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神楽女子的、通の楽しみ シーズン本番、見どころは舞台の外にも

2019/11/17 19:54
舞台の本番前、前長さん(左)にエールを送る西尾さん。演技中の工夫は見逃さない(広島県北広島町)

舞台の本番前、前長さん(左)にエールを送る西尾さん。演技中の工夫は見逃さない(広島県北広島町)

 五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈る神楽。秋は、神社での奉納や秋祭りなど舞台が相次ぐ。最近は若い女性ファンの姿も目立ち、お気に入りの団員がいる人も増えている。広島で出会った「神楽女子」たちに楽しみ方を教えてもらった。

 ▽推しメンにエール

 11月初旬、広島県北広島町であった神楽の大会。広島市西区の大学3年西尾梨菜さん(21)は、母と妹と舞台を見つめていた。お目当ては、中学生の頃から「追っかけ回している」という北広島町の中川戸神楽団。一つ一つの舞が美しく、みやびやかで見とれる。

 西尾さんの「推しメン」の一人が団員の前長直哉さん(29)だ。この日は、美しい女性から鬼へと変わる役を演じた。「誰かに注目していくつかの公演を見ると、演技中の工夫や公演ごとの微妙な違いに気付きやすくなります」と勧める。

 前長さんは役の心境によって声色を変えたり、すごみを加えたりと、絶妙な変化が見事という。面をかぶっていても、所作や声のトーンで顔が変わったように見えて「ぐっときます」。

 ▽記念撮影や団員と会話

 舞い手だけでなく、はやしにも耳を傾けたい。出雲市から駆け付けた会社員山田やよいさん(50)は、横田神楽団(安芸高田市)で大太鼓を奏でる増田和也さん(41)に心を奪われた。「声がよく通り、太鼓の音にも張りがある。胸が熱くなる」と力を込める。

 鑑賞中の山田さんの座席は、たいてい前から5〜7列目の中央。ここなら舞台の全体が見渡せて、細かな所作も見える。太鼓の音も体に響くように感じられ、お薦めという。

 演目が終わった後も、気は抜けない。公演によっては団員がついさっきまで着ていた衣装を羽織れるし、団員と直接話せる。4月から12月まで毎週水曜日に定期公演を開く広島県民文化センター(広島市中区)では、公演後に記念撮影と衣装体験ができる。

 月1回ほど訪れる広島市南区の会社員女性(32)は、まだ熱気の残る衣装に袖を通し「こんな重いのを着て舞うなんて」と毎回感動するという。団員に声を掛けるのも忘れない。「演目の歴史や練習の様子を聞けば、理解が深まりもっと楽しめます」と助言する。

 ▽結婚式の衣装に

 刺しゅうが美しい神楽の衣装も、鑑賞ポイントの一つだ。結婚式で着たいと願う声も聞こえる。そんな「神楽ウェディング」の後押しを、女性ファングループ「ひろしま神楽女子」は目指している。

 きっかけは4年前。安芸高田市観光協会職員で、神楽団員と結婚した住田希さん(31)の前撮りや結婚式をプロデュースした。住田さんは人気演目「紅葉狩」の衣装をまとって挙式し、ファンの間で話題になった。

 ひろしま神楽女子の代表で、ブライダル関連の仕事をする須美ひろ江さん(51)は「希望者と神楽団などをつなぎ、人生の節目を彩るお手伝いができたらうれしい」と願う。

 秋が過ぎても、見どころは続く。12月には多くの神楽団が、一年の締めくくりに「太刀納め」を舞う。まずは近くの舞台へ出掛けてはいかが。(福田彩乃)

この記事の写真

  • 中川戸神楽団の舞台で演じる前長さん(右端)
  • 公演後、衣装を着て記念撮影する来場者。団員との会話も楽しめる(広島市中区の県民文化センター)
  • 結婚の記念に神楽の衣装を着て撮影した住田さん(右)。きらびやかな刺しゅうが目を引く=2015年、安芸高田市(住田さん提供)

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