くらし

あおり運転をしない、遭わないために

2020/7/19
ドライブレコーダーを付けた車に乗り「バックミラーなどで周囲の状況をよく確認しましょう」と話す渓口さん(広島市安佐南区の沼田自動車学校)

ドライブレコーダーを付けた車に乗り「バックミラーなどで周囲の状況をよく確認しましょう」と話す渓口さん(広島市安佐南区の沼田自動車学校)

 あおり運転をしない、遭わないためにはどうすればいいのだろう。「妨害運転」として厳しく罰する改正道交法が6月末に施行され、警察の取り締まりは強まる。その抑止効果に加え、ドライバー一人一人の「自衛」で危険な運転を減らしていきたい。

 ▽イラッとしたら3回深呼吸/相手刺激しないよう心掛け

 「多くのあおり運転は、加害者の誤った正義感から起きています」。日本交通心理学会(東京)会長で帝塚山大の蓮花(れんげ)一己学長(66)は、こう分析する。

 しつこいクラクションや割り込み、ノロノロ運転などに遭遇すると、自分は経験が豊富で相手は初心者と考え、「相手が悪いので、多少の罰を与えても私が正しい」という心理に陥るのだという。

 イライラしている時に邪魔されたと感じたら、「あおる」スイッチが入り、知らず知らず加害者になっている恐れがある。運転はゆとりを持ち、それでもイラッとしたら深呼吸を3回して落ち着かせるといい。

 厳罰化を受け、会社の看板を背負う職業ドライバーへの抑止効果は特に高いと蓮花学長はみる。ただ、人間なので瞬間的にカッとしてあおってしまうリスクはある。「誰もが加害者になり得る。運転免許証の更新時などに感情をコントロールする方法を教育する必要がある」と指摘する。

 ドライバー一人一人が、被害に遭わないためにできることもある。沼田自動車学校(広島市安佐南区)のインストラクター渓口(たにぐち)裕之さん(68)は、主任交通心理士(日本交通心理学会認定)の立場から「相手を刺激しない運転を心掛けてください」と助言する。

 というのも、警察庁の調べで、加害者の大半が「進行を邪魔された」「割り込まれた」「追い抜かれた」と、被害者側の行為を引き金に挙げているからだ。ミラーや目視で周囲の状況をよく確認し、無理なハンドル操作をしない。相手を自分の身に置き換えて考え、高速道路の追い越し車線での超スロー運転など、イラッとさせる行為を慎むことなどが「あおられない」ために効果的だ。

 ただ、悪いのは当然、あおる側。渓口さんは「交通社会にも、経験不足や加齢によってスムーズに運転できない人がいます。『あの人の運転が悪い』と責めず、電車で高齢者に席を譲るような思いやりの運転を心掛けたい」と力を込める。(桜井邦彦)

 ▽ドラレコで立証しやすく

 6月末に施行された改正道交法は、ほかの車の通行を妨害する目的での逆走や急ブレーキなど10行為に対し、最高で5年以下の懲役または100万円以下の罰金を科した。自転車のあおり運転も「危険行為」と規定され、3年以内に2回違反した14歳以上に安全講習が義務付けられた。

 ただ、摘発には「加害者側の通行を妨害する意思」の立証が必要。ドライブレコーダーを作動させるか、同乗者が動画映像に収めておくと、あおり運転が起きる前後の流れが分かり、警察も立証しやすい。

 広島県警交通指導課の松本啓司次席は「相手の挑発には乗らず、車の窓も開けないで110番を」と呼び掛ける。安全な場所に車を止めて通報するか、同乗者から電話してもらう。被害者や目撃者から幅広く情報を募る専用サイト「あおりBOX」も県警ホームページに開設し、あおり運転の取り締まりに力を入れる。

関連記事「求む「あおり運転」情報 広島県警、厳罰化受け専用サイト」

関連記事「あおり運転、動画で通報 岡山県警が専用ページ」

関連記事「飲酒運転、身勝手な動機浮き彫り 広島県警が摘発者など聞き取り」

この記事の写真

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

くらしの最新記事
一覧