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自分らしく医療ウィッグ つらい治療も前向きに/補助金支給の自治体も

2020/10/18
抗がん剤治療を終えた女性(左)のウィッグを手入れする岡崎さん(広島市中区)

抗がん剤治療を終えた女性(左)のウィッグを手入れする岡崎さん(広島市中区)

 抗がん剤治療で脱毛したときに医療用ウィッグを使う人が増えている。がんが早期発見・治療で治る時代、通院しながら働く人も多くなり、より良い生活を送るには、自分らしい見た目を保つことも大切になっている。専門家は「アピアランス(外見)ケアの意義を知ってほしい」と呼び掛ける。

 呉市の介護職の女性(55)は、髪の毛がバッサバッサと抜けた日を覚えている。がんのため、ことし1月に子宮を摘出。3月から通院で抗がん剤治療をスタートして2週間たつ頃だった。「洗面所で山と積もった髪の毛を見ると心が折れました」

 長男にバリカンで残った髪を刈ってもらい、ウィッグを使い始めた。「毛のない姿は誰にも見せたくないじゃないですか。治療前に作っておいてよかった」と振り返る。以前の髪形や色に合わせたウィッグがあることで、つらい治療にも少し前向きになれたという。

 女性は、抗がん剤治療が必要と分かったときにインターネットでウィッグを調べた。人毛が材料で自然に見えるものを選択。職場に戻ったとき、ウィッグと気付く人はいなかった。

 担当する医療用ウィッグ専門店ワンステップ広島店(広島市中区)の岡崎学さん(50)は「治療を職場に知られたくない、子どもにいつもと違う姿を見せたくないと、来店する人は多い」と説明する。「抗がん剤治療が決まった時がウィッグ選びのタイミング」と勧める。

 以前は、治療での脱毛は仕方がないと思う人も少なくなかった。しかし、風向きが変わってきた。2012年にできた第2期がん対策推進基本計画にはがん患者の仕事と治療の両立の支援が明記され、治療を続けながら社会生活を送ることも当たり前になってきた。国は18年3月にまとめた第3期の計画で、外見の変化への対策についても言及している。

 福山市民病院の乳がん看護認定看護師の賀出(かいで)朱美さん(49)は「自分らしいと思える容姿でいることは、治療や生活をする上でとても大切です」と強調する。「がん拠点病院にある相談支援センターなどで、外見のことも遠慮なく相談してほしい」と呼び掛ける。

 価格は1万円前後から30万円超のものまで幅広い。素材が人工毛か人毛か、既製品かオーダーメードかなどの違いで異なる。健康保険の適用外だが、購入を補助する自治体も増えてきた。中国地方では山口県が3万円を上限に購入費用の2分の1を助成。島根、鳥取県、岩国市なども同じような制度を設ける。外見ケアの費用をカバーするがん保険も登場した。

 10月19日は「医療用ウィッグの日」。記念日を申請したワンステップを展開するグローウィング(大阪市)の担当者は「ロングやショートなどいろんなアレンジができる。自分に似合い、安心して着けられるものを見つけてほしい」と話していた。(衣川圭)

 ▽選び方や手入れ法など紹介 ひろしまウィッグマップ

 NPO法人ひろしまピンクリボンプロジェクト(広島市中区)は、医療用ウィッグの販売店、選び方や手入れ方法などを紹介する冊子「ひろしまウィッグマップ」を、広島県内のがん拠点病院などで無料配布している。

 医療用ウィッグの一般的な着用期間は1年〜1年半と紹介。選ぶポイントには、見た目▽付け心地▽価格▽購入店舗―などを挙げる。ウィッグに関する患者アンケートの結果や、眉毛やまつげのケアの方法も掲載した。

 昨年発行の第4版はA5判60ページ。同法人のウェブサイトでも見られる。

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  • 自分に合ったスタイルにアレンジ(写真提供・グローウィング)
  • 冊子「ひろしまウィッグマップ」

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