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【この働き方、大丈夫?】第1部 われら非正規ワーカー<6> 読者から(下)再チャレンジを

2019/12/29 20:17
読者からLINEで届いたメッセージ(画像の一部を修整しています)

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 思ったような仕事に就けない。親の国民年金が「生命線」…。就職氷河期世代の嘆きに、「甘えてはいけない」という厳しい意見も届いた。自らの経験を踏まえて、再チャレンジへの手掛かりや提言を寄せた人もいた。(林淳一郎、ラン暁雨)

 ▽もっと切迫感を持つべき/専門家の力も借り一歩を

 連載3回目で、働く意欲はあっても仕事が見つからない40代男女の胸の内を伝えた。頼みは親の年金や遺産。こうした実情を、非正規で働く年上の世代は「同情できない」と冷ややかに見つめる。

 「自分と比べて甘えている」。そう憤るのは山口県内の50代女性だ。

 もともと事務職として勤め、出産後は清掃などの仕事を経験した。その中で見つけた割のいい日雇いの仕事を続ける。パソコンやスマートフォンも自分で買いそろえ、生活を紡いできた。「自虐的になっても何も変わりません。世間がどんなに変われば幸せになれると考えているのですか」と問い掛ける。

 広島市西区のパート男性(62)も「かわいそうだから雇ってくれと言っているみたいだ。会社は働いてくれる人材を見極めて判断する」と厳しい。「地道な努力の積み重ねをしないと。困っているのなら、もっと切迫感を持つべきだろう」

 「諦めないで」。同じ就職氷河期世代からは、実体験に基づく再チャレンジのノウハウが寄せられた。

 高齢者住宅の事務パートとして働く広島市佐伯区の女性(44)は、ハローワークの活用を勧める。面接の仕方や履歴書の書き方の指導で「お世話になった」という。事務職を希望する場合も「楽そうだから」ではなく、適職診断を受けて判断した方がいい。職業訓練でスキルを身に付ければ有利になる。

 女性は専門学校を出て正社員になった。ただ、サービス残業が続き、耐えかねて退社。その後の正規の仕事ではパートへの格下げなども味わった。「事務のプロ」を目指し、一から勉強したのがパソコンのスキルだった。「時代や社会のせいにしても仕方ない。もんもんとせず、専門家の力も借りて一歩を踏み出してほしい」と呼び掛ける。

 シニア層の就職を支援する広島市佐伯区の会社役員男性(44)は「求人票に仕事内容の手掛かりがあまりなく、ミスマッチになるケースがある」と指摘する。

 勧めるのは「事前に職場を見ること」。物流倉庫の勤務であれば、重さ何キロの荷物を扱うのか、職場は寒いのか暑いのか。「求人先につなぐだけではなく、その人に合う仕事をコーディネートできる仕組みづくりが必要」と訴える。

 ■臨床心理士の松井さんに聞く できることを積み重ね自己肯定

 自立できない就職氷河期世代の悩みを「甘え」と見る人もいるが、再チャレンジを支える現場では「叱咤(しった)激励」が必ずしも効果を発揮しないという。なぜなのか。広島地域若者サポートステーション「若者交流館」でカウンセリングに当たる臨床心理士、松井良枝さん(54)に聞いた。

 就職氷河期に苦しめられた世代と対話をして感じるのは、真面目で自分を責めてしまう人が多いことです。もう十分、自分を責めている。自信を失っている人には、思いや悩みを受け止めてくれる「心の安全基地」が必要です。気持ちを少しずつ打ち明けることで頭が整理され、将来に対して前向きになれるケースは少なくないのです。

 ブランクの長い人がいきなり正社員を目指すのは大変かもしれません。まずは自分ができそうなアルバイトや派遣の仕事に就く「スモールステップ」から。その積み重ねが自己肯定感を高めてくれるはずです。

 親子関係も大切です。「あんたは何をしても続かない」といった親の小言に傷つく人は多い。家族にまで否定されると逃げ場がなくなってしまう。「失敗しても大丈夫。とにかくやってみよう」と背中を押すことが、安心して再チャレンジできる環境への一歩です。

 ▽ご家族の悩み、お寄せください

 「子どもが正規の職に就けない」「親の年金に頼らざるを得ない」などの悩みを抱えるご家族や、結婚・出産に踏み切れない非正規ワーカーの皆さんの体験談をぜひお寄せください。匿名希望の場合も連絡先を教えてください。

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  • 松井良枝さん

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