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北別府さん、病気つづる ブログに経過や克服への思い

2020/1/28 20:06
夏の高校野球の広島大会決勝戦で始球式の投手を務める北別府さん=2018年7月28日、尾道市のしまなみ球場(撮影・山本誉)

夏の高校野球の広島大会決勝戦で始球式の投手を務める北別府さん=2018年7月28日、尾道市のしまなみ球場(撮影・山本誉)

 「成人T細胞白血病」を20日に公表した野球解説者の北別府学さん(62)。広島東洋カープのエースとして活躍した北別府さんが病気の経過を報告したブログには、ファンからお見舞いの言葉が相次いでいるという。闘うのはどんな病気なのだろうか。

 ▽カープの日本一を見届ける為に必ずや復活

 北別府さんが病気を明かしたのは、コメンテーターを務める広島ホームテレビの番組だった。2年前の血液検査で判明し、昨年11月ごろから数値が悪化したことを伝え、「気持ちを一つにして治療したい」と語った。

 その日のブログのタイトルは「皆様へ」。病気のことをこうつづる。

 軽い風邪のような症状が昨年11月頃より続いているくらいで、白血病に見られるような体の怠(だる)さや発熱も全くありません

 診断がくだったあと、暫(しばら)くは何も手が付かない状態でしたが、年が明けてからやっと仕事の関係各位様にお知らせを済ませることが出来まして、それから少し気持ちも落ち着いてきました

 解説者としてカープの日本一を見届ける為(ため)に必ずや復活します

 孫にも野球を教えなければなりません

 鹿児島県出身で、都城農高(宮崎県)からカープに入った北別府さん。5回のリーグ優勝に貢献し、2012年に野球殿堂入りしたカープのレジェンドだ。ブログには「待っています」などのコメントがたくさん寄せられた。プロ生活で積み上げた213勝と絡めて「この病に勝ち、214勝☆」というものもあった。

 抗がん剤治療が始まった翌21日のブログでは、こう述べる。

 私の記事を読みドナー登録をしたと言うコメントもあり大変嬉(うれ)しく思いました(中略)この病気を克服できたら啓蒙(けいもう)活動を出来るかなと思う次第です

 24日も更新。ベッド上でマスクをした写真も掲載し、多くの激励に感謝した。体調は悪くなく、25日にはいったん広島市内の自宅に戻った。中国新聞「広場」への投書にも目を通している。取材にはこう答えた。「好き勝手に生きてきた自分に、これだけ励ましをいただき驚いている。同じ病気の人の情報も助かっている。完治したら、腹いっぱい酒を飲みたい」(衣川圭)

 ■成人T細胞白血病 広島赤十字病院・麻奥部長に聞く

 成人T細胞白血病は、白血病の中でも患者が少なく、ウイルス感染で起こる病気という。多くの白血病患者を治療している広島赤十字・原爆病院血液内科(広島市中区)の麻奥(あさおく)英毅部長に詳しく聞いた。

 ▽ウイルスが原因、長い潜伏期間 治療は骨髄移植が一般的

 遺伝する病気ではなく、「HTLV―1」というウイルスが原因という。感染者は九州に多く、全国で約110万人。感染者のうち発症するのは100人中5人ほどとされる。

 麻奥部長は「感染しても大半は発症しない。潜伏期間が長く、60歳前後の発症が多い」と説明する。広島赤十字・原爆病院では、白血病患者の約1%が成人T細胞白血病という。九州の病院では20%のところもある。

 感染のほとんどが母乳を通じた母子感染だ。妊婦の感染は2011年度から妊婦健診で調べるようになった。授乳の工夫で赤ちゃんへの感染の可能性を下げられることも分かっており、感染者は減っていくとみられる。麻奥部長は「感染力はとても弱く、日常生活でうつることはまずありません」と強調する。

 では、発症すればどんな症状が出るのだろうか。ほかの白血病と同じく免疫力が落ちるため、感染症にかかりやすくなる。病気が進むといろんな臓器に障害が現れる。

 あまり症状のないまま、健康診断で白血球の増殖が分かり、診断が付くことも少なくない。ほとんど症状のない「慢性型」「くすぶり型」の段階は、3カ月に1回ほどの血液検査で様子を見るだけでいい。北別府さんは20日のテレビ番組で、症状のないタイプだったが経過観察で悪化が分かったことを報告している。

 すぐに治療を始めないといけないのは「急性型」「リンパ腫型」だ。麻奥部長は「ほかの急性白血病は抗がん剤を使う化学療法だけで4割程度がよくなるが、成人T細胞白血病の場合は1割くらいと低い」と話す。

 このため、おおむね70歳以下の患者は、化学療法を数カ月から1年間して病気の勢いを弱めた上で、骨髄移植などをするのが一般的という。抵抗力が落ちるため、治療は無菌室でする。髪の毛が抜けたり、吐き気や下痢の症状が出たりする副作用もある。

 「新しい分子標的治療薬の登場や、積極的な移植で長期生存の割合は高まっています」と麻奥部長。骨髄バンクを介した場合は、半年程度でドナーが見つかるケースが多いという。

 北別府さんと同じく、この病気を公表した前宮城県知事の浅野史郎さん(71)は09年、骨髄バンクを介して骨髄移植し、大学での講義などに復帰を果たした。

この記事の写真

  • 北別府さんの1月24日のブログ=(C)Ameba
  • 成人T細胞白血病について説明する麻奥部長(広島市中区の広島赤十字・原爆病院)

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