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視覚障害テーマ 漫画に共感の輪 広島県在住うおやまさん連載中「ヤンキー君と白杖ガール」

2019/11/1 19:21
書籍「ヤンキー君と白杖ガール」

書籍「ヤンキー君と白杖ガール」

 広島県在住の女性漫画家うおやまさんが描く視覚障害がテーマの漫画「ヤンキー君と白杖(はくじょう)ガール」(KADOKAWA)が、障害の有無を超え若い世代からも共感を呼んでいる。キュンキュンするラブコメディーの主人公は、弱視の女子高校生と不器用な不良少年。キャラクターの「生きづらさ」が、読者を取り巻く社会とどこか重なるようだ。

 主人公の赤座ユキコ(16)は、色がぼんやり分かるくらいしか見えない。よく見える「フツウの人」に対してコンプレックスを抱くが、不器用で純粋なヤンキーの黒川森生(18)に出会い、少しずつ心を開いていく。ユキコを通じて黒川は、視覚障害者が何に困り、どんなときに社会から拒まれていると感じるかを知る。一方、ユキコは目の見える人の中にも、黒川のようにうまく社会に溶け込めない人もいると気付く。

 2018年6月に漫画投稿サイトで連載を始めた。作品を掲載する三つのインターネットサイトの閲覧ページ数の合計は、10月に1500万を突破。「フツウって何か考えさせられた」「いろんなひとがいるって教えてくれる」などのメッセージが寄せられる。登場人物たちが抱える弱さや、社会への葛藤が、読者の心に響いている。

 ユキコ、黒川以外にも「気付いたら、心に何か抱えている人ばかり登場させていました」とうおやまさん。いじめが原因で対人恐怖症になった黒川の子分のハチ子、元ヤンキーで同性愛者のシシオ、「障害者の姉」として生きてきたユキコの姉イズミ…。「私にとって社会の枠からはみ出ている人の方が普通に感じられるからかも」と笑う。

 自身も子どもの頃から、集団になじむのが苦手だったという。多くの時間を漫画を描いて過ごした。大学卒業後、非正規で働きながら約10年の下積み期間を経てプロデビューした。結婚の経験はなく、「世間の『こうでないと幸せじゃない』の枠から、だいたい外れて生きてきました」。

 視覚障害をテーマにしたきっかけは父だった。30代で網膜剥離になり、現在は右目が失明、左目は視野が通常の4分の1になっている。そんな父がいるうおやまさんにとって「見えない世界」はごく身近なものだった。

 だから、見える人を基準につくられた社会が視覚障害のある人にとっていかに不便かがよく分かる。例えば、1巻に出てくる「セルフレジ」。人件費削減のために導入が進むが、視力の弱い人や高齢者には使いづらい。

 障害の有無にかかわらず生きづらさの原因は、実は「社会」にあるのではないか―。作品には、そんな思いを込める。今後、ユキコを就職させるか進学させるか悩み中という。「回を追うごとに知りたいことが増える。ユキコが、私の視野をどんどん広げてくれているようです」。取材で広島県立広島中央特別支援学校(広島市東区)を見学したり、障害者雇用の資料を集めたりと忙しい日々を送る。(標葉知美)

    ◆

 作品はウェブサイト「ニコニコ静画」などで月2、3回公開され、最新作は59話「恋と友情(1)」。今年に入って単行本の1、2巻が刊行され、視覚障害者向けの音声データにもなった。今月22日に第3巻が発売される。

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  • (C)うおやま/KADOKAWA
  • (C)うおやま/KADOKAWA

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