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【この働き方大丈夫!】テレワークのすすめ<上>実践者の声から

2020/3/9
テレワークでサイト記事の校閲をする森下さん。娘も仕事ぶりを見つめる(広島市南区の自宅)

テレワークでサイト記事の校閲をする森下さん。娘も仕事ぶりを見つめる(広島市南区の自宅)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、自宅などで働く「テレワーク」が広がっている。既に数千人規模で始めた企業もあるが、急な導入は難しいとして乗り出せないケースは少なくない。既に実践している広島県内のテレワーカーを訪ね、どうすれば取り組めるかを探った。

 ■ビデオ通信使って人間関係を構築

 IT関連企業社員の長嶋亜紀さん(41)=広島市中区=は、テレワーク歴5年のベテランだ。会社もデスクも東京だが、転勤もなく住み慣れた広島で働いている。仕事をスムーズに進めるこつを聞いてみると、こんな答えが返ってきた。「ちょっとした疑問を気軽に相談できる人間関係を普段から温める工夫が欠かせないんです」

 会社に届いた郵便物の開封や転送など、頼み事はいろいろある。同僚とのやりとりはチャットが中心だ。ただ、文面だけでは互いの感情まで分からず、誤解も生まれやすい。対人コミュニケーションの不足をどう解消するのだろう。

 長嶋さんが使うのはタブレット端末のビデオ通信アプリ。「身近なツールで十分対応できます」と話す。

 仕事中は自宅と東京の職場をつなぎ、同僚たちの会話に加わる。仕事の進み具合もオフィスで働くとき以上に詳しく報告する。雑談するときに無料通信アプリやインターネット電話などを利用すれば、信頼関係をより深められる。

 「テレワークも上司や同僚と対面しているくらいの距離感が大事。たわいない雑談を含めた普段着の付き合いが成功の鍵」と長嶋さん。ただ、忘年会やプロジェクト開始の節目には「東京出張」して、顔を直接合わせることも大切にする。

 ■在宅か出社か、柔軟な選択可能に

 テレワークと出社を日常的に組み合わせて働くのは、広島市南区のパート社員森下宏子さん(43)。1年前から週2日は在宅、残りは出社というスタイルだ。勤め先は子育て情報サイトを運営するピーカブー(広島市安佐南区)。サイト記事の校閲を主に担当する。

 最も気を使うのが時間管理。オフィスとは違い、勤務時間を意識させられることが少ない。だらだら働き続けるのを防ぐため、時計のアラームをセットして仕事に集中する。掃除や洗濯は朝のうちに済ませ、娘を保育園に送ったらすぐに仕事。出社時と同じサイクルを保つよう心掛ける。

 ただ、娘が家にいるときは、作業効率が落ちやすい。急ぎの作業があるときや、上司の指示をじかに受けて仕事をしたいときは出社する。仕事の進み具合やその日の都合で在宅か出社かを選択できる柔軟さが働きやすさを生む。「一気にテレワークにしなくても、期間限定で導入するなどやってみると良さを実感できるはずです」と話す。

 総務省によると、企業のテレワーク導入率は2018年時点で19・1%。前年より5・2ポイント伸びた。導入目的のトップ2は「業務の効率性の向上」と「移動時間の短縮」。働き方改革に伴って広がりつつある上、新型コロナウイルス対策として注目を浴び、さらに普及が進みそうだ。

 ■将来を見据えて試験的に開始

 アミューズメント施設運営のプローバホールディングス(安佐南区)は、今月から感染防止対策として、社員5人が試験的にテレワークを始めた。当面、半月に2〜5日、自宅で働く。

 「会社として本気で取り組む意識があるかどうかです」と人事部の新谷浩二さん(40)。「今回に限らず、病気や結婚、家族の介護に直面しても仕事を続けたい人はいる。今、チャレンジすることで、これから先も大切な人材をつなぎ止めることができる」とみる。

 新谷さん自身、社内のテレワークの先駆者だ。がんの手術をきっかけに2年前から月1、2回、在宅勤務をしている。体を休めながらパソコンで社内規定などを作り、外部の問い合わせに電話で対応する。新谷さんは「自宅でも働けるという気持ちのゆとりがあると、モチベーションが上がります」と力を込める。(ラン暁雨、林淳一郎)

 ▽テレワークの経験談を募ります

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