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91歳「笑」撃の自撮り 熊本の西本さん「72の手習い」自由な発想

2019/11/30 20:01
「息子や仲間たちの支えで写真を楽しめる。私は本当に幸せ者」と笑顔で話す西本さん=廿日市市(撮影・天畠智則)

「息子や仲間たちの支えで写真を楽しめる。私は本当に幸せ者」と笑顔で話す西本さん=廿日市市(撮影・天畠智則)

 そのユニークな発想は、どこから生まれるのだろう。熊本市で暮らす91歳のアマチュア写真家、西本喜美子さんの作品は、遊び心があふれる。ごみ袋に入ったり、物干しざおにつるされてみたり。自虐的ともいえる自撮りポートレートが、はつかいち美術ギャラリー(廿日市市)で開催中の写真展でも人気を集めている。

 熊本市指定の可燃ごみ袋に首まですっぽり入った西本さん。悲しそうな表情で写ろうとしても、おかしくてつい笑ってしまい、何度もリモコンシャッターを切ったという。「自分も年だから捨てられても仕方ないけど、庭でやれば収集車に持って行かれないでしょ」と笑う。

 物干しざおに掛けたジャンパーに身を通すと、「カビが生えないよう自分を虫干し」するつらさをにじませる。そうかと思えば、天使の装いで宙に羽ばたき、鳥とおしゃべりする作品はおとぎの国にいるようで楽しそう。表情の七変化を「女優さんみたいですね」と聞くと「えっ、誰が? 冗談でしょ」ととぼける。

 西本さんはブラジルで7人きょうだいの次女として生まれ、8歳で帰国。20歳で美容院を始めた。競輪選手として旅する弟2人がうらやましく、競輪選手に転身し、結婚後は3人の子を育てた。六十の手習いというが、写真との出合いは72歳。アートディレクターの長男、和民さんが熊本や広島など7都府県で開く写真講座「遊美塾」の門をたたいた。

 「写真が上手じゃないので、面白おかしい方に逃げちゃった」と謙遜する。でも実は幻想的なオブジェの写真も得意だ。空中浮遊の演出やスピード感を表すぼかしも、パソコンですいすい加工できる。何より本人が「思いつき」と言う自由な発想の自撮り写真は、見る人を楽しませる。3年前に開設したインスタグラムのフォロワー数は、22万人に迫る。

 写真を始める前までは友達が少なく趣味もなかった。今は遊美塾の若い仲間が家によく遊びに来て「きみちゃん」と愛される。7年前に夫を亡くし、1人暮らし。家で晩酌はしないが、いざ出掛けると仲間とバーで日をまたいで飲む。最近は、梅酒ハイボールをちびちび楽しむのがスタイルだ。

 大勢の友達と好き嫌いのない食事が「長生きの秘訣」と本人も認める。腰が悪く、押し車やつえが欠かせないが「写真が好きで好きで、寝たきりになっても天井を撮っているでしょ。120歳、いやいや130歳まで」(桜井邦彦)

 ■廿日市で写真展

 写真展は22日まで。午前10時〜午後6時。一般600円、大学生500円、65歳以上300円、高校生以下無料。中国新聞社など主催。月曜休館。はつかいち美術ギャラリーTel0829(20)0222。

この記事の写真

  • ゴミ袋に入って、つらそうな表情でパチリ
  • 物干しざおで「虫干し」。うっかりと左手に持ったリモコンまで写してしまった
  • 天使になって宙を舞い、鳥とおしゃべり

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