• トップ >
  • くらし >
  • くらし >
  • 暖海の魚、意外と味よし 瀬戸内海で増加傾向 外見・臭いで敬遠しないで

くらし

暖海の魚、意外と味よし 瀬戸内海で増加傾向 外見・臭いで敬遠しないで

2019/12/7 19:28
ダブルで掛かったイソベラを掲げる荒谷さん(山口県周防大島町)

ダブルで掛かったイソベラを掲げる荒谷さん(山口県周防大島町)

 えっ、この魚って食べられるの? 瀬戸内海で釣りをしていると、温暖化のためか、九州や四国の暖かい海にすむ魚に出合い、戸惑う人も多いだろう。人気のブリなどは歓迎される一方、派手な色合いや独特の臭いから「まずい」と決め付けられた残念な魚たちもいる。その味は食わず嫌いなのか、うわさ通りなのか…。

 ホシササノハベラは通称イソベラ。ヌルヌルし、淡い赤や青色を帯びた熱帯魚風の体が特徴だ。最近は、広島近海の広い範囲で数が増えた。だが釣り人は「臭くてまずい」「そんな魚を持ち帰る人はおらん」と海へポイ。気の毒になるほどの嫌われようだ。

 だが、持ち帰って食べる食通もいる。カレイやキスを狙って釣りに出掛ける広島市東区の医療事務荒谷ゆかりさん(52)もその一人。南蛮漬けにしていただくという。「あんなに嫌がられるような臭みはない。血抜きして刺し身で食べる仲間もいますよ」と話す。

 日本釣振興会広島県支部長の小池勝さん(74)=広島市東区=は、瀬戸内海でイソベラを三十数年前に初めて釣ったという。「数が増え、最近はどこへ行っても釣れる。アイナメの卵を食うので逃がさず、なるべく料理して食べている」と持ち帰りを勧める。

 このほか、釣り人が増加を実感しているのは「グレ」の名で知られるメジナ、「バリ」と呼ばれるアイゴだ。

 メジナは近年、産卵できる成魚に育った30センチ超が瀬戸内海でも増え、45センチの大型も上がっている。深い青みの色とブルーの目が特徴。脂が乗り、刺し身にして食べると絶品だが、見慣れない人は食べるのを嫌がる。

 海藻を食べて磯焼けを招くとされるアイゴも、40センチ級が普通に釣れる。広島大大学院の海野徹也教授(56)=水産増殖学=は「最近は幼魚の群れも見られ、瀬戸内海で産卵、増殖している可能性が高い」とみる。

 アイゴは黄みがかった褐色に白い斑文があり、ひれに毒があるため、触れると腫れて激しい痛みが出る。海藻由来の独特の臭みが嫌われるが、煮付けや塩焼きなどで好んで食べる地域もある。釣ってすぐ、ひれをはさみで全部切り取り、はらわたを出しておくといい。

 ことしはこのほか、「メッキ」と呼ばれるアジの仲間の幼魚が広島に回遊してきた。廿日市市の港では10月半ば、何人もの釣り人の針に掛かった。瀬戸内海区水産研究所(同市)の重田利拓主任研究員(51)によると、これらはギンガメアジの幼魚。「なぜ現れたかは不明だが、広島ではとても珍しい」と解説する。

 今季はクロマグロが漁獲されたり、ブリやハマチが大量に回遊したりと、瀬戸内海の様子は様変わりしてきている。海野教授は「水温の上昇で、暖かい地域の魚がすみやすい環境になっているのは間違いないだろう」と指摘する。(桜井邦彦)

 ◇煮付けや揚げ物にお薦め

 広島酔心調理製菓専門学校(広島市西区)で西洋料理を教える玉澤雅宏さん(45)はイソベラについて、「煮付けや揚げ物にするとおいしい。捨てるのはもったいない」と太鼓判を押す。

 提案してくれたのはトマトパスタ。肉の代わりにイソベラをそぼろ風に混ぜ込む。こうすると、小骨の多さが気にならない。上品な白身の味わいは、釣り人たちの前評判を覆す。この魚は皮と身の間にうま味があるため、皮目を焼くなどして残した方が美味だ。

この記事の写真

  • イソベラのトマトパスタ
  • 玉澤雅宏さん

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

くらしの最新記事
一覧