• トップ >
  • くらし >
  • くらし >
  • 【コロナ禍と介護 水明園からのメッセージ】高齢者ケアを守るために<中> 共に闘うチームが必要

くらし

【コロナ禍と介護 水明園からのメッセージ】高齢者ケアを守るために<中> 共に闘うチームが必要

2020/12/24 19:22
お茶の時間を楽しむ人たち。休業中は多くの利用者の生活に支障が出た(三次市のデイサービスセンター水明園)

お茶の時間を楽しむ人たち。休業中は多くの利用者の生活に支障が出た(三次市のデイサービスセンター水明園)

 介護施設で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したら、地域が一丸とならないと乗り切れない。施設の休業中に利用者を受け入れてくれる同業者、感染者を診てもらう病院、調整役の行政…。共に立ち向かうチームが必要だ。

 三次市のデイサービスセンター水明園の苦境は、感染した利用者が陰性に転じてからも続いた。入院中に足腰が弱り、認知症も進んだ人の家族は「もう独り暮らしはさせられない」と施設入所を希望。だが、正体不明のウイルスが怖いのだろう。市内外の施設に片っ端から頼んでも、感染歴を理由に断られた。

 ▽病院が救いの手

 助けてくれたのは地域の病院だった。「もう2週間、病院で診ましょう」とリハビリ向けのベッドを用意してくれた。市内の介護者を集めた研修会では、医師が「感染の恐れはもうない」と明言。「すごく心強かった」。水明園の元責任者の男性は力を込める。

 この男性は「感染していない利用者のケアにも苦戦した」と明かす。クラスター発生後、市内の大半の事業所が、介護サービスの休止や縮小に踏み切った。水明園の休業中に代わりにケアをしてくれる所をなかなか見つけられなかった。

 今回のクラスターに絡んでいたのは市内の4施設。他の施設は、水明園以外のどこから感染者が出たのか詳しく知らない。自分の施設の利用者が「もしも感染が確認された施設のサービスを使っていたら…」。そんな懸念が広がり、地域のケア全体が機能不全に陥っていた。

 「利用者や家族の生活に支障が出てしまった」と、水明園の職員たち。例えばデイサービスで入浴介助を受けていた人は風呂に入れなくなった。一人で入ると危ないからだ。また認知症があり、見守りが欠かせない利用者の家族は、仕事を休まざるを得なくなった。

 水明園の職員は、高齢者の体調の急変を心配し、休業中も自宅訪問を重ねた。担当者の1人は「体力が落ち、認知症も悪化した人が明らかに多かった」と声を落とす。近所の目を気にし、家に閉じこもっていた人もいた。「水明園の職員と知られたら、利用者に迷惑が掛かる」と案じ、どの車からも施設名のフィルムを剥がしたという。

 ▽地域に新ルール

 この教訓を踏まえた動きもある。三次市は広島県や隣の庄原市と協議し、地域の施設から感染者が出た場合の新たな対応を決めた。

 感染者が出た施設は市と県、関係施設、さらに各利用者のケアマネジャーと情報を共有する。一方、感染者と接点がない施設には連絡しない―との内容だ。連絡が入らなかった施設は、安心してサービス提供を続けやすくなるという。

 水明園のベテラン職員は「介護サービスが使えないと生活が成り立たない人もいる。クラスターが起きても、地域の介護崩壊は避けないといけない」と強調する。「ただ、新ルールがうまく機能するかどうか…」。過酷な体験をしただけに、今も不安を拭えずにいる。(文・田中美千子、写真・高橋洋史) 

【コロナ禍と介護 水明園からのメッセージ】高齢者ケアを守るために
<上>誹謗中傷せず温かい目で

この記事の写真

  • 利用者を送迎車に乗せる職員。今も車からは施設名のフィルムを剥がしたままだ(三次市のデイサービスセンター水明園)

上記の写真をクリックすると拡大して表示されます。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

くらしの最新記事
一覧