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広がる子ども日傘 熱中症対策、距離取ってコロナにも

2020/7/27 20:01
強い日差しの中、雨傘を差して下校する御調西小の児童=尾道市(撮影・井上貴博)

強い日差しの中、雨傘を差して下校する御調西小の児童=尾道市(撮影・井上貴博)

 大人の夏のアイテムの日傘を、小中高校生も愛用する動きが広がっている。雨傘を日傘代わりに使う子どもも出てきた。あまりの暑さに、子どもも熱中症にならないよう傘の力を借りるということらしい。ことしは新型コロナウイルスの感染予防も必要で、傘を差せばストレスなく周囲と距離を保てるメリットもある。

 西日が照りつける夕方、雨傘を差した小学生たちが一斉下校を始めた。尾道市の御調西小。6月下旬から同校が新たに始めた「傘さし登下校」だ。日傘を使ってもいいが、家庭が出費を抑えたいのか、いつもの雨傘を差す児童が多い。

 ことしは春に長い休校があり、夏休みが短い。酷暑の中の登下校は、熱中症対策が欠かせない。傘があれば日差しを遮ることができる。さらに同校は、登下校ではマスクの着用を求めていない。傘を差せば前後左右の子どもと距離をしっかり取れるので、マスクを外しても感染予防につながるという。

 6年の安藤圭司君(12)は「帽子をかぶってマスクを着けるのは暑かった。傘を差してマスクを外すと、体全体が涼しくて汗もあまりかかなくなった」と喜ぶ。

 藤井浩治校長(59)も「朝、校門で子どもを出迎えていても、真っ赤な顔で汗だくになって来る子どもが減った」と熱中症対策の効果を実感している。新型コロナ予防についても「子どもは友達とくっつきたがるものなので、教諭の目が届かない登下校中はどうしても友達と近づきたくなる。傘を差せばストレスを感じずに距離を保てる」と話す。

 傘差し登下校は、愛知県豊田市の小学校が5月に取り組み始めたことが報道されたことなどをきっかけに、広島県内の他の小学校にも広がっている。尾道市の山波小、福山市の金江小、府中市の国府小も7月に始めた。

 中学生や高校生にも日傘が浸透してきている。ノートルダム清心中・高(広島市西区)でも愛用する生徒がじわじわと増えて、今では高校生の約半数までになった。

 生徒指導主任の石黒洋教諭(49)は「日傘を使う中学生には『大人が使う物を持つのはかっこいい、おしゃれ』という意識がある」と話す。一方、昨年から使う高校2年関真由子さん(16)は「日焼けしたくないから日焼け止めを塗っていたがべたべたしていやだった。日傘を差すようになって、ほとんど塗らなくてすむようになった」と喜ぶ。2年の藤井早紀子さん(16)も「涼しいし、急に雨が降ったときも差せるので安心」と日傘を支持する。

 デパートなどの日傘売り場にも、子どもの姿が少しずつ増えている。そごう広島店(広島市中区)では、母親にアドバイスをもらいながら楽しそうに日傘を選ぶ女子中学生や女子高校生が年々多くなっているという。人気色はピンクやラベンダー、ミントグリーンなどの淡い色。模様は水玉やストライプのようにシンプルな物がよく売れている。

 日傘や雨傘を差した場合、熱中症のリスクを下げられるのだろうか。日傘の遮熱効果に詳しい大同大工学部(名古屋市)の渡辺慎一教授(51)によると、気温や日差しの強さから算出する「暑さ指数」は、日傘を差すと2・9度下げることができるという。

 色の付いた雨傘でも日差しを遮ることができて、熱中症リスクが下がると予想する。帽子と比べた場合、日傘と雨傘は日射を遮る面積が大きいので熱中症予防の効果が高いとみる。

 渡辺教授は「これだけ暑いと、子どもでも日傘を使った方がいい。『日傘を差していいですよ』と学校や教育委員会は子どもたちに促してほしい」と傘差し登下校に賛同している。(治徳貴子) 

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  • 愛用する日傘を持ったノートルダム清心中・高の生徒。制服に合う黒と紺の日傘が人気だ=広島市西区(撮影・宮原滋)

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