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オンライン診療の利点と限界 新型コロナ特例で初診もOK、広島でも拡大中

2020/5/5 19:42
オンライン診療アプリの画面。医師の顔やしぐさを見ながら、診察を受けられる(画像の一部を修整しています)

オンライン診療アプリの画面。医師の顔やしぐさを見ながら、診察を受けられる(画像の一部を修整しています)

 ▽家で便利、感染リスク減/触診できず、落ちる精度

 新型コロナウイルスの感染が広がる中で、初診でも可能になった「オンライン診療」。広島県内でも、電話による診療から一歩進み、パソコンやスマートフォンを介して、顔を見ながら診察する医療機関が増えてきた。患者は自宅で受診することができる。医師は画面で表情を確認できるが、聴診や触診はできない。診療の利点と限界を理解した上で利用したい。

 広島市安佐南区のたなべ春日野クリニック―。田辺智之院長(42)がノートパソコンからオンライン診療の予約患者を呼び出すと、微熱と頭痛がある30代の女性の顔が表示された。

 「熱はいつから?」「嗅覚や味覚の異常はないですか」…。あらかじめ、オンライン診療アプリに記載された問診票や薬のデータを見ながら田辺院長が確認していく。「ほっぺをこんなふうにたたいてください。響きませんか」。身ぶりも交えて診察を進め、鼻の中の炎症を疑って抗生剤を5日分処方した。

 処方箋を送った薬局が女性宅に薬を配送した。初めて受診した女性は「感染が広がっているので、体調が悪いときに病院へ行きたくない。先生の顔を見て話せたので安心感があった」。新型コロナウイルス感染症の疑いも低いと分かり、ほっとした様子だった。

 オンライン診療に向いていると言われるのは、高血圧や糖尿病などの慢性疾患だ。同クリニックもパソコンを介して再診患者を診て、薬を処方してきた。厚生労働省が先月、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、特例で初診からのオンライン診療を解禁したのを受け、対象を初診患者にも広げた。現在は、スマホに慣れた世代を中心に1日2、3人のペースで診ている。

 東京などからの申し込みもある。だが、緊急で対面診療に切り替えたり、別の医療機関に紹介したりできないので断っている。家から近い医療機関を選ぶのが基本という。田辺院長は「広島ではまだ浸透していないが、患者の利便性を考えると当たり前の時代が来る。通うのが面倒だからと受診しなくなる患者を減らすことにも役立つのではないか」と話す。

 やはりオンライン診療をしている廿日市市のあわや内科クリニックの粟屋浩一院長(49)は、患者の通院する交通機関や院内での感染リスクを下げられるとみる。「画面を通じてしんどい表情や、息苦しさも伝わってくる。電話で話す以上に必要な情報が集まる」と手応えを感じている。

 一方で「聴診や触診、検査はできない。おなかが痛くても、触って確かめられないため、どこが、どの程度痛むのかをつかみづらい。診断の精度が落ちてしまうことは毎回話している。限界も知った上で受診してほしい」と呼び掛ける。

 オンラインの初診料は2140円。3割負担の患者の場合は642円をクレジットカードや電子マネーで支払う。オンライン診療アプリ「curon」を提供するマイシン(東京)は、4月の保険診療の回数は昨年12月の20倍と予測する。アプリ「CLINICS」を展開するメドレー(同)によると、3月の医療機関からの問い合わせは普段の7、8倍に伸びたという。

 鳥取大教授で日本遠隔医療学会の近藤博史会長は「しんどい、つらいといった症状だけでなく、体温、血圧、体重など客観的なデータも記録し、診療時に伝えてほしい。表情も大切な診療情報なので、逆光を避けて明るい場所で話してほしい」とアドバイスする。

 厚生労働省は、電話やパソコンなどを用いた診療に対応している医療機関の一覧をサイト上で公表している。「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について」で検索すると見られる。医療機関のホームページやオンライン診療アプリから予約できる。(衣川圭)

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  • ノートパソコンで発熱した女性の表情を見ながら、問診する田辺院長(広島市安佐南区)

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