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男らしさが苦しくて 19日「国際男性デー」 「大黒柱」「仕事第一」…刷り込み重荷

2020/11/18 11:06
グラフィック・末永朋子

グラフィック・末永朋子

 11月19日の「国際男性デー」をご存じですか。男性の健康に目を向け、性の平等を目指す日として世界で広がりつつある。「女であること」に縛られない生き方を求める女性が増える一方で、男性ならではの「生きづらさ」はあまり可視化されてこなかった。職場や学校、家庭で「男だから」という呪縛とプレッシャーに悩む人たちの声を、無料通信アプリLINE(ライン)で聞いた。

 【グラフィック】LINEに寄せられた「男らしさ」への声

 「男なんだから良い大学を出ときなさい」。広島市安佐北区の男子高校生(17)は、進路選択で親と祖母から言われる一言が引っかかる。「大黒柱として一家を養うにはある程度の収入がいるし、頭が良くないといけん」というのが理由らしい。でも「女性も活躍する時代に『養う』なんて古い。家事育児も夫婦で分担するものだと思うのですが…」と首をかしげる。

 学校でも違和感を覚える。例えば校則。「男子は清潔で短い髪形」と決められている。教師に疑問をぶつけても「短髪が当たり前。受験や就職に影響しないため」としか答えない。「ショートカットの女子はいるのに、なぜ男子は好きな髪形が許されないんだろう」と釈然としない。


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 生物学的な性差とは別に「男らしさ・女らしさ」という考えは社会が作り出す性差だ。無意識な「刷り込み」や「押し付け」はあちこちで存在する。

 西区の女性(48)が経営する学習塾では、「男の子だから算数・数学ができないといけない」という意見を口にする保護者が一定数いる。そんなとき、女性はやんわり「性別に関係なく勉強ができたら楽しいですよ」と伝えるが、「男の子は理系」というイメージは根強い。安佐北区の母親(38)も普段は男女関係なく子育てをしているつもりだが、5歳の息子にはつい「男の子なんだから泣かない!」と言ってしまう。

 働き方に窮屈さを感じる人も多い。「男は正社員で働け、という重圧がつらい」と寄せたのは安芸区の40代の介護職男性。就職氷河期世代で、工場で派遣社員をしていた。非正規への偏見が怖くて、友人たちには内緒にしてきたという。

 東区の国家公務員男性(57)の職場では「男は転勤が当たり前」で、不自由や不都合を被っても文句が言いにくい。国の政策を受けて「仕事と家庭の両立」を唱えるが、それは女性に限ったこと。妻が公務員で夫が民間勤務の場合は転勤を免れるが、逆なら単身赴任か妻が退職するしかない。転勤を拒否すれば昇進できない。

 男性の育休も表向きは反対されないが、裏では「あいつは何を考えてるんだ」と陰口を言われる。「『男は仕事ファースト』の縛りが、男女ともに生きづらい世の中にしているんじゃないか」と問い掛けた。

 呉市の看護師男性(50)は「女のくせに」というのはタブーになってきたのに、その反対は今でも通用していると感じる。職場でも「男だから」と、力仕事や暴言を吐く患者の対応を押し付けられる。病休の職員の代わりに出勤を求められ、愚痴ると「男のくせにしつこい」と言い返される。いつもは男女平等を訴えている女性たちに、都合のいいときだけ「男らしさ」を求められることに納得がいかない。

 デートなどで男性が女性におごることや、多めに払うことを求められる風潮への反発もあった。廿日市市の会社員男性(42)は、かつてデートした女性が当然のように食事代を払ってもらおうとする姿に「気持ちが冷めた」。南区の男性(70)が以前いた職場では、同僚男性が女性との食事代を割り勘にしたら、翌日には女子更衣室で悪評が広まったという。次からは誰も彼の誘いに応じなくなった。

 西区の会社員男性(45)はこれまで「男だろ、男のくせに、男なら当然」と言われたことは数知れず。小さい頃から強さや積極性、理性的であることを求められてきた。「ジェンダーバイアス(性に基づく差別や偏見)をなくし、男も女も『らしさ』から自由になれば、もっと生きやすくなるはずです」とつづった。(ラン暁雨)

 ▽国際男性デーとは

 1999年にカリブ海の島国トリニダード・トバゴで始まったとされる。男性の心身の健康と幸福、男女平等の推進などを目指す。国連の「国際女性デー」(3月8日)に比べて知名度は低いが、米国、中国、英国など数十カ国で参加が広がっているという。

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