くらし
【新型コロナ みんなで乗り切る】自宅で満喫、キャンプの味 広島のアウトドア料理店・行重さんに聞く
外出自粛を求められる中で迎える今年の大型連休は、キャンプ場も休業し、いつものようなアウトドアライフを楽しめそうにない。ならば、気分だけでも海や山に思いをはせ、定番のキャンプ料理を自宅で味わってみよう。
▽調理万能「ダッチオーブン」
教えてくれたのは、広島市中区のアウトドア料理店「ストリートベースキャンプ」の行重(ゆきしげ)智幸さん(46)。繁華街にある6階建てビルの屋上で、たき火台やグリルを使った街中キャンプが楽しめる店の店長だ。4月から店が密にならないよう、屋上1組限定に切り替えて営業している。
使うのは「ダッチオーブン」と呼ばれる鉄鍋だ。煮る、炊く、揚げる、焼く、蒸す―と、いろんな調理ができる万能器具。ふたが重く密閉性が高いため、圧力鍋のように食材が軟らかくなる。まきを燃やさなくてもガスこんろで楽しめる。その性能を発揮できるのが「牛タンの塩釜焼き」で、豚肩ロース肉やマダイなどの魚でもできる。
材料はメインの食材のほか、塩と卵白のみを使う。「塩釜を練って作り上げる工程は、泥んこ遊びのようで、子どもたちも喜ぶと思います」と行重さん。卵白の成分で塩が固まって窯の役割を果たす。「余分な水分を塩が吸ってくれ、うまみを逃がしません」と利点を解説する。仕上がりは驚くほどの軟らかさだ。
フライパンのように平たい「スキレット」と呼ばれるタイプもある。スキレットを使った一押しはスペイン料理「アヒージョ」。キノコやエビを具材に使う。
頭付きの赤エビなら、頭も入れる。すると、エビのみそがオリーブ油に溶け出し、うまみがぐんとアップする。無頭エビの場合、ハーブソルトを加えると風味が出る。カキを使っても、だしがおいしい。バケットは、オーブンで軽くトーストすれば、カリッとした食感が楽しめる。
もう一品、キャンプおつまみの代表格「カマンベールチーズのベーコン巻き」はさらにお手軽。チーズをベーコンで隙間なく覆い、アルミホイルで包んでスキレットで焼く。トロトロのチーズと、ベーコンの塩味が絶妙でワインに合う。
ダッチオーブンは、小さいものから直径20、25、30センチほどの大きさ。4人家族なら25センチ(10インチ)が手頃だ。メーカー品は1万円前後から2万円するが、最近は数千円の品が出回り、通信販売でも手に入る。
調理は家のダイニングのほか、煙が出ないので庭やベランダでもできる。夕方、ランタンをともせば、キャンプっぽい雰囲気を味わえる。巣ごもり生活でダッチオーブン料理を練習し、外出できるようになったときの本番に役立てたい。(桜井邦彦)
■牛タンの塩釜焼き
<材料>3、4人分
牛タン350グラム、卵白1個分、塩400グラム
<作り方>
(1)ボウルに卵白と塩を入れ、手で握って固まる硬さまでしっかり練る。
(2)ダッチオーブンの底に(1)を敷き詰める。
(3)牛タンを載せ、肉の周りを(1)で覆う。
(4)ふたを閉めてガスコンロに載せ、約30分間、弱火にかける。
(5)ふたを外す。塩釜をはしなどで割り、肉を取り出してお好みの厚さにスライスする。
■エビのアヒージョ
<材料>2、3人分
エビ3尾、エノキ40グラム、シメジ50グラム、ニンニク2かけ、タカノツメ少々、オリーブオイル・塩・バケット各適量
<作り方>
(1)エビの頭を取り、身の皮をむいて背わたを抜く。身を半分か1/3に切る。
(2)スキレットに、スライスしたニンニクとタカノツメ、シメジ、エノキを入れ(1)のむき身と頭を載せる。
(3)スキレット全体に塩を振り、オリーブオイルを回し入れる。
(4)中火で約5分間、火を通す。完成したら切り分けたバケットに載せて食べる。
■カマンベールチーズのベーコン巻き
<材料>2、3人分
カマンベールチーズ(100〜130グラム)1パック、ベーコン3枚
<作り方>
(1)カマンベールチーズの周りをベーコンで覆う。
(2)アルミホイルで(1)を包む。
(3)スキレットにホイルのまま載せ、弱火で片面3、4分ずつ蒸し焼きにする。
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