くらし

廃線観光、レトロな秋 鉄路、トロッコや駅舎カフェ

2019/11/2 20:06
旧JR三江線の鉄路を使い、口羽駅周辺を走るトロッコ(島根県邑南町)

旧JR三江線の鉄路を使い、口羽駅周辺を走るトロッコ(島根県邑南町)

 廃線になった鉄路や駅舎が、中国地方各地で新たな観光スポットとして生まれ変わっている。トロッコが走ったり、おしゃれなカフェになったり。周囲の豊かな自然やレトロな雰囲気を生かす。いよいよ紅葉シーズン。懐かしさを感じながら廃線巡りを楽しもう。

 ガタンゴトンと列車さながらの音を立て、2両編成のトロッコ型車両が疾走する。バッテリー式の電気モーターで動き、時速約15キロとスピード感がある。運行する場所は、昨年春で廃線になったJR三江線の口羽駅(島根県邑南町)。住民有志たちでつくるNPO法人江の川鉄道が、地域おこしのため昨年から走らせている。

 トロッコが第2口羽トンネル(約390メートル)に進入すると中は真っ暗。通り抜けた先には江の川のせせらぎが広がった。10月半ば、両親と3人で乗車した広島市安佐南区のパート宮原千佳さん(33)は「トンネルはスリルがあり、冒険しているみたい」と喜んだ。

 口羽駅を起点に、周辺1・1キロをトロッコで往来する取り組みは今季、9月から月1回開催。最終回の11月は、9、10日の午前11時〜午後1時と午後2〜4時に4便ずつ計8便を有料で運行する。事務局の吉田悠生さん(27)は「山の木々が赤や黄に色づき、景色が美しくなってきた」と話す。

 邑南町を夕方に訪れるのなら、地上約20メートルにあることから「天空の駅」とも言われた宇都井駅がお薦めだ。11月22、23日の午後4時から8時半までイルミネーションで彩られる。

 カフェとして活用されている駅舎もある。広島市安佐北区のJR可部線・旧安芸飯室駅だ。2003年で廃線になってから長年活用されてこなかったが、住民が15年秋から土日限定で毎週オープンする。名前の「Romui(ロムイ)」は「飯室」を反対に読んだ。

 木造平屋で築80年以上の駅舎の待合には、手作りの雑貨や、取れたて野菜などがずらり。駅員室にはテーブルといすが置かれ、食事や喫茶を楽しめる。週替わりランチ(800円)のメニューは、カボチャグラタン、トウガン汁、カボスそうめんと、旬の農作物をふんだんに使う。30メートル余り残った線路は、木製の手作りトロッコを引いて遊べる。

 「待合室に掛かる看板も当時のままで、懐かしい」と話すのは、高校への通学で駅を使っていた区内の会社員徳丸みづゑさん(42)。米粉パンや角ずしを目当てに、次男佳浩ちゃん(4)を連れてたびたび訪れる。

 Romuiの免田洋子代表(59)によると、県外の鉄道ファンやドライブの途中に立ち寄る人など、多い日は約100人が訪れるという。

 舗装されて幅約4メートルの回遊路に変身したのは、1990年に廃止された倉敷市の下津井電鉄児島―下津井駅間(6・3キロ)だ。愛称は「風の道」。照明が整備され、サイクリングやウオーキングを楽しむ人でにぎわう。区間にある7駅にはホームが残っており、高台にある鷲羽山駅周辺からは瀬戸大橋や島々などの絶景が望める。(桜井邦彦)

この記事の写真

  • 旧安芸飯室駅のホームで食事を楽しむ人たち(広島市安佐北区)
  • 手作り雑貨が並ぶ旧安芸飯室駅の待合室(広島市安佐北区)
  • 「風の道」として、舗装された元鉄路。サイクリストたちが集う(倉敷市提供)

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