くらし

五感くすぐる「感触遊び」 広島の保育園長・山下さんがガイド本

2020/8/31 19:16
「感触遊びは無限大。子どもたちをわくわくする世界に導いてほしい」と話す山下園長(広島市安佐北区)

「感触遊びは無限大。子どもたちをわくわくする世界に導いてほしい」と話す山下園長(広島市安佐北区)

 ▽砂や紙くず 身の回りで工夫

 見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触る―。子どもの五感を育む「感触遊び」に、広島市安佐北区の口田なかよし保育園が力を入れている。使うのは、砂や紙くず、余った食材…。ひと工夫すれば、夢中になれる遊びの素材に変身する。そのガイド本をこのほど、山下慶子園長(54)が刊行した。新型コロナウイルス感染を避けるための巣ごもり中に、家庭で挑戦してみてはどうだろう。

 感触遊びの対象は0歳児から。山下園長いわく「年齢の上限はない」。大人も試行錯誤して一緒に楽しむのがポイントという。「遊びの『器』を用意する保育士や親のそばで、子どもたちは『やりたい』と身を乗り出してくる。一つ一つの経験が五感をくすぐり、学びになるんです」

 まずは、砂。洗濯のりと水を混ぜていくと「どろのり」ができる。砂の代わりに細かく刻んだ紙を使えば「シュレッダー粘土」になる。混ぜる時の感触は心地いい。それぞれ粘土のように遊べるほか、どろのりを紙に薄く平らに広げると指で絵も描ける。

 消費期限が過ぎて、捨ててしまいがちな食材も活用しよう。小麦粉や片栗粉などを使った粉遊びは、室内でも楽しめる。最初はさらさらの粉の手触りを体感する。水を少しずつ加えると粉の状態が変わり、遊びの幅も広がる。

 小麦粉100グラムに水50ccを混ぜると団子などが作れる。100ccの水だと、とろとろに。机やシートの上に薄く延ばすと、指で絵を描くことができる。水加減によっては小麦粉が手にまとわり付いて顔をしかめる子も。山下園長は「どんな感触か、何を描いたのか、丁寧に聞いてほしい。子どもたちの話し言葉の土台が豊かになり、成長を感じられます」と話す。

 山下園長が保育士になった34年前は、感触遊びを身近な自然の中で取り組めたという。川で魚を捕まえたり、雑木林の木に登ったり…。ところが次第に安全・安心が重視され、「きれいな遊び」が好まれるようになった。団地内にある口田なかよし保育園(定員154人)も、園外の遊び場は公園などに限られる。

 「服の汚れは、思い切り遊んだということ。子どもたちが歓声を上げ、感動する体験ができる場をもっとつくるべきだ。身の回りの物を工夫すれば、かつての感触遊びを少しでも再現できる」と山下園長は語る。

 勤め先の同僚たちと実践してきたノウハウを「五感をはぐくむ 感触あそび」と題して刊行した。遊び方や素材は、本に収録したものにとどまらない。山下園長は「どんな素材を使うといいか、子どもたちが喜ぶか。保育の現場はもちろん、子育ての家庭でも知恵を絞ってほしい」と呼び掛けている。(林淳一郎)

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  • 「五感をはぐくむ 感触あそび」はB5変型判、64ページ、かもがわ出版刊。1760円。

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