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【この働き方大丈夫?】第5部「非正規公務員の嘆き」に反響 <上>行政の最前線から

2020/10/1 19:41
スケジュールが詰まった手帳を開く婦人相談員の女性。トリプルワークで生計を立てる=広島県内(画像の一部を修整しています)

スケジュールが詰まった手帳を開く婦人相談員の女性。トリプルワークで生計を立てる=広島県内(画像の一部を修整しています)

 連載「この働き方 大丈夫?」第5部「非正規公務員の嘆き」に、読者から無料通信アプリLINE(ライン)やメール、手紙で60件を超える反響が寄せられた。記事に自らの境遇を重ねたり、理不尽な働き方に疑問を抱いたり。その一部を2回に分けて紹介する。初回は、役所の窓口や婦人相談員の仕事に対する声から。

 ■役所の窓口 頑張る人、正当に評価して/正職員の丸投げにあぜん

 「記事を読み、非正規で公務を担う人がいることを初めて知りました」とラインで寄せたのは、広島市安佐南区の女性(50)。不手際があって役所の窓口担当者が謝罪しているとき「後ろに座る『偉い人』は見て見ぬふり。常々疑問に思っていました」という。自分も企業で派遣社員をしていた経験があり「弱い立場で働く気持ちが分かる。働き手の尊厳を守り、頑張る人が正当に評価される社会であってほしい」と望んだ。

 広島市中区の元公務員男性(67)は「住民からの苦情処理を非正規に丸投げする正職員の感覚にあぜんとした」とつづった。住民ニーズの多様化で行政の業務量は増しているのに「改革の名の下に公務員を減らしたことが慢性的な人員不足の原因。定数を増やすべきだ」と求める。

 中国地方の自治体で窓口を担当する嘱託職員女性は、昼休憩でさえ正職員と格差がある現状に肩を落とす。昼食はいつも机で食べながら、業務中にできないメール確認や資料整理をして、住民の問い合わせにも対応する。弁当箱を広げたまま休憩が終わることも多いが、正職員はフォローしない。「仕事を割り振るのが私の役目。窓口は業務外」と言い放つ上司に、女性は「住民に一番近いのは私たち。感謝の言葉に支えられ、何とかやっている」と気持ちを保つ日々だ。

 広島市の外郭団体の元嘱託職員(59)は「記事通りの低所得。食べて行くためにダブルワークをしていた」と振り返る。専門的な知識が要るのに手取りは十数万円。「結婚もままならない給料で若者が定着しない。スキルを身に付けた人が辞めざるを得ない現状を行政はどう考えているのか」と問い掛けた。

 ■婦人相談員 命守る現場にこそ予算を/「やりがい」掲げ安く使う

 婦人相談員への「やりがい搾取」に反発する意見も多かった。

 「弱者の味方になる人たちを、こんなに安く使っていたなんて」と憤るのは、夫の暴言などに悩む広島市東区の30代女性。「相談する方も申し訳なくて気が引ける。これは国からの暴力ですよ」と訴える。

 中区の50代女性は「DV(ドメスティックバイオレンス)に詳しくないから」という記事中の上司の言葉に失望した。「肝心なことを非正規に任せっきりだとしたら、何のための正職員なんでしょう」とあきれる。

 娘が婦人相談員の元に通っているという安佐南区の60代女性は「相談員自身がぎりぎりの生活なのに、私たちに親身に対応してくれている。感謝しかありません」と思いやる。DVや虐待事件が増えている今「住民の命を守る最前線にこそ予算を付けてほしい」と求めた。

 医療機関でかつて相談員をしていた廿日市市の20代女性は「やりがいだけでは食べていけないし、家も借りられない。相談員自身に余裕がない状態で困った人を助けられるでしょうか」と投げ掛ける。残業が当たり前のハードワークだったのに、月の手取りは20万円に届かなかった。上司に相談すると「人の役に立つ仕事なのに、お金のことを持ち出すのはどうかと思うよ」と逆にたしなめられた。心身とも疲弊し、モチベーションが保てず退職したという。

 「そもそも働き方の模範となるべき行政が、非正規職員を多用していること自体がおかしい」と指摘するのは福山市の会社員男性(42)。「人の命に寄り添う仕事に『やりがい』という餌をまいて安く使うこの国で人材が育つのか。結局は住民サービスの劣化という形で私たちに返ってくるでしょう」と危惧する。(ラン暁雨)

 【「女性活躍」できていますか】

 連載第6部では女性の働き方に迫る予定です。前政権が成長戦略の柱に掲げた「女性活躍」。次々誕生する女性管理職を比喩する「ガラスのハイヒール」という言葉も登場しました。女性の皆さん、「活躍」できていると感じていますか。子育てと仕事、キャリアアップの両立…。注目の一方で「なぜ女性だけが輝けと言われるの?」と重荷に感じる人もいるようです。皆さんの体験談やご意見をお寄せください。匿名希望の場合も連絡先を教えてください。

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