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認知症の犬を猫が介護 東広島のペンネーム晴さん、記録を本に

2019/10/12 20:14
しのを背中で休ませるくぅ。しのはほっと一息

しのを背中で休ませるくぅ。しのはほっと一息

 認知症になった犬を献身的に介護する猫の物語が話題になっている。東広島市のペンネーム晴さん(43)が、家で飼う2匹の日常を会員制交流サイト(SNS)でつづった「くぅとしの」。歩行サポート、添い寝、フェースケア…。約220枚の写真とともに、愛情あふれる姿が本になった。

 ▽添い寝に腕枕… 最期までみとる

 雌犬のしの(体重7キロ)は2011年6月、晴さんが仕事から帰宅途中に保護した。推定10歳。首輪がきつくなっており、首回りから胸、腹までただれた状態だった。雄猫のくぅ(同5キロ)は12年11月、晴さんが保護。まだ子猫で、顔はダニだらけ。前歯は溶けて、なかったという。

 2匹の交流は、庭にいたしのにくぅが一目ぼれしたのがきっかけ。引っ越しを機にともに室内飼いとなり、仲良くなった。

 ただ、穏やかな日々もつかの間だった。14年秋、しのがけいれんを起こして倒れ、認知症とみられる症状が本格的に出始めた。家具の隙間に挟まり、壁にぶつかる。まっすぐ歩けず、円を描くようにぐるぐる回る。次第に耳も遠くなった。

 晴さんが段ボールで囲いを作ると、くぅの介護が始まった。しののペースに合わせて歩いたり止まったり。しっぽで誘導しながら休みなく約30分間付き添った。自分の背中にしのの顎を乗せて支えもした。

 17年夏、しのは自力で起きることも横になることもできなくなる。懸命に介助したのもくぅだった。添い寝をし、毛繕いして、おやすみのキス。2、3時間ずっとそばにいる日も多かったという。そして18年3月7日、しのは旅立った。

 晴さんのインスタグラムへの投稿は約7万9千人にフォローされ、「心が温まる」「犬にも認知症があると知った」などのコメントが寄せられている。

 晴さんは元介護士。それだけに「相手が誰であれ介護は本当につらい。3年半、くぅが助けてくれた」と感謝する。「犬も猫も老いていき、病気にかかる。最期までみとる大切さを知ってもらえたら」

 「くぅとしの」(辰巳出版)はA5変型判、112ページ。1320円。(小林正明)

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  • 2匹の寄り添う姿をつづった本を手に、くぅを抱く晴さん(東広島市の自宅)
  • 顔をくっつけるだけでいい日もある
  • しのを腕枕するくぅ。これが最後の介護となった

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