くらし

【この働き方大丈夫?】第4部「パワハラが怖い」に反響<上>当事者の声

2020/8/9
イラスト・大友勇人

イラスト・大友勇人

 連載「この働き方 大丈夫?」第4部「パワハラが怖い」に、読者から無料通信アプリLINE(ライン)やメール、手紙で60件近くの反響が寄せられた。記事に自身のパワハラ体験を重ねたり、心を痛めたりする意見が相次いだ。その一部を2回に分けて紹介する。

 ▽机バンバンたたく上司/標的にされ心折れた

 ■被害を受けた側から

 連載では、攻撃的で理不尽な上司に苦しむ部下の声を紹介した。「うちの会社と全く同じ」とラインで寄せたのは、広島市安佐北区の会社員女性(44)。10年以上勤める企業は「超パワハラ体質」で、営業成績が悪いと上司が机やロッカーをバンバンたたいて暴言を吐く。職場での「公開処刑」は日常的な風景だ。

 不眠や摂食障害で何人も退社したのに、上司はパワハラの自覚がない。「代わりはいくらでもいる」が口癖で、診断書を出すと「根性なし」「わがまま」と非難される。女性はシングルで子育てをしており「辞めたくても新型コロナウイルスの影響で転職先がない。生活費や子どもの学費を考えると、我慢し続けるしかないのでしょうか」と思い悩む。

 うつ病で休職している呉市の30代男性からは「人間不信になった」と切実な声が届いた。パワハラの標的にされ、長時間の叱責(しっせき)と残業の強制に心が折れた。上司は自分より先に帰ることを許さず、休日出勤しない部下への評価は低い。月50時間もの残業をしているのに、残業代を求めると「給料泥棒が!」と激怒された。物を投げつけられても管理職は見て見ぬふり。そんな会社に「絶望しかない」と肩を落とす。

 パワハラが就業意欲を奪うという記事に、福山市の50代女性は「私も二度と企業で働く勇気はありません」と共感する。最近まで勤めた転職先の企業では、小さなミスをするたびに上司が鬼の形相で「おまえはばかか!」と怒鳴り散らす。業務について質問すると「マニュアルを読め」と言われ、読んでいると「物覚えが悪い」「使えない」ときつい言葉が飛んでくる。動悸(どうき)と下痢が止まらなくなり、退職するしかなかった。

 広島市の50代の公務員男性も「16年たっても被害を思い出す」とメールにつづる。「過大要求型の上司」はささいなことで怒鳴り、あいさつも無視。答えのない問いを投げては「違う!」とねちねち責める。当時は自分に非があると思い込んでいたが、冷静に振り返るとその理不尽さに怒りを覚える。部下を持つ立場になった今、「絶対に同じことはしない。それが被害者の責務です」と決意する。

 ハラスメントの温床になりやすい飲み会への苦言も目立った。広島市安芸区の介護士男性(47)は「時間とお金の無駄。上司とは飲まないと心に決めている」と言う。以前の勤め先は製造業。寮生活で飲み会は強制参加。一気飲みの強要や部下いじり、長時間の説教は「もうこりごりです」。

 女性を避ける「ハラミ会(ハラスメントを未然に防ぐ会)」に賛同するのは、廿日市市の主婦(39)。会社員時代、お酌と注文は女性の仕事でセクハラも当たり前だった。上司のグラスが空いたことに気付かないと「女のくせに気が利かない」と酔った先輩が悪態をつく。「無料ホステスのように扱うなら男性だけで飲めばいい」と憤る。

 ▽高圧的な言動を悔やむ/指導との区別難しい

 ■パワハラと訴えられる側から

 広島市中区の40代女性は加害者の立場から「連載を読んで心苦しい気持ちでいっぱい」と寄せた。保健師として働いていた10年ほど前、年上の後輩に行き過ぎた指導をした。難しくない業務をこなせないことが理解できず「高圧的な言動を止められなかった。年齢を重ねて再就職した後輩は大変だったはずと、同じ立場になって初めて気付いた」と後悔する。

 「指導とパワハラの区別が難しい」との意見もあった。広島市の50代公務員女性は若手部下に手を焼く。言われたことしかしない上に、やりたくない仕事は拒否するからだ。イライラして細かい注意をしてしまうが「権利の主張だけは余念がない相手にパワハラ扱いされないか不安です」。

 医療現場でベテラン医師が苦悩しているというのは、広島県北部の看護師男性(46)。同じ職場の40代の医師が、手術中などにミスを繰り返す若手医師を叱ったところパワハラと訴えられた。「人命を預かる仕事で厳しくするのは当然。それをパワハラと言われたら教育できない。未熟な医師が増えて困るのは患者さんです」と危惧する。(ラン暁雨)

【この働き方大丈夫?】第4部 パワハラが怖い
<1>指導か暴言か、世代間でずれ
<2>飲み会リスク、上司も部下も
<3>理不尽な要求に心身疲れ果て
<4>今も心に傷、再就職にためらい
<5>性格理解、マネジメントの鍵
「パワハラが怖い」に反響<上>当事者の声
「パワハラが怖い」に反響<下>防止策は

この記事の写真

  • 読者から寄せられた手紙やメール

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

この働き方、大丈夫?の最新記事
一覧