くらし

一つの店舗を異なる飲食店が借りて営業 シェアキッチンでお試し開業

2020/3/27 19:35
金曜に開店したベーグル店に訪れた客(福山市のリトルセトウチ)

金曜に開店したベーグル店に訪れた客(福山市のリトルセトウチ)

 月曜は家庭料理店、火曜はカレー店、夜はイタリアンレストラン…。一つの店舗を曜日や時間によって異なる飲食店が借りて営業する「シェアキッチン」が中国地方で広がっている。将来、自分の店を持ちたい人がコストを抑えて「お試し開業」できるのが魅力だ。

 ▽中国地方で広がる 設備そろいコスト低く

 福山市伏見町に1月オープンした「リトルセトウチ」。毎週金曜にベーグル店を構える胡本実里さん(23)は、パン店で働く傍ら、趣味で作るベーグルを多くの人に味わってほしいと出店する。「いずれは店を持ちたいけど資金がかかる。ここなら本格的な設備もそろっていて始めやすかった」と話す。

 1人で早朝から100個余りを焼き、わずか20分で完売する日もある。地元のバラから作った天然酵母を使うふわっともちもちした食感のベーグルが自慢だ。

 このシェアキッチンは、リトルセトウチの運営会社が空きビルを改修し「はじめるを試せる」をコンセプトに設けた。1階の調理場には冷蔵庫やオーブン、カウンターとテーブル席があり、飲食営業許可なども備えている。2階はアトリエやショップとして貸し出す。

 谷田恭平代表(31)は「自分の店を持ちたい人のチャレンジの場。多くの人が集い、喜びを感じてほしい。利用客にとっても一つの空間でさまざまな食が楽しめるのは魅力だろう」と話す。週1回の利用でキッチンは月1万2千円から(別に共益費8千円)。料金は曜日や時間で異なる。

 シェアキッチンを人の輪を広げる場と考える人もいる。主婦の足立亜季さん(37)は、皿に野菜やフルーツ、穀物を盛り合わせるビーガン(完全菜食主義者)向けの「ブッダボウル」と焼かないお菓子「ロースイーツ」の専門店を水曜の昼に開く。「自分の好きなことを通じ、人と新たなつながりができるのが楽しい」と目を輝かせる。

 光市室積の港近くに18年6月オープンしたのは「室積シェアキッチン」。同市の牛島近くの海底からの湧水で作った天然塩や地元産の野菜や魚を広めようと、火―土曜の昼はカフェ、夜はイタリアンを始めた。2店が営業しない日を貸し出したところ、すし職人の和食店やレストラン、ライブイベントなど単発で利用する人が相次いでいる。

 東広島市福富町では2月、古民家がキッチン付きのシェアスペースに生まれ変わった。同町で活動する地域おこし協力隊員中嶋直哉さん(30)が開いた「ぷらっとハウス」。飲食店営業許可の申請を済ませ、料理を通じた交流や起業を後押しする考えだ。

 今は地元の清水美保さん(44)が週2回カイロプラクティックの店を開き、町内のお年寄りたちが多く訪れている。清水さんは「自分の店を持つ前にカイロプラクティックがどんなものか知ってもらったりニーズを確かめたりできる」と利点を話す。中嶋さんは「空き家を地域が元気になる拠点に変えたい。ぷらっと一歩を踏み出したり気軽に立ち寄ったりする場所にできれば」と夢を描く。(鈴中直美)

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  • 冷蔵庫やオーブン、発酵器など調理機材のそろった調理スペース
  • 空きビルを改修してオープンしたシェアキッチン。曜日や時間ごとに様々な店が開店する
  • ぷらっとハウスのキッチンスペース(東広島市)

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