くらし

【この働き方大丈夫?】第5部「非正規公務員の嘆き」に反響 <下>子どもを育む現場から

2020/10/2 19:31
イラスト・大友勇人

イラスト・大友勇人

 連載では、休職者たちの「穴埋め」なのに多忙な臨時採用教員(臨採教員)や、子どもたちに対する「ケア労働」が軽視されている現状を伝えた。学校の非正規教職員や保育士からは共感の声と、「同一労働同一賃金」への強い願いが寄せられた。

 ■教職員 現実は定数を埋める「駒」/教育の質、上げる余裕ない

 「同じ仕事をしていても同じ扱いをされていないと感じていた」。小学校の臨採教員として20年以上働いた広島市中区の女性は、記事を読んで当時を思い出したという。仕事ができなければ「やっぱり臨採よね」という目で見られ、できたらできたで「臨採のくせに」と敵意を持たれる。人間関係に疲弊しながらも膨大な仕事をこなした。

 ストレスが原因で大病を患っても管理職からいたわりの言葉はなく、出勤を促す電話がかかってくる。定数を埋める駒としか見られない現実に傷付き、退職した。「正規、非正規に関わらず相手の立場を思いやれる環境があれば、働きやすくなるはずです」と話す。

 定年後に広島県内の中学校で再任用教員として教壇に立つ男性は、フルタイムで残業もあるのに給料は正教員の4分の3程度。病気になれば休職は認められないため辞めるしかない弱い立場に不満を感じている。「ブラックな現場を非正規が支えている。教育にお金をかけない国に未来はありません」

 中学生の悩みに寄り添うスクールソーシャルワーカーとして働く広島市内の女性は、相談が増えて個別対応が十分できない現状に不安を抱く。「自分が1年契約の非正規という立場では、子どもとの関わりが中途半端になってしまう」。最近は教員からも「しんどい」との声を多く聞くようになった。「みんな余裕がない中で教育の質を上げろと言われても無理がある」とため息をつく。

 福山市の女性(42)は記事を読んで、次男の小学生の頃の担任だった臨採教員のことを思い出したという。「熱心で指導も上手。子どもにも保護者にも信頼されていた」と感謝する。正教員以上に現場を熟知するベテランの臨採教員もいた。「意欲を保つためにも同一労働同一賃金が必要。経験や評判も踏まえ、正教員に登用してほしい」と求めた。

 ■保育士 責任重くて割に合わない / ケア労働、尊重する社会に

 広島市内の公立保育園で非正規保育士として働く女性は「子どもの遊び相手をする楽な仕事」という世間の認識を改めてほしいという。一人一人の発達を踏まえ保育計画を立てるなど業務は多岐にわたるからだ。ピアノも弾くし、園庭の草むしり、トイレ掃除、行事の飾り付けなどもする「何でも屋」。保護者から見れば正規も非正規も関係なく、期待や要望が寄せられる。なのに保育士の給料は低く、非正規になるとさらに低い。「あまりに割に合わない。記事で現状を知ってもらい、待遇改善の糸口になれば」と願う。

 広島市の別の非正規保育士の女性(45)も「せめて労働への正当な対価を払ってほしい」と訴える。仕事内容も延長保育のシフトも正規とほぼ同じで、責任は重い。幼児の小さなけがは日常的で、そのたびに保護者に謝りクレーム対応もする。「私たちの心身の健康は後回し。働く意欲を失い、出勤が苦痛とさえ感じています」と打ち明けた。

 正規の保育士も疲弊している。広島市の40代女性が働く保育園は8割が非正規。「正規の雇用を増やさないと、少数の私たちに重責がのしかかり、つぶれてしまいます」と嘆いた。

 子育て世代からも待遇改善を求める声が届いた。周南市の父親は、新型コロナウイルスの影響で休校になった小学生の子2人の面倒を見て「育児の大変さが分かった」という。「1人で十数人の乳幼児を見ている保育士には頭が下がる。予算を動かす政治家も自分で育児を経験すれば、こんな低賃金で働かせる発想にはならない」と指摘する。

 2人の子を1歳から保育園に預けた東広島市の会社員女性(47)は、育児相談にも乗ってくれた保育士たちに救われたという。「働く親には欠かせない存在。子どもに関わる仕事がもっと尊重される社会になってほしい」と願った。

【「無意識の偏見」 どう思いますか】

 女性たちは、性差に関わる決め付けや思い込みなど「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」にもさらされています。女の子らしさを求められて育ち、職場では「きつい仕事をさせたら気の毒」と責任のある仕事をさせてもらえない「慈悲的性差別」もあるようです。一方で、働く女性と専業主婦と同性間の格差に悩む人もいます。連載第6部では女性の働き方に迫る予定です。皆さんの体験や、意見をお寄せください。匿名希望の場合も連絡先を教えてください。(ラン暁雨)

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