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排せつケアグッズを上手に使おう 在宅介護の味方、生活に合わせて

2019/11/7 21:10
おむつの多彩なサンプルを示し「人によって使い方もタイプも変わってきます」と話す米山さん(総社市)

おむつの多彩なサンプルを示し「人によって使い方もタイプも変わってきます」と話す米山さん(総社市)

 在宅介護に携わる家族にとって、おむつやトイレなどの排せつケアは切実な悩みだ。体の衰えや認知症が進むとケアの負担は増しかねない。そんなとき、どんなノウハウや心掛けが必要なのだろう。最近はおむつや尿の吸水パッドの種類も増えている。上手に使って、ケアする側、される側のストレスを和らげたい。

 ■総社の米山さん「悩み、相談を」

 総社市でデイサービスの事業所を営む米山明美さん(51)は、「おむつフィッター」の肩書を持つ。京都市の排せつ用具の情報館「むつき庵(あん)」が認定する民間資格だ。2014年に「ミニむつき庵ぬっく」と名付けた相談所も事業所内に開設した。排せつケアの困り事に電話やメールで相談に乗り、家族を訪ねてアドバイスすることもある。

 ▽夜間の対応難しく

 相談で多いのは、夜中の排せつの悩みだ。おむつを脱いだり破いたりして布団や部屋が尿で汚れる。認知症が進行して室内のあちこちで便をする―。厚生労働省が主導した在宅介護実態調査(17年)でも、要介護3以上の人を介護する家族の4割近くが「夜間の排せつ」「認知症状への対応」の不安を挙げている。

 「今やっているケアの見直しから始めてほしい」と米山さん。利尿剤などの薬をいつ飲むと昼間に尿が出るのか。食事の内容や時間帯は適切か…。生活リズムの改善は、夜間の排尿・排便の回数や量を抑える上でポイントになる。

 要注意なのは、尿や便の漏れを防ごうと、おむつにパッドを何枚も入れるケースだ。「暑く、ごわごわして気持ち悪くなる。おむつを脱いだり破ったりするのも理由があるんです」。そこを見直してケアの負担が和らぐことは少なくない。

 おむつを使うかどうかの見極めも大切という。はくのが恥ずかしく、落ち込んで気力や体力が衰える高齢者もいる。生理用ナプキンなどを使ってきた女性よりも、男性の方がおむつを受け入れない人が多い。

 ただ、夜中に何度も起こしてトイレに行くと、眠りが浅くなって尿が出やすくなる。そんなときは、おむつを思い切ってはくことでぐっすり眠れ、抗利尿ホルモンの働きによって排尿の回数が減ることもある。

 ▽200種類のサンプル

 おむつも吸収力や通気性がアップし、肌にも優しくなるなど進化している。おしゃれな色のおむつや下着にさりげなく吸水パッドを付けたタイプもある。米山さんは約200種類のサンプルをそろえて紹介している。

 総務省の調査では、介護や看護を理由に離職した人は17年、全国で約9万9千人に上った。「どんな悩みも抱え込まず、相談してほしい」と米山さん。中国地方のおむつフィッターとの連携も進めており、「家族それぞれの介護力を高めてもらえるようアドバイスしていく」と力を込める。ミニむつき庵ぬっくTel0866(95)2805。

 ■おむつずれ防止バンド考案 福山の松井さん、父介護の経験生かす

 父親を介護した経験から生まれた排せつケアの用具がある。福山市で食品卸会社を営む松井利光さん(48)が考案した、おむつのずれ防止バンドだ。靴下のような伸縮性のある素材を使い、ワンタッチで外れるホックも取り入れている。

 松井さんの介護は2011年から始まった。父親はパーキンソン病を患い、認知症も進んだ。要介護度は最も高い「5」。夜中、家の中をはい回り、尿や便をする。掃除とおむつ交換に追われる日々は、父親が亡くなるまで5年間続いた。

 「母もいたが、父の体を動かすのも難しい。私がやるしかなかった」。訪問介護を頼んだものの、24時間態勢とはいかない。会社を休業し、介護ヘルパーの資格も取って両親を支えた。

 介護から約1年後、おむつに薄いゴムを巻いてみると、はだけることなく便の処理ができた。これをヒントに開発を進め、広島県などの助成金も得て16年秋に商品化した。「助さん」と名付け、1個3080円で販売している。

 介護・福祉用具の開発に特段の規制はないが、国などは安全性や身体拘束にならないことなどを求めている。県立広島大の長谷川正哉教授(41)=義肢装具学=は「利用者の生活の質(QOL)に影響しないか、介護する人に有用か。多くの用具の中から選ぶ力を持つことも大切」と指摘する。

 松井さんも「必要とする人に使ってもらいたい」と話し、こう願う。「介護に疲れて、家族の絆を傷つけてほしくないんです」(林淳一郎)

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  • おむつのずれ防止バンドの使用方法を説明する松井さん(福山市)

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