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花粉症治療法広がる 広島大病院の竹野教授に聞く

2020/2/2 19:01
「医師と相談し、自分に合った治療法を見つけて」と話す竹野教授(広島市南区)

「医師と相談し、自分に合った治療法を見つけて」と話す竹野教授(広島市南区)

 くしゃみや鼻水、鼻づまりで「ああ集中できない」―。やっかいな花粉症だが、1日1回飲めばいい薬が登場するなど、治療の幅が広がっている。広島大病院耳鼻咽喉科(広島市南区)の竹野幸夫教授(57)に、最近の治療法について聞いた。(衣川圭)

 花粉症は、体を守る仕組みの「免疫機能」が過剰反応を起こす状態だ。スギやヒノキの花粉を体の中に取り込むうちに、花粉を異物と認識する体質になる。そうなると、花粉が入ったときにヒスタミンやロイコトリエンなどの刺激物質が作られ、くしゃみや鼻水などの症状が出る。

 毎年、症状に悩んでいる人は、花粉が本格的に飛び始める2週間ほど前から「初期療法」をしよう。眠くなりにくい第2世代の抗ヒスタミン薬を一つ使うのが一般的だ。竹野教授は「自覚症状のない時の炎症を抑えておくと、飛散のピークも比較的、楽に過ごせます」と説明する。

 症状が出始めても、軽いうちは1種類の薬を続ける。代表的なのはやはり、くしゃみや鼻水を抑える第2世代の抗ヒスタミン薬で、いろんなタイプが登場している。

 朝晩2回飲む「アレグラ」などはドラッグストアでも買える。2016年以降に発売された「ビラノア」「デザレックス」「ルパフィン」は医師が処方する薬で、1日1回飲めばいい。2年前には腕や胸に貼るタイプの「アレサガテープ」も登場し、薬の飲みづらい人も使いやすい。

 症状が強くなったら、1種類の薬では効きにくい。抗ヒスタミン薬を飲んでいる人は、鼻づまりを和らげる抗ロイコトリエン薬を加えたり、鼻に噴霧するタイプのステロイド薬を併用したりする。竹野教授は「点鼻のステロイド薬は眠くならず、仕事や勉強の能率が落ちにくいのがメリットです」。鼻づまりのひどい人には、鼻の血管を収縮させる点鼻薬を使って粘膜の腫れを取ることもある。

 さらに重症になれば、鼻の中の粘膜のひだをレーザーで焼いて症状を和らげる方法もある。外来で手術できるので、どんな薬でも眠くなる人に適している。昨年から重症の患者に、注射で投与する抗体製薬「ゾレア」も使えるようになった。ただ高額でもあり、厚生労働省は「最適使用推進ガイドライン」を作り、医療機関や対象患者を限定している。

 根本的に体質を変える治療法もある。スギ花粉のエキスを毎日、口に含ませ、花粉に体を慣れさせる「舌下免疫療法」だ。竹野教授は「3〜5年続ける必要はあるが、軽症なら症状が出なくなり、重症の人も薬を減らせます」と言う。花粉の飛散シーズン後の6月ごろから始めるといい。

 竹野教授は「生活環境などに応じて、いろんな治療ができるようになった。専門医の診断を受け、治療方針を立てましょう」と勧めている。

 ■スギのピークは3月上旬 中国地方、今季は例年の半分予想

 今季、スギやヒノキの花粉はどれくらい飛ぶだろうか。日本気象協会中国支店(広島市中区)の気象予報士筒井幸雄さん(59)は「中国地方ではスギとヒノキを合わせた量は例年の半分。昨季の3割にとどまる」と予想する。スギ花粉が連続して飛び始めるのは、例年並みの2月中旬という。

 飛ぶ量が減るのは、昨季の花粉が多かった反動と、花芽ができる昨夏の天候がやや不順だったためだ。ピークの予想は、スギ花粉が3月上旬、ヒノキが4月上旬。広島県では最近、ヒノキの花粉量がスギを逆転している。

 いつにない暖冬なのに、飛び始めが早くならないのはなぜか。気温の高さは花粉が早く飛ぶ条件の一つだ。ただ、今季は冷え込みがなく、低温に耐えた後に温かさで花芽が目覚める「休眠打破」が起きにくいため、結果的に例年並みになるという。

 全体量は少なくても、条件によって多く飛ぶ日がある。筒井さんは「高い気温と乾いた空気、強い風という条件がそろう日は特に気を付けて」と呼び掛ける。

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  • グラフィック・本井克典

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