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抗体作られ感染しにくく 新型コロナ回復後は…専門家に聞く

2020/4/28 19:36

 新型コロナウイルスの感染が広がる一方、退院する人も日に日に増えている。退院できるのは、症状が消え、PCR検査で陰性だった場合だ。この条件をクリアすれば、他の人にうつすことはないのか。一度かかった人が、再び感染する恐れはあるのだろうか。専門家に疑問をぶつけた。

 ▽ウイルスなくなれば、人にはうつらない

 厚生労働省の27日時点の集計(クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員を除く)では、国内で感染が確認された1万3385人のうち、2割に当たる2905人が既に退院している。PCR検査で陰性となり、ウイルスの遺伝子が残っていないと確認されて「治癒した」とみなされた人たちだ。

 広島大大学院の坂口剛正教授(ウイルス学)は「ウイルスが体からなくなれば当然、人にはうつらない」と説明する。ただ退院しても用心は必要だ。検査で再び陽性が出たケースが報告されている。「のどを抜けて、消化器官などに潜り込んだウイルスが、再び活動を始めたのではないか」と坂口教授。厚労省は、退院しても4週間は健康観察を続けるよう促している。

 では、新型コロナウイルスに一度感染した人が、再び感染することはあるのか。坂口教授は「今回のウイルスが変異し、形を変えない限り、再び感染するとは考えにくい」とみる。このウイルスに対する「抗体」が体内にできるからだ。

 ウイルスなどの病原体が侵入すると、体の免疫システムが働く。このときに大量にできるのが、病原体の表面にひっついて力を奪うタンパク質で、これが抗体だ。通常はひとたび抗体ができると、体はその病原体の形を記憶する。同じウイルスが再び侵入してきても、より速やかに抗体ができてウイルスを退治するため、再び感染しにくいのだという。

 この抗体があるかどうかが検査で分かると、免疫が備わっていて感染しにくい人が分かる。そういう人は外出規制の対象から外してもいい―。欧米では、そんな考え方をする国もある。滞った経済活動を再開させるためだ。そのため、抗体の有無を調べる検査が今、世界各国で進められている。

 一方、抗体検査に慎重な国も多い。世界保健機関(WHO)は、抗体検査は誤った結果が出るケースもあると指摘し、注意喚起している。日本政府も始めたものの、診断目的ではなく、感染の割合などを広く調べる使い方を想定しているようだ。

 現時点では不明な点が多いウイルスだが、坂口教授は「私たちにできるのは、免疫システムが正常に機能するよう体調を整えておくこと」と指摘する。生活リズムの乱れや強いストレスは免疫機能を低下させるという。「免疫がきちんと働けば、重症化しにくい。十分な睡眠や栄養バランスのいい食事をしてほしい」と呼び掛けている。(田中美千子) 

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  • 「抗体ができれば同じウイルスに再感染するとは考えにくい」と話す坂口教授

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