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自分らしい最期、現場追う 山口・周防大島舞台の映画「結びの島」

2020/9/29
往診に励む岡原さん(右)を追った映画の一場面。お年寄りも笑顔になる(ディンギーズ提供)

往診に励む岡原さん(右)を追った映画の一場面。お年寄りも笑顔になる(ディンギーズ提供)

 ▽往診重ね、ハグで心通わす 岡原医師に密着

 自分らしく老い、人生の最期を結ぶ―。高齢化の進む山口県周防大島町を舞台に、往診やみとりの現場を追ったドキュメンタリー映画「結びの島」が10月2日から、山口、広島、岡山県内で全国に先駆けて公開される。島内で診療に奔走する医師、岡原仁志さん(60)をクローズアップ。寄り添う患者と家族に穏やかな笑顔が浮かぶ。

 岡原さんは、おげんきクリニックの院長だ。診察が終わると、決まって患者とハグを交わす。往診の道すがら海の音を録音し、自宅のベッドで横になる高齢者に聞いてもらうことも。ある往診先では、母と娘が表情をほころばせてハグをする。娘たちにみとられ、母は旅立っていく―。

 住民の2人に1人が高齢者の周防大島。岡原さんは2003年、東京の大学病院を辞めて実家の医院に戻った。「最期まで自分らしく、楽しく過ごしてもらえたら」。ハグは心の通い。「つながっている」感覚が気持ちを安らかにする。

 岡原さんに迫ったのは、溝渕雅幸監督(58)=奈良県生駒市=だ。高齢者の往診に励む高知県の医師を追った前作「四万十 いのちの仕舞(しま)い」(18年公開)を見た人から「岡原先生に会ってみては」と勧められ、周防大島へ。今年6月まで計12回にわたって訪れ、岡原さんの春夏秋冬の営みにカメラを向けた。

 溝渕監督は「超」がつく高齢化社会を見据え、「人生に伴走してくれる医師がいることが、どんなに心強いか。岡原さんの取り組みはこれからの医療の方向性を示している」と話す。(林淳一郎)

 本作は108分。公開スタートは、10月2日=MOVIX周南(下松市)、イオンシネマ防府(防府市)、イオンシネマ広島(広島市南区)、イオンシネマ岡山(岡山市北区)▽8日=横川シネマ(広島市西区)▽10日=シネマ尾道(尾道市)

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  • 「いかに豊かな老後を過ごすか。身近な医療の現場から考えてほしい」と話す溝渕監督(広島市中区)

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