くらし

アレルギー児に災害時の備えを 三原の患者家族ら呼び掛け

2019/11/24 19:48

 大規模災害の時、アレルギーの子どもたちをどう守っていくか。食べ物や水が限られる中で症状が悪化すれば、命にかかわる恐れもある。この秋も台風や大雨の甚大な被害が全国で相次いだ。三原市などの患者家族グループは、昨年7月の西日本豪雨の被災経験から「日頃の備え」を呼び掛け、アレルギーへの理解を求める活動に力を入れている。

 ▽被災SOS

 三原、尾道市などの39家族でつくる「三原アレルギーの会ひだまり」。西日本豪雨では被災直後から非会員を含めて計22件の「SOS」が届いた。

 当初はアレルギー対応食の入手についての問い合わせが多く、やがて肌着を求める声が増えたという。長引く断水で入浴もままならず、アトピー性皮膚炎が悪化したためだった。SOSに応えるため支援拠点を設置。全国から寄せられる物資の配布に取り組んだ。

 「災害時はどうしても慌ててしまう。私もいろいろ忘れ物をしました」と副代表の矢島恵子さん(42)=三原市。豪雨で自宅近くの沼田川や支流が氾濫した。食物アレルギーの長女(6)と長男(3)を連れて高台の友人宅に身を寄せたが、着替えや1日分の食料など最小限のものを持ち出すのが精いっぱいだった。

 ひだまりは2年前、矢島さんが「患者家族が孤立せず、つながる場を」と結成した。国民の2人に1人は何らかのアレルギー疾患があるといわれている。それでも周囲の理解が進んでいるとはいえない。

 全国の患者会と情報交換する無料通信アプリLINE(ライン)には、今年10月中旬に東日本を襲った台風19号の被災地からSOSが入った。「アレルギー患者を把握できない」「炊き出しをどうすれば」…。発信者は避難所のスタッフがほとんどという。炊き出しも、使った食材を表示するなど患者に配慮した支援はまだ少ない。

 「患者家族は遠慮して声を上げないことが多いんです。みんな大変なんだからと思って」と矢島さん。家族でどう備え、地域の理解も得ていくか。「災害はいつ起こるか分からない。私たちが身をもって学んだことを多くの人と共有していきたい」と力を込める。(林淳一郎)

 ■食品や薬3日分 お守りリュック

 ▽持ち出し品

 「これで3日分です」。矢島さんが非常時の持ち出し品を詰めたリュックサックを開けた。名付けて「お守りリュック」という。

 レトルト食品、ほこりを防ぐマスク…。避難所などで誤食しないよう「食物アレルギーがあります」と書いたベストもある。全部で15種類ほど。さらに普段から使う薬や急性アレルギー症状に備えた自己注射薬のエピペン、緊急連絡先を記したカードも入れておく。

 「自宅にまとめておくと安心です。できれば保育所や学校でも預かってもらいたい」と矢島さん。災害は自宅で親子一緒のときに起きるとは限らないからだ。

 専門医の治療も大切な備えになる。矢島さんの長女は五大食物アレルゲンの卵や牛乳、大豆、小麦、米が食べられなかった。1年半の治療で西日本豪雨の被災時は生卵を除いて克服できていた。

 最寄りの専門医は、日本アレルギー学会(東京)のホームページ(https://www.jsaweb.jp/)で検索できるという。矢島さんは「診断を受けて、安全に食べられる量を確認しておくのも大事」とアドバイスする。

 こうした備えを市内外のイベントや、ひだまり主催の防災講座で呼び掛けている。今年6月、西日本豪雨で困ったことなどを記録集にもまとめた。「一人で悩まないでほしい。普段からのつながりを大切にしましょう」。矢島さんたちはそう促している。ひだまりのメールallergyhidamari@gmail.com

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