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【この働き方、大丈夫?】夫婦で稼ぐ。育児もするよ 男子学生座談会

2020/2/25 20:10
イラスト・大友勇人

イラスト・大友勇人

 「就活売り手市場」といわれる中、今どきの若者たちはどんな結婚・仕事観を抱いているのだろう。かつての就職氷河期(1993〜2004年ごろ)と打って変わり、大学卒業者の就職率は8割に近い。順調に社会にこぎ出す広島市内の大学4年の男子4人に、それぞれの「人生設計」を座談会で語ってもらった。(林淳一郎、ラン暁雨)

 ■就職 ギスギスした職場は嫌

 A 6社受けて全部内定が出ました。不動産とかメーカーとか。本命の広島の会社に決めました。

 B 8、9社受けて4社から内定をもらいました。狙っていた地元の会社は準備が遅れて諦めていたけど、昨年夏に再募集があって。ラッキーでした。

 C 5、6社回って、ちょっと違うなと思ったところは途中で辞退しました。内定が出た地元の会社は結構、社員の人が優しくて。仕事はしんどいかもしれんけど、人間関係がギスギスした職場で働きたくないから。あと、中国地方から出たくない。

 D 僕は就活ゼロ。ポーランドに行くから。

 A、B、C えー、そうなの?

 D 3歳上の彼女がポーランド人なんです。広島に留学中に知り合って。向こうの大学で学びながらインターンシップの形で企業に入ります。いずれは自分の会社を持ちたい。

 ■結婚 600万円ためてから結婚

 B ぜひとも結婚したい。これまで女性との縁があまりなくて…。就職先で彼女を探さないと。駄目だったらどうしよう。

 C 僕はもうちょっと遊んで結婚は20代後半くらいで。経済力というか、貯蓄が足りんし。

 B やっぱ、いろいろお金がかかるから結婚は27、28歳。就職してすぐは自分のことで精いっぱいだと思う。ざっくり300万円ためられたら。

 A 僕は600万円ためる。広島で家を買いたいから。結婚するんなら28歳で。30歳を過ぎてローンを組むのはしんどそう。

 D お金よりも先に幸せ。ポーランドの彼女と国際結婚したい。向こうに永住して結婚は2年後かな。うちの親はあまり喜んでいないけど…。

 A 最近、結婚は別にせんでもいいかなとも思っていて。例えば、僕が稼いだお金で相手が買い物するのは違う気がする。お互い働いて自分で自分の物を買うんだったらいいけど。

 ■共働き 残業は1日1、2時間で

 C 結婚したら、できれば共働きがいい。子育てとかを考えると、1人じゃ絶対にお金が足りないから。2人合わせて800万円くらい稼げたら。

 B うちの父は会社員で、母はパートで働いています。僕も共働きがいい。経済的な安定にもつながる。両親と同じ条件としたら、世帯収入は500万〜600万円かな。相手にパートで働いてもらって。

 A 夫婦のどっちかが仕事、家ってことじゃないと思う。家事をやれって言われたら、料理は分からないけど洗濯くらいなら。就職先は残業がそんなになさそうだからできるかな。

 D ポーランドはたいてい共働きみたい。仕事は午後3時まで。朝7時から働くらしいけど。残業って聞いたことがないな。

 A、B、C うらやましい!

 B 残業は1日に1時間か2時間くらいがいい。午後5時終業で、7時くらいまでに帰る。

 A、C、D むちゃくちゃ早いな!

 B じゃあ、3時間。希望は1、2時間だけど、業務で残業が増えるんならしっかりやります。

 C 広島にずっと住んで勤務したい。それと休みは土日がいい。その方が家族との予定も合わせやすいだろうから。

 ■子育て 経済的に子は2人まで

 D 子どもは3人くらい欲しいです。抱っこするのが好きだし、遊びたいし。2人抱えて1人背負う感じで。早く子どもを見たい。パパになりたい。

 B 最低2人。少子化も進んでいるから。子どもを育てるのって、人としての義務というか、使命みたいに感じています。

 C 親に孫の顔を見せてやりたい。多くて2人かな。経済的にみて。僕は2人きょうだいだけど、それでも親は大変そう。自分の子どもも、できれば大学に行かせたいんです。

 A うちは、きょうだい4人。みんな、サッカーとかスポーツをしているから学費以外にもお金がかかる。そう考えたら子どもは2人くらいかな。夫婦2人でずっと過ごすよりも子どもがいた方がもっと楽しそうですよね。

 ▽専業主婦にはなりたくない 女子学生の結婚・仕事観

 女子学生たちが描く将来の「幸せモデル」も気になるところ。広島市内の大学に通う女子の仕事や結婚に対する「本音」を聞いてみると―。

 ■大学4年 自分も稼いだ方が安心

 就職先は働きやすさを考えて決めました。週休2日はマスト(絶対条件)。勤務は午前9時から午後5時まで。残業は1時間くらいならいいです。

 結婚は20代後半でいいかな。でも、式は挙げたくない。お金がかかるし、何の意味があるのか分かりません。友人もご祝儀を用意するのが大変でしょ。結婚報告はインスタ(写真共有アプリのインスタグラム)ですればいい。

 結婚したら絶対、共働きです。料理教室やスポーツジム…。趣味にお金を使いたいから、自分も稼いだ方が安心です。

 世帯年収は1千万円が理想。マイホームも車も要りません。でも、貯蓄は必須です。老後の「2千万円問題」は結構、話題になりました。夫もイケメンじゃなくていい。見た目や持ち物よりも一緒にいて楽で、素が出せる人であれば。高望みはしません。こう見えて私たち堅実なんですよ。

 ■大学4年 超けちな彼氏で冷めそう

 私、結婚願望が強くて20代前半でしたいんです。今の彼氏はどうかな。5歳上の金融マンだけど、超けちで冷めそう。デートでも1円単位で割り勘される。月数千円の寮に住んで食事も出るから、かなり貯金しているはずなのに。唯一いいのは、真面目で絶対に浮気しないところ。結婚するなら、そこは重要です。

 結婚したら、できれば主婦がいい。パートに出るのはOKだけど。私がフルタイムで働かなくていいくらい夫には稼いでほしい。でも、彼氏のけちっぷりを見ていると不安です。もう少し付き合って収入的に無理そうなら別れます。もっと稼ぐ人を探します。

 ■大学3年 年収200万〜300万円あれば

 教職の資格を取っているけど、教師は狭き門だから厳しそう。一般企業への就職も考えています。働き始めは200万〜300万円あればいいです。だんだん上がってほしいけど。

 結婚は、縁があればって感じ。なんか1人で生きていけそうな気がするんですよね。そもそも彼氏をつくるのが煩わしくて。誕生日とか、年間行事が増えるじゃないですか。でも、友達が結婚し始めると意識が変わるのかな。取り残されたって。

 もし結婚するとしたら専業主婦にはなりたくないです。共働きをして、家事は半々。私が料理をしたら夫は皿洗いするみたいに。ただ、絶対にやりたくない日もあるでしょ。体調が悪いとか。「俺がやろう」というひと言が大事。気が付く人がいいです。うちの両親は共働きだけど、家事はほとんどお母さん。結局、そうなるのかな。

 自分の子どもを見たい気持ちはあります。でも、欲しいかというと…。スーパーとかで泣きじゃくっている子を見ると、無理って思うんです。やかましいと感じちゃうんで。

 ■大学2年 ばりキャリより私生活

 これから就活です。土日が休みで、残業はなしがいいけど1日1時間ならOKかな。女性が働きやすい化粧品や教育関係で、月収は20万円あれば。「ばりキャリ(ばりばり働くキャリア志向)」よりも私生活を優先したい。23歳の姉も「働き過ぎて婚期を逃したくない」と言っています。

 結婚は早くしたい。25歳までに。若いママに憧れているので、26、27歳で子どもを産みたいんです。結婚相手は正社員で年収500万〜600万円。私、高級品やブランド品には興味がありません。お金は生活できる程度でいいです。

 でも、完全に主婦になるのは不安。離婚した母が言うんです。「将来、何があるか分からないから働きなさい」って。

 私が働く代わりに、夫には家事も育児も半々でお願いしたい。その意味で、今付き合っている2歳上の彼氏は結構、理想的。料理好きで、ガパオライスやオムライスが得意です。「男子飯」だけど、いい夫になりそうです。

 ▽今の若者「身の丈でいい」 広島大大学院の材木教授に聞く

 今の若者たちの仕事観、結婚観はどのようにして生まれるのか。ワークライフバランスや婚活研究に取り組む広島大大学院の材木和雄教授(62)=現代社会学=に聞いた。

 ▽低成長の時代 ゆとりや家族優先

 無理なく働き、日々の暮らしを充実させていく。多くの若者は、そう考えているようです。高度成長もバブル期も知らない。低成長が当たり前になり、「身の丈に合ったそこそこの生活でいい」と。どんどん稼げる時代ではないことを肌身で感じているのです。

 実際、日本の経済は厳しい。人口が減り、労働力不足が深刻化しています。企業は人材の確保に躍起ですが、生き残りを懸けて人件費の抑制も進めている。年収1千万円のような高収入を得られるのはスキルや能力の高い一部の人。多くの働き手は給料がそう伸びていかないのが実情です。

 豊かさを経済力で実感しにくい。ならば、稼ぎは少なくても、時間のゆとりや家族と過ごす幸せを優先した方がいい。価値観の物差しを変え、これからのライフスタイルを描こうとしているわけです。

 ただ、低成長に生活を合わせるにしても、諦めてほしくないこともあります。あまりにも低い賃金や、非正規雇用での理不尽な待遇を仕方ないと受け入れなくていい。格差の是正に国や企業は本腰を入れて取り組むべきですし、働く側一人一人もしっかり声を上げていくことが大切ではないでしょうか。

 気になるのは、未婚の人が増えていることです。そもそも、なぜ家族やパートナー関係を築くのか。結婚するのか。最も小さなコミュニティーですが、かけがえのない安らぎと憩いをもたらしてくれます。と同時に、リアルな人間関係でもある。そのメリットについて若い人にはよく考えてほしい。

 家事や育児の分担は1人では経験できません。子どもが成長すれば、学校や地域の行事などのイベントも増えてきます。煩わしそうでも見える風景が変わってくる。それは人としての成長です。いくら会員制交流サイト(SNS)で誰かとつながっても、家族のようなリアルな関係にはなかなか及ばないのではないかと思います。

 ▽学生の皆さん 結婚・仕事への希望は?

 学生の皆さん、社会に出たらどんなふうに働きたいですか。将来の結婚や家族との暮らしをどうイメージしているのでしょう。ご意見やそう考える理由、経験談をお待ちしています。匿名希望の場合も連絡先をお知らせください。

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  • 広島大大学院の材木和雄教授

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