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【この働き方大丈夫?】第4部 パワハラが怖い<5>性格理解、マネジメントの鍵

2020/7/26
藤岡佳子さん

藤岡佳子さん

 指導との線引きが難しいパワハラ。特に上司と部下のコミュニケーションが不足している場合は誤解が生じやすい。職場の世代間ギャップ解消をテーマに講演する広島市のコンサルタント藤岡佳子さん(37)は「社員の思考パターンを知った上でマネジメントする」ことを勧める。どんな考え方なのだろう。

 ▽タイプ別、関係性を知る

 藤岡さんは、社員のタイプを「外向的―内向的」、「論理的―感覚的」という軸で四つに分類。それぞれ色分けした。

 「外向的で論理的」は赤。決断力はあるが少々威圧的。結論を急ぐ性格で、管理職に多い。「外向的で感覚的」は黄。フレンドリーで行動力がある。

 「内向的で論理的」な青は、物事を現実的に考えて分析することが得意だ。「内向的で感覚的」な緑は、協調性はあるが受け身で、承認欲求が強い傾向がある。最近の若者に最も多いタイプという。

 こうした特性を理解し、接し方を変えることが摩擦を生まないこつだ。藤岡さんは「タイプ別に効果的な叱り方、褒め方がある。相手がどう受け取るかは言い方次第です」と強調する。

 社内でよく見られる「赤の上司」と「緑の部下」のパターンで考えてみよう。赤上司は成果が上がらない緑部下に対して「なぜこの程度の仕事ができないのだろう」と疑問に思い、攻撃的に追及しがちだ。ナイーブな緑部下は高圧的に責められたと感じて傷つく。「パワハラされた」という被害者意識が生まれやすい。

 そんな2人の間に、黄色の社員が「伝達役」として入るとうまくいく。ポジティブな切り替えが得意な黄色は、緑部下に「赤上司は言い方がきついけど悪気はない。本当は君に期待しているんだよ」とフォローする。一方で赤上司には「緑部下は深く考えてしまう性格でアクションを起こすのに時間がかかる。長い目で見守りましょう」と説得。互いの真意をプラスに変換して伝えてくれる。

 ちなみに黄色は褒めて伸びるタイプなので、上司は必ず「君のおかげで助かったよ」の一言を添えよう。

 自分のタイプを知ることも重要だ。例えば「青上司」は、無意識にグサッとくる一言を発したり尋問口調になったりするのが特徴。「口下手で申し訳ないね」というスタンスで部下への優しい声掛けを意識するといい。

 ▽「わたし取説」、上司に伝える

 部下の側は「自分はこんな人間」という取扱説明書「わたし取説」を伝えるとトラブルが減る。性格や得手不得手、体調面などを書き出し、上司に渡そう。若い世代は何かを押し付けられると反発しやすい。事情を知ってもらうと、互いの妥協点を見つけることにつながる。

 例えば残業。若手が嫌うイメージだが、よく聞いてみると「無意味な残業」をしたくないだけで「繁忙期や月末にはやります」という人も案外多い。「結論が出ない会議やだらだら残業が常態化するのは困る」と伝えれば、業務の仕分けにもつながるかもしれない。

 飲み会も「もともと苦手なんですよ」と説明すれば、「自分が誘ったから断られた」と先輩社員に誤解されることがない。

 体調面も盛り込むと上司が目配りしやすい。「病気治療中だ」「生理痛や貧血がひどい」「実は不妊治療中」といったデリケートな事情を明かせば、怠けているとは思われない。

 子育て中の女性は、家事や育児を優先して残業をできるだけしたくないのか、時々は無理をしてもキャリアを積みたいのか、思いを伝えるといい。望まぬ配慮をされ「仕事を減らされて居場所がなくなった」と感じ、やる気をなくすケースが少なくないからだ。

 ▽根底に不公平感、なくす仕組みを 広島のコンサル藤岡佳子さん

 「パワハラ防止」に欠かせないのが、上司と部下の信頼関係です。叱責(しっせき)されても、相手の人柄や思考が分かれば「こういう意図なんだな」と理解でき、理不尽と感じることはありません。

 上司の側も部下の短所と長所は表裏一体であることを意識しましょう。例えば「仕事が遅い」ことは見方を変えたら「仕事が丁寧」。どちらにフォーカスするかは上司次第です。「使えない」と切り捨てるのは簡単ですが、長所を生かす方法や人員配置を考えるのがマネジメントです。

 今後は、上の世代が若者に歩み寄ることを求められるでしょう。組織より個を優先する社員が多数を占める時代が来ます。彼らの価値観を変えるのは難しい。

 それなら「柔軟な働き方」ができる仕組みを検討すればいいのではないでしょうか。

 働き方に合わせて給与を変えるのです。性別や世代を問わず、バリバリ働きたい人には多く、ゆるく働きたい人にはそれなり―というふうに、20段階くらいに細かく差をつけて給与を支給するのも一案です。

 資格を取りたい人や趣味重視の人、若くても親の介護がある人など、仕事への熱量はそれぞれ。日本の多くの企業では、働き方によって給与に大差がないから不公平感が生まれ、ハラスメントの土壌になりやすいのです。待遇が違えば腹も立ちません。互いの心理的負荷が減って、雇用も長続きすると思います。(ラン暁雨)

    ◇

【パワハラを防ぐアイデアはありますか】

 パワハラ防止や世代間ギャップを解消するためのアイデアはありますか。皆さんの職場で取り組んでいることがあれば教えてください。連載へのご意見、ご感想もお待ちしております。匿名希望の場合も連絡先をお知らせください。

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