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【この働き方大丈夫?】ギグワーカー、新型コロナ感染の不安を背に 副業で増える食事宅配員

2020/4/26
日中の仕事を終えた後、バイクで配達に向かう広島市西区の男性

日中の仕事を終えた後、バイクで配達に向かう広島市西区の男性

 ▽多数と接するリスク 安全網乏しく

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出自粛で、食事宅配サービス「ウーバーイーツ」や「ウォルト」の利用が伸び、配達員も増えている。「ギグワーカー」と呼ばれ、インターネットを通じて単発で仕事を請け負う。空き時間を利用した副業として人気が高まる一方、感染リスクを懸念する声も聞こえてくる。

 広島市西区の契約社員男性(34)は今月から、バイクで「ウーバーイーツ」の配達を始めた。まずはスマートフォンのアプリに会員登録。最寄りの登録会場へ行って説明を受けて配達用のバッグを受け取れば、すぐ活動できる。

 日中は物流業界で働き、月の手取りは約15万円。ボーナスはない。収入を補うため、仕事後に「ウーバー」と弁当配達のアルバイトを掛け持ちする。「ウーバー」の報酬は飲食店から配達先までの距離に応じて変わる。稼働は夜間の3時間ほど。多い日には6、7件の注文があり、3千円以上稼げる。1週間分の報酬が翌週には振り込まれるスピード感も魅力だ。

 ただ、感染のリスクも感じている。ファストフード店や居酒屋に料理を受け取りに行き、店の従業員や注文客ら不特定多数の人と接する機会が多い。常にマスクを着用し、消毒用のウエットティッシュを持ち歩いて手を拭く。品薄のマスクは洗って使い、その上からネックウォーマーを重ねる。「自分の身は自分で守らないと。感染したら本業の仕事もできなくなる」と気を引き締める。

 中区の飲食業男性(40)は、感染拡大の影響で勤務先が3月末から開店休業状態になり、配達員を始めた。仕事が減った自営業の友人たちも相次いで登録しているという。自転車で1日10〜12件配達し、これまでに15万円ほど稼いだ。感染リスクを減らすため、現金払いを断り、オンライン決済の注文に絞っている。

 最近利用が増えているのが、玄関先やロビーなど指定の場所に荷物を置く「置き配」だ。配達後に注文客にメールで知らせる。対面せずに受け渡しができるが「外に出て人と接する以上、感染の可能性はゼロじゃない」と警戒する。

 ギグワーカーは会社と雇用関係のない個人事業主として扱われる。組織に縛られず柔軟に働けるが、トラブルや事故に巻き込まれた際の安全網が乏しい。

 配達員でつくる労働組合「ウーバーイーツユニオン」は運営会社に対して今月上旬、マスクや消毒液を配達員に配り、危険手当として1件300円を支払うよう求めたと発表した。ただ、運営側が要求にどこまで応じるかは不透明だ。

 労働問題に詳しい広島弁護士会の平田かおり弁護士は「働き方の多様化で今後もギグワーカーが増えそうだが、労使関係の実態が見えにくい」と指摘。「不安定な働き方は貧困につながる。現場の配達員が安心して働けるよう法整備が必要だ」と話している。(ラン暁雨) 

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