くらし

症状なくてもマスクを 広島国際大の佐和教授に聞く

2020/4/14 19:32

 ▽感染期の今 「うつさない」ために

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、広島国際大の佐和章弘 教授(感染制御学)は「マスクの使い方を変える時期が来た」と強調する。マスクはもともと「うつさない」ためのもので、これまでは主にせきやくしゃみの症状のある人が着けるよう促されてきた。しかし、感染期には誰もが感染しているという前提で、「症状がない人でも『うつさない』ために着用した方がいい」と促す。

 東京都や大阪府に緊急事態宣言が出され、中国地方でも感染者の増加スピードが速まっている。佐和教授は「誰から感染したかが分からない『市中感染』がほとんどになった。多くの人が感染しているかもしれないと思って行動する『感染期』の対策が必要になっている」と説明する。

 新型コロナウイルスは、感染から発症までの期間が10日以上に及ぶこともある。症状がなくても人に感染させる恐れがあるのが、重症急性呼吸器症候群(SARS)とは違うやっかいな特徴だ。専門家は、無症状の人が気付かないうちに感染を広げ、あるとき爆発的に患者が急増する恐れがあると指摘する。

 そんな中で考えられる感染拡大を防ぐ行動の一つがマスクの着用だ。マスクはもともと「うつらない」ための効果は薄い。これまでは、くしゃみやせきのある人が、ほかの人にうつさないために着ける意味合いが強かった。今、佐和教授が勧めるのは、症状がなくてもウイルスを持っているかもしれないと思って着ける「思いやり」のマスクだ。口から出るしぶきが飛ぶのを防ぎ、人にうつす確率を下げる効果がある。

 しぶきが飛ぶ範囲は「会話」が1メートル、複数の人に向けて話す「発声」で2メートル、せき3メートル、くしゃみ5メートルが目安とされる。佐和教授は「特におしゃべりをする場所はリスクが高いと思ってほしい」。マスクを必ず取る食事中は向かい合って座らず、会話を控えるのが理想的という。

 マスクは一般の不織布より目の粗い布製でも効果はあるのか。ウイルス自体はごく小さくてマスクの穴を通過できるが、ウイルスが含まれるしぶきの飛び散りは一定程度抑えられる。厚生労働省は、国内の全世帯に2枚ずつ布マスクを配るに当たり「手で口や鼻に触れるのを防げる」「喉や鼻の乾燥を防ぎ風邪にかかりにくくなる」という効果も紹介する。

 医療や介護の関係者のマスク不足も深刻になる中、布製は洗って繰り返し使えるのは利点だ。ただ過信は禁物。外からのウイルスの侵入を防ぐ効果は薄いことは理解した上で使おう。目の下から顎までを覆うことができるサイズで、顔にフィットするものを選びたい。

 自らの健康を守るためには、マスクを取った後、せっけんと流水で手を洗うことが何より大切だ。アルコール消毒液を使ってもいい。手がきれいになるまでは、顔を触らないことを強く意識したい。

 佐和教授は「感染症への無関心が最大の敵。自分が感染源にならないためのマスク着用を心掛けてほしい」と話す。一方で「人との距離を保っていれば感染を防げるので、ほかの人がマスクをしていないからといって問題視するのは避けてほしい」と呼び掛けている。(衣川圭)

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