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【この働き方大丈夫?】テレワークを浸透させるポイントは

2020/6/5 20:12
テレワークを導入する企業などへの支援を進めている田沢由利さん

テレワークを導入する企業などへの支援を進めている田沢由利さん

 テレワークのうねりは、さらに高まるのだろうか。新型コロナウイルス対策で急きょ導入が広がった在宅勤務が広く受け入れられ、浸透していくためのポイントとは―。テレワークの専門家たちに聞いた。(林淳一郎、ラン暁雨)

 ▽ネット上の「仮設オフィス」でチームワークを テレワークマネジメント社長 田沢由利さん(57)=北海道北見市

 いかに日本型のテレワークを育てていくか。新型コロナ対策で在宅勤務などの導入が広がり、これから取り組んでいかないといけない課題だと感じています。

 日本の働き方は、欧米と違ってチームワーク重視です。「お付き合い残業」などの悪い面もありますが、互いに補い合って高い企画力を発揮する。テレワークで離れていても、どうチームで働くか。お勧めはネット上に会社にいるのと同じような感覚になる「仮設オフィス」を作ることです。

 使うのは、ウェブ会議システム。会議だけの利用はもったいない。運用次第で在宅勤務する社員たちのチーム力は高まります。例えば、システムに入ると「出社」、出たら「退社」。その間、スピーカーだけオンにしておき、名前を呼ばれたらマイクとカメラもオンにして会話を交わす。一緒に仕事をしている安心感も芽生えてきます。

 ITツールをうまく活用すれば、子育てや通院、介護が必要な人も在宅で働きやすくなります。仕事ができない時間は「退席」ボタンを押してパソコンの前から離れ、一段落したら「着席」して再び働く。そういうツールもあります。トータルで1日の所定労働時間になればいいんです。社員教育もそう。何度も集まらなくても、オンライン講義を重ねるうちノウハウやスキルは身についてきます。

 「できない」と決め付けず、何ができるか工夫してほしい。大切なのは「成功体験」の積み重ね。職場にマッチしたテレワークに結び付くはずです。

 ▽「会社でないと」を見直すとき 富士通・シニアエバンジェリスト 松本国一さん(49)=川崎市

 新型コロナ対策で外出や移動の自粛が求められ、半ば強制的に在宅勤務が進みました。でも「テレワーク=在宅」ではありません。本来、ITツールを生かして、どこでも自由に、仕事ができる働き方。平時は街中のカフェや移動中の合間に働いてもいいわけです。

 場所を会社、自宅と縛るのではなく、働き手が働きやすい環境を整え、通勤や移動の無駄を省くものです。新型コロナ対策のテレワークについては、本当に働きやすかったかどうかの点検が必要でしょう。

 ただ、必要に迫られてテレワークに取り組むことで、「会社でないと仕事ができない」というのが思い込みだったことに気付いた人も少なくないはずです。

 今まさに「新しい生活様式」への転換が呼び掛けられています。働き方も、じかに会うのが常識、礼儀とする時代から変わりつつある。これまでの「当たり前」を見直していくときでしょう。

 人口が減り、働き手不足は深刻です。テレワークの導入で、企業はエリアを問わず人材を確保しやすくなります。広島に住む人を東京の企業が雇うこともできるんですから。東京一極集中を変える一つの手だてとなるかもしれません。

 ただ離れている分、自ら判断してチャレンジする人が求められます。指示待ちで動く人は仕事にありつけなくなるかもしれません。ITツールを使いこなせるようになることも大切です。互いが見えなくても思いの外、人と人の距離を密にしてくれます。

 ▽デジタル機器をうまく使おう NPO法人「ITコーディネータ広島」理事長 児玉学さん(57)=広島市南区

 新型コロナの広がりを受け、テレワークの問い合わせが増えました。企業の関心の高まりを感じます。一方で「設備投資のお金がない」「ITに詳しい社員がいない」「何から着手すべきか分からない」といった悩みも寄せられます。でも、やり方次第で克服できる。第2波に備え、デジタルツールを上手に活用しましょう。

 製造業や建設業、店頭販売は、テレワークに不向きと考えられがちです。しかし、報告書の作成やデータ入力など社外でもこなせる業務はあります。テレワークできる業務は何か、誰ができるか。その区分けが鍵です。

 最も取り入れやすいのがオンライン会議。専用アプリ「Zoom(ズーム)」は、無料プランでも画質・音質が良く初心者向けです。私用のスマートフォンを使えば設備投資も要らない。ネット上で社内の情報共有ができる「グループウエア」も便利です。互いの行動予定や仕事の進み具合が見えるので、誰が何をしているか分からない状況が解消されます。

 全ての仕事をテレワークにシフトする必要はありません。中には対面で議論した方がいい会議もある。意思疎通のためにも、バーチャルとリアルを織り交ぜるとスムーズです。

 子どもの声や生活音で在宅ワークが難しいなら、貸しスペースやホテルの一室でもいい。会社でも自宅でもない「第3の仕事場」の充実が、テレワークの浸透につながります。

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 【テレワークの手応えや改善点は】

 テレワークに取り組んで、どんな手応えや課題、改善点を感じましたか。皆さんの体験談やご意見、記事のご感想をお待ちしています。匿名希望の場合も連絡先をお知らせください。一部を紙面で紹介する予定です。

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