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犬の本能刺激「ジビエ」フード広がる 老犬も「食欲回復」

2021/1/8 19:47
シカの骨付きジャーキーを食べる犬のエルドレッド(広島市佐伯区)

シカの骨付きジャーキーを食べる犬のエルドレッド(広島市佐伯区)

 ▽捨てられていた部位活用/脂肪少なくヘルシー

 シカやイノシシの肉など「ジビエ」を使った犬向けのペットフードが広島県内で広がっている。これまで捨てられていた部位を活用。脂肪分が少なくヘルシーで、味も犬に好まれるようだ。広島市内では、人も犬も食べられるシカのスープを提供するカフェも登場し、注目されている。

 広島市佐伯区の会社員鶴田直樹さん(60)は、愛犬エルドレッドがシカの骨付きジャーキーをむさぼる姿に驚いた。「食いつきがよく、もっともっと、と欲しがった」

 与えたのは、三次市の第三セクター「みわ375」の商品。同社は、主に地元で捕獲されるシカを解体し、硬い部位や内臓などを加工。40グラム660円のシカの赤身ジャーキーなどが、同市三和町の物産館などで人気を集め、新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年春からインターネットでも販売を始めた。

 片岡誠社長(53)は「いただいた命を、そのまま捨てるのは申し訳ない。少しでも有益に使いたい」と強調する。人が食べるのはシカ1頭のわずか3割。それがペット用を加えると、8割近くまで利用できて捨てる量がぐっと減る。

 犬にとっても、ジビエはおいしい食材のようだ。片岡さんは「犬は、もともと肉食のオオカミだった。草食動物のシカを好むのは本能」と説明する。

 三次市三和町の坂田恭子さん(50)は、自宅の犬2匹がシカ肉を好むため、体調が悪い老犬を飼っていた千葉のいとこに、シカ肉のレトルトスープを送った。すると「元気になったよ」とお礼の電話をもらった。「山のものを食べた無添加のジビエ肉なので犬の体にもよさそう」と笑う。

 シカやイノシシが畑や田んぼを荒らし、農作物への被害は深刻になっている。農林水産省によると、2018年度の被害額は101億円に上る。捕獲する頭数が高止まりしているだけに、ペット用としての活用にも関心が高まる。

 安芸高田市や庄原市で捕れたシカやイノシシの肉をインターネット販売する「フォレマ」(広島市中区)では、犬を飼っている人の自宅にジビエを月1回配送する定期便がある。1キロ3千円余りと、人向けの豚肉や鶏肉より高いが人気だ。小泉靖宜社長(43)は「高タンパク低脂肪なので健康志向の飼い主に受けている。アレルギーがある愛犬向けに買う人も多い」と言う。

 広島市中区の28(ニワ)カフェ&キッチンでは、シカの骨を丸1日煮込んで、サツマイモやブロッコリーなどを加えたスープをプラスチックのカップに入れて冷凍販売している。店の前の公園を多くの犬が散歩しているのにヒントを得て、1カップ660円で今夏に発売した。

 「老犬の食欲が回復した」「しっかり歩けるようになった」などと口コミが広がり、今では5、6個まとめて買っていく人も。犬向けのため調味料が入っていないが、味付けすれば人もおいしく食べられる。店の担当者は「ペット向けも地産地消のメニューを提供できたらうれしい」と話していた。(二井理江)

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この記事の写真

  • 犬に人気のシカのスープ(広島市中区の28カフェ&キッチン)
  • 煮込んだシカ肉を袋詰めするスタッフ(三次市三和町)
  • みわ375のペット用ジビエ商品。通販サイトツクツクの「わんこのジビエ」でも販売

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