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休校明け、親は子に寄り添って 広島の専門家2人に子への接し方聞く

2020/5/25 19:17

 新型コロナウイルス感染予防で長い休みが続いた子どもたちが、休校明けにスムーズに登校できるのか心配な親も多いだろう。生活リズムが乱れたり、宿題がたまっていたりして、行き渋る子もいるかもしれない。休校が今月末に終わる見通しの今、親は子どもにどう接したらいいのだろう。広島市内の専門家2人に聞いた。

 ▽学校再開までに 自粛時の頑張り認めて

 「まずは休校を乗り切った子どもの頑張りを認めましょう」。ますだ小児科(広島市東区)の臨床心理士、濱田彰子さんは助言する。

 休校で子どもは行事がなくなり、友達にも会えなくなった。濱田さんはスクールカウンセラーとして子どもたちに接してきた経験も踏まえ、「子どもには『納得できない』『訳が分からない』という感情がたまって、学校再開を前にしても中途半端な気持ちでいる」とみる。

 親が「よく頑張って家の中にいたよ」「おかげで新型コロナも収まりつつあるみたい」と感謝を込めてねぎらえば、子どもは達成感を感じ、気持ちを切り替えやすい。

 子どもが寝坊したり、ゲームばかりしていたりして、生活リズムの乱れが心配な親も多いだろう。濱田さんは、親子が対等の立場で話し合い、起床時刻などについて一緒にルールを決めるように促す。子どもの近くに座り、話すテンポはゆっくりと。ルールを守れたら「できたね」と子どもの力を信じていることを示す。「子どもが責任を持って考えて行動するきっかけになります」と話す。

 学習の遅れは親には最も気掛かりかもしれない。遅れにいらつく子もいれば、諦めている子もいるだろう。濱田さんは「親が焦る姿を見せないで」と呼び掛ける。子どもが責められているように感じ、「遅れを取り戻そう」という意欲がなえるからだ。

 むしろ協力する姿勢を示すことが大切。「手伝えることがあるかな」と声掛けすれば、子どもは「応援されている」と感じて力が湧きやすい。

 「行きたくない」―。久々の学校を子どもが嫌がるかもしれない。濱田さんは「ずっと休みだったから、行きたがらないのは当然。嫌な気持ちを言うことができ、心は軽くなっていますよ」と話す。親は「そうなんだ」と受け止める。その上で「どこが嫌なの」と尋ね、具体的に何が不安なのかを言葉にするよう促す。そうすることで、子どもは悩みを客観的にとらえ、心が整理できるという。

 ▽学校が始まったら 疲れや不安を受け止める

 元中学高校教諭で「カウンセリングルーム虹」(西区)の臨床心理士の野中春樹さん(67)は、「親は子どもの話をしっかり聞いてください」と強調する。

 学校ではマスクのために、クラスの子や先生の顔が覚えづらく、表情も読みにくい。親しくなるためのハードルが上がっている。野中さんは「子どもは人間関係につまづくと、自己肯定感が下がって『自分はだめだ』と無気力になりがちです」と心配する。

 子どもが疲れや不安を口にしたら、親は「しんどいね」と受け止める。そして、気持ちを理解することに力を注ぎながら聞くと、子どもは「分かってもらえた」と感じやすい。説教や助言は、子どもが気持ちをため込んでつらくなるので控えた方がいいという。

 野中さんは「子どもが新しい友達や先生に慣れるには、通常の何倍も時間がかかるのではないか」とみる。「疲れた子どもが家でだらだらしていたら、『疲れたね』と見守ってください」と温かな姿勢を促す。

 また、子どもの話を聞くには、親の心に余裕が必要だ。野中さんは、休校で親に疲れが何重にも積もっていることを心配する。「親も自分の頑張りをねぎらい、好きなことをする自分だけの時間を大切にしてほしい」と呼び掛けている。(治徳貴子) 

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  • 「子どもの気持ちを受け止めてあげてください」と話す濱田さん(広島市東区)
  • 「親は子どもの再開後の学校生活に興味を持ってください」と話す野中さん(広島市西区)

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