くらし

住民支え合うデイホーム 庄原、民家など70カ所

2019/11/14 18:53
「癒しの家 苫屋」の保村さん(左から2人目)が見守る中、ボールを使ったゲームを楽しむ利用者(庄原市本村町)

「癒しの家 苫屋」の保村さん(左から2人目)が見守る中、ボールを使ったゲームを楽しむ利用者(庄原市本村町)

 ゲームや体操、食事などを楽しみながら、高齢者が半日ゆったり住み慣れた地域で過ごす。庄原市の住民たちが民家などで開く「デイホーム」は、地域版デイサービスともいえるユニークな活動だ。介護施設の職員不足が懸念される中、高齢者の暮らしを住民同士でどう支えていくか。そのヒントがデイホーム活動にありそうだ。

 ▽ゲーム・体操・合唱…高齢者の「したいこと」後押し

 田畑が広がる庄原市本村町。10月末、商店の居間に近くの80、90代の女性6人が集まった。地元のNPO法人「癒しの家 苫屋(とまや)」が週1回開くデイホームだ。

 朝の血圧チェックから始まり、さいころやボールを使ったゲームに歓声が上がる。スタッフ手作りの昼食を味わい、午後は腕や膝の体操タイム。芥川幸枝さん(89)は「頭も体も元気になるんよ」とほほ笑んだ。

 元市保健師で苫屋の副理事長、保村深雪さん(63)たちが利用者とおしゃべりしながら活動メニューを考える。心掛けるのは「ちょっとの支え」。手工芸が好きな人もいれば、ゲームなどの勝負事に意欲を見せる人もいる。「その人がしたいことを私たちが少し後押しする。うれしく、楽しい気持ちになると体も自然に動くんです」

 2017年に苫屋を結成した。介護保険サービスは必要だが「至れり尽くせりで利用者が『お客さま』になると、生きる意欲を奪いかねない」と保村さん。してあげるサービスじゃなくて、望む暮らしの伴走を―。そんな思いで活動を始め、同市西城町でも週1、2回開いている。

 利用者は2カ所で計30人余り。年会費1万2千円のほか、1回参加するごとに千円と昼食代500円が要る。買い物を代行するサービス(千円)もある。苫屋の13人が運営し、手伝ってくれる住民を含めてスタッフは還暦を少し過ぎた「アラ還」世代が中心だ。

 「活動はアラ還世代のためでもあるんです」と保村さん。仕事の一線を退いても孤立せず、どう生き生きと年を重ねていくか。「私たち自身も老いについて学び、受け入れていく。そういう場でもあります」

 こうしたデイホーム活動を市も補助金で支える。19年度は34の住民団体が約70カ所で開いているという。

 同市東城町の東町自治振興区が運営する「100円サロン」は、役員の市議近藤久子さん(71)宅が会場だ。20人ほどの高齢者が100円と昼食用の米1合、箸を持参する。スタッフが旬の食材をふんだんに使った昼食を作り、合唱を楽しみ、時には防犯について学ぶ。06年からほぼ月1回のペースで開き、今年10月で95回目を迎えた。

 近藤さんたちが力を入れるのは「SOSを出せる関係づくり」だ。高齢者の元気がないとき、認知症の兆しを感じたとき、気付きを家族に伝える。活動を始めて13年。長く続けてきた成果なのか「ご近所付き合いの『敷居』が低くなってきた」と感じている。

 厚生労働省も介護予防を掲げ、高齢者サロンなど住民運営の「通いの場」づくりを促している。団塊の世代が75歳以上になる25年、介護職員の不足が全国で約33万7千人に上る推計などが背景にある。広島県内の通いの場は今年6月末で1460カ所に上り、ここ3年で4倍に増えている。

 通いの場の活動について県立広島大の高木雅之講師(38)は二つのポイントを挙げる。高齢者が熱中できる活動になっているか。さらに、通い続けたいと思える人間関係を築けているか。

 利用者の希望を聞き、歌や将棋などのグループに分かれて進めるのもいい。手芸が得意な高齢者が先生役を務めたり、全員で食事を作ったりするのもやりがいにつながる。「受け身にならないよう役割分担し、心地よい場になる工夫をしてほしい」と呼び掛ける。(林淳一郎)

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  • 「100円サロン」で近藤さん(左端)と合唱するお年寄り(庄原市東城町)

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