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急発進防止へ心強い装置 アクセルとブレーキ踏み間違え、相次ぐ事故

2019/12/27 20:08
体験会で中野さん(左端)から装置の説明を聞く高齢者たち(呉市)

体験会で中野さん(左端)から装置の説明を聞く高齢者たち(呉市)

 アクセルとブレーキを踏み間違えて車を突進させる死傷事故が相次ぐ中、高齢者に心強い装置が注目を集めている。踏み間違えた時の急加速を抑えるもので、車に後付けできる。購入費を補助する自治体も出ており、国は本年度内にも全国一律の補助を始める方針。そうした動きが追い風になって導入が進みそうだ。

 ▽車に後付け可能 行政が補助の動き

 ピーピーピー…。運転席のダッシュボード右端に付けたセンサーの警告音が鳴る。アクセルを目いっぱい踏んでも車はゆっくりとしか進まない。呉市の野呂山で開かれた体験会で、ダイハツ工業の中野達也さん(32)は「万が一のときに、こういった装置が皆さんを守ってくれます」と高齢者に説明した。

 ▽超音波で検知

 この装置は、車種によって後付けすることができる。前後のバンパー計4カ所に500円玉ほどの円形ソナーを装着。超音波で前後3メートルほど先までの障害物を検知する。車の発進時や時速約10キロ以下での走行中にアクセルを強く踏むと、エンジンへのガソリン供給を減らし、急発進を防ぐ。

 体験会は、呉市老人クラブ連合会の若手部が、広島県警の協力を得て企画し、70、80代の28人が参加した。市内の川本正樹さん(70)は「踏み間違えた経験はまだないが、事故のニュースを見るたび心が痛む。防止に役立ちそうだ」と興味深く見入っていた。

 こうした装置は自動車メーカーの純正品のほか、カー用品店にもある。急発進を抑える狙いは同じでも、その仕組みは装置によって異なる。イエローハットモンテ吉島店(広島市中区)で販売中の商品は、運転手のアクセルの踏み込み方を装置に覚えさせ、低速での加速や減速時の踏み間違えに対応する。

 ▽子世代も相談

 同店で問い合わせが増えたのは、東京・池袋で乗用車が暴走し、母子がはねられ死亡した4月の事故後。高齢の運転者やその子ども世代からの相談が多い。

 踏み間違えによる事故は身近な場所でも多発している。広島県警によると、アクセルとブレーキの誤操作による県内の死傷事故は、2009年から今年11月末までに1524件だった。そのうち75歳以上が309件、20代が310件。高齢世代に限らず運転経験の浅い若者でも目立つ。

 そうした中、5万円前後する後付け装置をもっと広げようと、東京都は今年7月から費用の9割を補助する制度を導入した。中国地方でも鳥取県が11月から3万円の補助をしている。広島県内の自治体にはまだないが、朗報は国の補助制度新設の動き。年明けに補正予算が成立すれば、実施するという。

 経済産業省によると、対象は本年度中に65歳以上になるドライバー。障害物検知機能の有無によって4万円か2万円を補助する。ただ、鳥取県のように先行して始めた自治体では、二重支給になる可能性がある。同省は、利用者がどちらの制度を使うか選べるようにする方向で調整している。

 公的支援があれば、マイカーへの設置は今後増えるだろう。一方、鳥取県によると、補助を使って装置を購入した人は、導入1カ月で三十数件。想定よりやや少ないのも現実だ。「自分に限って、まだ大丈夫」という油断もうかがえる。家族が集う年末年始に、事故を防ぐ方策について話し合ってみてはどうだろう。(桜井邦彦)

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  • 後付けの誤発進防止装置(広島市中区のイエローハットモンテ吉島店)

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