くらし
SNS犯罪から子ども守る 大阪小6女児誘拐事件、家庭での対策は
会員制交流サイト(SNS)をきっかけに犯罪に遭うリスクから、子どもたちをどう守ればいいだろう。大阪市の小学6年女児誘拐事件でも、女児が男と知り合い、連れ出されるのに使われたのはツイッターだった。家庭で取り組める対策を2人の専門家に聞いた。(福田彩乃)
■ツールを活用 利用制限、親がリスク管理
「子どもが自分の意思でSNSの利用を控えることを期待しても限界があります」と情報教育アナリストの長谷川陽子さん(55)=松江市=は指摘する。SNSがもはや生活の一部になりつつあるからだ。「それよりも利用を制限できるツールをフル活用することが大切です」と強調する。そうすれば、リスクに出合う確率を初めから抑えられる。
例えばツイッター。大阪市の小学6年の女児(12)が男に連れ去られた事件では、第三者には非公開でやりとりできる「ダイレクトメッセージ(DM)」が悪用された。
しかしツイッターには、許可していない人のDMは受け取らず、自分の投稿も見せない状態にできる設定がある。長谷川さんは「子どもを安全なコミュニティーにとどめる基本技。高校生でも設定した方がいい」と勧める。他のSNSにも、実際に会わないとアカウントを交換できなかったり、アップした写真の「位置情報」を非表示にしたりできる機能が備わる。
携帯各社が提供するフィルタリングサービスも、併せて使いたい。有害サイトへのアクセスやSNSの利用を制限できる。「スマートフォンを持たせる以上、最低限の条件として、この機能も活用して」と長谷川さん。その上で、普段は親がスマホを管理し、数時間だけ子どもに貸したり、アプリは親がダウンロードするルールを設けるのもいい。
警察庁の統計によると、2018年にSNSが原因で犯罪に遭った18歳未満の子は1811人。5年前の約1・4倍に当たる。使い方次第で、誰でも危険にさらされ得る。
ツールで子どもを守るには、子どもの使うSNSの種類や内容を親がよく理解しておくべきだ。ツイッターやインスタグラムなど13歳未満の利用が禁じられているものがあることも知った上で、一定の年齢になってから使うよう促すことも必要だ。
また、どんな危険があるか分かっていれば、子どもへの注意も具体的にできる。「子どもは、学校の制服が写った写真やクラブ活動の話題から個人が特定されると知らない。親子でSNSの画面を見ながら、何がどう危険なのか話し合ってみてください」
■思春期には 干渉し過ぎず、落ち着いて
子どもがSNSに没頭していたら、どう対処すればいいだろう。広島国際学院大(広島市安芸区)の学生相談室カウンセラー永川邦久さん(68)は「やめるよう感情的に怒るのは逆効果。落ち着いて話せる環境をつくって」と助言する。
「なんでスマホばかり見るの」という言葉は、責めるようで反発を招きやすい。「肌身離さず持ってるね。どうしたの」と穏やかに聞く。会話が続けばSNSのリスクを伝える。反応が良くないなら「うるさく言って悪いんだけど」などと断り、「大事な話がある」と切り出すといい。
ただ、理想通りに接するのは難しい。子どもの態度にいらだつことも少なくないだろう。そんなときは「子どもは放っておき、自分もいったん席を外しましょう」と永川さん。時間を置いて少し落ち着いたら「子どもの反抗期は必ずあるし、いつか終わる」と自分に言い聞かせて、子どもに向き合うといいという。
思春期を迎える10代は、もともと親とのコミュニケーションが取りにくい時期でもある。説教や細かな詮索はなるべく控えたい。うまく付き合うこつは「当たり前の声掛け」だと永川さんは力を込める。「おはよう」「おかえり」「ご飯できたよ」…。そんな日常の会話を続ける。
本来、思春期は親の代わりに友達と交流して成長する。しかし、最近は友達に嫌われるのを恐れ、無理に相手に合わせて疲れる子が多い。親まで声を掛けなくなれば、SNSにしか居場所がないと感じてしまう子どももいる。ネットに潜む犯罪者の甘い言葉を信じかねない。
子どもに干渉し過ぎず、気には掛ける。そんな距離感がちょうどいいと永川さんは言う。「親自身、とがっていた時期があったはず。昔の自分を思い出しながら、根気強く付き合うことが大切です」
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