くらし
脱プラ、持ち込みOKの店も 「肉や魚、食品トレーではなくマイ容器で」
肉や魚、総菜を買って帰ると、プラスチックの使い捨てトレーで自宅のごみ箱がいっぱいになる―。編集局に無料通信アプリLINE(ライン)で「環境に優しくないのでマイ容器を買い物で使いたい」との声が複数寄せられた。7月にレジ袋の有料化が始まり、プラスチックごみ削減の機運は高まっている中、店への皿や容器の持ち込みはできるのだろうか。
▽法はクリア、衛生面に課題
「昔のようにトレーなしで買えたらいいのになあ、とつくづく思う」と広島県世羅町の主婦(72)はラインでつぶやく。若い頃は、肉は竹の皮と新聞紙で包んでもらい、魚は鍋で持ち帰った。新型コロナウイルスの影響で家で過ごす時間が長くなり「今はごみが多くて大変。暮らしを見つめ直す時期じゃないですか」。
有料化されたレジ袋はプラごみのうちの2%にとどまる。府中町の会社員女性(57)は「トレーのリサイクルに頑張っていますが、トレー自体も減らさないといけない」と力を込める。
そこで、広島県内でスーパーを展開する3社と百貨店4店に「マイ容器の持ち込みはできますか」と聞いてみた。すると、どこからも「衛生面で何かあっても責任が持てず難しい」との答えが返ってきた。
ゆめタウンなどを運営するイズミ(広島市東区)の担当者は「トレーの使用で安心・安全を確保したい」と話す。イオンリテール中四国カンパニー(南区)も食中毒などの懸念を理由に挙げる。フレスタホールディングス(西区)の担当者は、トレーの保冷機能や密閉性を掲げ「品質を保つには必要」「リサイクルでごみは減らせる」と説明。百貨店の中には、マイ容器を受け入れるには対面販売が必要で、マンパワーの確保を考えると難しいとの声もあった。
その一方で、容器の持ち込みが可能な店もあった。スーパーのプロマート舟入店(中区)にある「魚屋 うお市」は、客が持参した皿に刺し身を盛り付けラップをかけて渡す。近くに住む主婦(38)は、陶器の花柄の平皿にタコやタイを盛り付けてもらい「欲しい量が買えるし、見栄えもいい」と気に入っている。容器代分の刺し身増量サービスもうれしいという。
店によると「容器を持ち帰りたくない」という常連客から月20〜30件ほど依頼がある。田中佑子代表(34)は「信頼関係があるからできる。衛生面に気を付けて続けたい」と話す。
食品衛生法では問題はないのだろうか。広島県食品生活衛生課によると、店と客の合意があれば、容器持ち込みは問題ない。顔の見える関係がつくりやすい小規模店が少なくなっていることも、マイ容器の持ち込みが広がらない背景にありそうだ。
環境問題に詳しい東京農工大の高田秀重教授(環境化学)は「消費者が安さや便利さを追い求めた結果、大量生産大量消費が進み、食材も広域で調達するようになった」とみる。日本の人口1人当たりのプラ容器包装の廃棄量は米国に次いで2位。「プラ容器の処分費用を製造業者が負担する国もあるが、日本は税金で賄うため安く作れる。見栄えやサービスが優先して世界からずれています」
国際社会では「脱プラ」が加速する。フランス政府は2040年までに使い捨てプラスチックを全廃する方針を固め、自然由来の素材でできた容器の活用を進める。ニュージーランドも政府主導でプラスチック包装の削減が進み、肉や野菜のプラ容器を減らすスーパーもあるという。日本でも知恵を絞れないだろうか。(標葉知美)
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