くらし
91歳「笑」撃の自撮り 熊本の西本さん「72の手習い」自由な発想
そのユニークな発想は、どこから生まれるのだろう。熊本市で暮らす91歳のアマチュア写真家、西本喜美子さんの作品は、遊び心があふれる。ごみ袋に入ったり、物干しざおにつるされてみたり。自虐的ともいえる自撮りポートレートが、はつかいち美術ギャラリー(廿日市市)で開催中の写真展でも人気を集めている。
熊本市指定の可燃ごみ袋に首まですっぽり入った西本さん。悲しそうな表情で写ろうとしても、おかしくてつい笑ってしまい、何度もリモコンシャッターを切ったという。「自分も年だから捨てられても仕方ないけど、庭でやれば収集車に持って行かれないでしょ」と笑う。
物干しざおに掛けたジャンパーに身を通すと、「カビが生えないよう自分を虫干し」するつらさをにじませる。そうかと思えば、天使の装いで宙に羽ばたき、鳥とおしゃべりする作品はおとぎの国にいるようで楽しそう。表情の七変化を「女優さんみたいですね」と聞くと「えっ、誰が? 冗談でしょ」ととぼける。
西本さんはブラジルで7人きょうだいの次女として生まれ、8歳で帰国。20歳で美容院を始めた。競輪選手として旅する弟2人がうらやましく、競輪選手に転身し、結婚後は3人の子を育てた。六十の手習いというが、写真との出合いは72歳。アートディレクターの長男、和民さんが熊本や広島など7都府県で開く写真講座「遊美塾」の門をたたいた。
「写真が上手じゃないので、面白おかしい方に逃げちゃった」と謙遜する。でも実は幻想的なオブジェの写真も得意だ。空中浮遊の演出やスピード感を表すぼかしも、パソコンですいすい加工できる。何より本人が「思いつき」と言う自由な発想の自撮り写真は、見る人を楽しませる。3年前に開設したインスタグラムのフォロワー数は、22万人に迫る。
写真を始める前までは友達が少なく趣味もなかった。今は遊美塾の若い仲間が家によく遊びに来て「きみちゃん」と愛される。7年前に夫を亡くし、1人暮らし。家で晩酌はしないが、いざ出掛けると仲間とバーで日をまたいで飲む。最近は、梅酒ハイボールをちびちび楽しむのがスタイルだ。
大勢の友達と好き嫌いのない食事が「長生きの秘訣」と本人も認める。腰が悪く、押し車やつえが欠かせないが「写真が好きで好きで、寝たきりになっても天井を撮っているでしょ。120歳、いやいや130歳まで」(桜井邦彦)
■廿日市で写真展
写真展は22日まで。午前10時〜午後6時。一般600円、大学生500円、65歳以上300円、高校生以下無料。中国新聞社など主催。月曜休館。はつかいち美術ギャラリーTel0829(20)0222。
新型コロナウイルス予防で増えた家での時間、お気に入りの香りをふわっと広げて心地よく暮らす人もいる。リラックスしたいときや集中したいときなどにぴったりの香りもある。春、気持ちを新たに生活を始めたい人に...
国内でも接種が本格化する新型コロナウイルスワクチン。「急ごしらえのようだけど安全性は大丈夫?」「そもそもどんな仕組みで予防できるの?」など、さまざまな疑問があるだろう。ウイルス学が専門の広島大大学院...
▽大人の装い 微糖スタイルで
最近盛り上がっている高級食パンブーム。もちもちしっとりした食感と上品な甘みが人気で、広島市内でも専門店が増えている。そのまま食べてもおいしいが、アレンジするとさらに楽しみが広がる。安佐南区のフードコ...
移植医療の発展などに貢献した広島大名誉教授の土肥雪彦(きよひこ)医師(85)=広島市佐伯区=が「自己治癒力を目覚めさせる土肥メソッド」(南々社)を出版した。「自分が病気を治す」と思い込んでいたという...