰りは含まれない。実際には、さらに大きな需要があるとみられる。

 同協会の大隅和昭事務局長は「この10年で、手作りしないのは『手抜き』という消費者の罪悪感が薄らいだ。増税でテークアウトを選ぶ人が増え、いっそう市場が活性化しそうだ」と期待している。(福田彩乃、標葉知美)

 ■総菜アレンジ

 スーパーや飲食店で買った総菜は手軽な半面、栄養バランスが偏ったり味が濃かったりしがちだ。一手間加えることで栄養のバランスもアップし、見た目もよくなる。親子向け料理教室を主宰する管理栄養士の栗栖貴子さん(37)=広島市東区=に、簡単にできる「総菜アレンジ」の技を教えてもらった。

 3人の子育て中という栗栖さん。「忙しい時は、買った総菜に冷蔵庫にある野菜や薬味を加えると、手作り感とボリュームを出せます」と助言する。例えば、中身をくりぬいたトマトに市販のポテトサラダを入れて枝豆を飾る。すると、ビタミンCやE、カリウムが補える。見た目もかわいらしく、子どもも喜んで食べてくれるという。

 冷蔵ピザとタレ付きの焼き鳥を購入し、青ネギ、チーズをトッピングして焼けば、かさ増しもできて立派なランチになる。最後に刻みのりを散らせば、カルシウムや食物繊維をプラスできる。「その総菜と何を組み合わせるか考えるのも楽しい。わが家の人気アレンジが見つかるといいですね」と話していた。

この記事の写真

  • 宮崎さん(左から5人目)宅でのホームパーティー。「持ち帰り」メニューが並ぶ(広島市南区)
  • 「お持ち帰り専門店餃子家龍」で総菜を買う女性(右)=広島市南区
  • 市販のポテトサラダをくりぬいたトマトに入れてアレンジ

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