くらし
【支えて楽しむ パラスポイヤー】<上>ブラインドマラソンのガイドランナー/5人制サッカー(ブラインドサッカー)のガイド
2020年の幕が開き、いよいよ東京パラリンピック(8月25日〜9月6日)が近づいてきた。パラスポーツは選手として挑戦するのも楽しいが、支え手として参加する醍醐味(だいごみ)もある。広島県内の多彩なサポーターの姿を追い掛けると、競技の面白さが見えてくる。国内で2回目の祭典があるパラスポイヤーに、ファンの輪は広がりそうだ。
▽「きずな」握り合いラン
外に出るのもおっくうになりがちという視覚障害者が白杖(はくじょう)を置いて走りだすと、たちまち躍動感がみなぎる。そんなランナーの喜びを、隣で感じ取れるのがガイドランナー(伴走者)である。
広島市南区の広島みなと公園であった「広島ランニングパートナーズ」の練習。視覚障害のあるランナーと伴走者が「きずな」とも呼ばれる輪っかを握り合ってスタートする。「段があります」「左に曲がります」。中区で喫茶店を営む東秀隆さん(56)もこの日、初参加の男性を誘導し、1時間ほど一緒に走った。
東さんは5年前、マラソン仲間に誘われて伴走者デビューした。最初は息を合わせて走るのは難しいと思っていた。だが、支えるはずの視覚障害者が逆に、伴走の仕方を教えてくれる。がぜん、面白くなった。
好みの歩幅や、曲がる方向を伝えるタイミングなどを尋ねると、次々と注文が来る。その掛け合いが楽しい。「2人で『走り』を作り上げていく感覚。大会に出て一緒にゴールした時は最高です」
目がほとんど見えず耳も聞こえないランニングパートナーズの大杉勝則代表(57)は「その土地の空気を感じながら、伴走者とリズムを刻むと爽快です」と笑う。5月には、東京五輪の聖火ランナーとして走る予定。ブラインドマラソンの魅力がもっと伝わることを願っている。
■伴走者が先にゴールは失格
視覚障害のあるランナーと伴走者が、手の振りや足の運びを合わせて走る。息もぴったり。まさに一心同体で駆けるのが、ブラインドマラソンの面白さだ。
伴走者の大きな役割は、コースの状況を伝えて安全を確保すること。どの距離や方向からも手の形を認知できない視覚障害の「クラス11」と、その次に重い「クラス12」の選手に付く。伴走者が選手を引っ張ったり、先にゴールしたりすると失格になる。
▽「シュート」見極め叫ぶ
「6、45(ゴールまで6メートルの距離で45度の角度)、シュート!」
相手ゴールのネット裏に陣取る「ガイド」が叫ぶと、アイマスクを着けた選手が力強いシュートを放った。ガイドは選手にゴールの位置を声で知らせるとともに、シュートを打てる瞬間も見極める。中盤の動きを指示する監督と、自陣近くの守備を動かすキーパーとともに選手の「目」となる存在だ。
広島市東区であった「アフィーレ広島BFC」の練習では、林由香さん(41)=佐伯区=が声を響かせていた。生まれつきほとんど目の見えない小学5年の選手健太君(10)のお母さん。1年生の時から練習に付き添ううち、声出しを手伝うようになった。最近は試合のガイドも任される。
「元気の余っていた息子に、何でも『危険』とストップをかけるのがかわいそうだったんです。健太が走り回っているのがうれしくて私もはまりました」。健太君は「お母さんは試合の時に『健太、早く行けぇ』って言って、ほかの人のガイドができていなかったよねー」とちゃかして笑う。
ユース世代の代表合宿にも参加し、将来のパラリンピック出場を目指す健太君。ボール扱いはめきめき上達している。シャカシャカとリズム良くボール音を立ててドリブルし、母親の声をめがけてシュートを放つ。
■鈴の入ったボールを使用
「ボイ」。選手がボールを奪うため相手に近づく時に出す掛け声だ。スペイン語で「行く」を意味する。鈴の入ったボールの転がる音、味方や相手の声などを頼りに得点を目指す。
アイマスクを着けた選手4人と、目の見えるゴールキーパーの計5人が、縦40メートル、横20メートルのコートに入る。両側にはフェンスが並び、跳ね返りも使える。
観客は静かに見守るのがマナー。得点が決まれば、大歓声で選手をたたえる。(文・衣川圭 写真・藤井康正、川村奈菜)
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