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コロナワクチン「安全性は大丈夫?」 広島大大学院・坂口教授が解説

2021/2/16 19:32
「(新型コロナのワクチンを)接種できる時期が来たら打ちたい」と話す坂口教授(広島市南区)

「(新型コロナのワクチンを)接種できる時期が来たら打ちたい」と話す坂口教授(広島市南区)

 国内でも接種が本格化する新型コロナウイルスワクチン。「急ごしらえのようだけど安全性は大丈夫?」「そもそもどんな仕組みで予防できるの?」など、さまざまな疑問があるだろう。ウイルス学が専門の広島大大学院の坂口剛正教授に解説してもらった。(衣川圭)

 Q ワクチン接種でなぜ感染を防げるのですか。

 ワクチンは、大ざっぱに言うと「感染力をなくした病原体の一部」です。これは、私たちの体にとっては「敵」に当たります。ワクチン接種は、敵は何なのかを体に覚えさせる役割があります。体に備わった「免疫機能」がきちんと敵と認識し、敵(本物の病原体)がやってきたときに攻撃力を発揮するためです。

 これまでは主に二つのタイプのワクチンが使われてきました。一つは、ウイルスの毒性を弱めた「生ワクチン」で、はしかと風しんのMRワクチンなどです。もう一つが、インフルエンザワクチンなどの「不活化ワクチン」。ウイルスを分解して毒性をなくしたタンパク質を用います。新型コロナで最初に用いるのは、RNAワクチンと呼ばれる新しいタイプです。

 Q RNAワクチンとは、どんなものですか。

 ワクチンに用いるmRNA(メッセンジャーRNA)は「こんなタンパク質を作って」と指示する設計図のようなものです。RNAワクチンは、体内に設計図を送り込み、ウイルスの一部のタンパク質を作らせて、姿を覚えさせます。実際のウイルスを体内に入れないので、感染することはありません。

 遺伝子の並びが分かれば、ほぼ人工的に作れます。だから未知のウイルスが現れて1年以内の短い間で開発できました。変異株にも対応しやすいと言われています。将来的に多くのワクチンがmRNAタイプに変わるかもしれません。欠点は、RNAは簡単に壊れてしまうこと。ワクチンをごく低温で管理するのは、分解を防ぐためです。

 Q 肝心の有効性は?

 米ファイザー社のワクチンは、臨床試験で発症リスクが95%減るという結果が出ました。50%前後と言われるインフルエンザワクチンと比べても、かなり有効性が高いという印象です。ただ、効果が持続する期間はまだ分かりません。インフルエンザのように、必要に応じて定期的にワクチン接種するようになるのではないかと予測する人もいます。

 Q 副反応が心配です。

 筋肉まで針を刺すので痛く、腫れの報告も多いそうです。怖いのは、アナフィラキシー症状です。症状はじんましん▽急激な血圧低下▽のどの腫れによる呼吸困難―など。新型コロナのワクチンによるアナフィラキシー症状は20万回に1回の頻度で起こり、一般的なワクチンよりはやや高い。ただ、ペニシリンなどの抗生物質と比べると、すいぶん低い割合です。

 アナフィラキシー症状は主にアレルギーのある人で起きています。アレルギーのある人は主治医と相談して接種するかどうかを決めてもいいでしょう。症状の出やすい接種後20〜30分は慎重に様子をみます。症状が出ても、アドレナリン投与などの適切な処置をすぐ行えば、命にかかわることはほとんどありません。

 ワクチン製造の歴史では、中途半端な免疫しかできず、感染した人がかえって悪化した事例もありました。ただ、新型コロナのワクチンを先行接種している国では、想定外の問題は起きていないようで、現時点では安全性は高いと言えそうです。接種は強制されるものではありませんが、私自身は打つつもりです。

 Q 接種後もマスクは必要ですか。

 接種と自然感染で50〜70%の人が免疫を獲得すると、爆発的な感染を防げるとみられます。それまでは接種しても、マスクや手洗い、3密回避といった基本の感染予防は続けましょう。免疫を得るまでは数週間かかり、接種後すぐには効果が上がらないことも知っておいてください。

 今までもさまざまなウイルス感染症を、ワクチンで防御してきました。ワクチンが行き渡ると、日常を取り戻せると期待しています。ただ、新型コロナウイルスの根絶は無理でしょう。通常の風邪のように、このウイルスと共存して暮らしていくのが、これから目指す姿です。 

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  • <上>「新型コロナウイルスのワクチン」のラベルが貼られた瓶。ファイザーはRNAワクチン<下>アストラゼネカはウイルスベクターと呼ばれる種類のワクチンだ(ロイター=共同)

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