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夫が感染した広島の50代女性 【コロナ体験者の声から】

2021/5/25 22:27

 家族が新型コロナウイルスにかかったら、どう支えたらいいのだろう。広島市南区の50代のパート女性が寄せてくれた実体験が、参考になりそうだ。夫が昨年の暮れに感染。流行の「第3波」が押し寄せ、医療現場も行政も混乱する中、自身の身を守りながら必死にケアしたという。

 ▽寝室に「隔離」、食事も別々 ホテル療養中は宅配でしのぐ

 夫は週末に38度近い熱を出した。休日当番医に電話すると、車中での問診は引き受けてくれたが、PCR検査は「院内感染が起きかねない」と拒まれた。この医院に勧められた別の病院は「うちは発熱外来はやっていません」と言う。かかりつけ医にも断られ、やっと受けてくれたのは4カ所目。陽性が分かったのは、発症から4日後だった。

 この日、保健センターから電話がかかってきた。親身な口ぶりに初めて心が落ち着いたものの、ホテル療養の希望はかなえてもらえなかった。調整に時間がかかるらしい。自宅には10代の息子もいる。感染させるわけにはいかないと、夫は寝室に「隔離」し、ケアは女性一人で担うことにした。

 とるべき対策はネット情報に頼った。夫の食事は寝室に運び、食器を下げる時は手袋を着けた。夫がトイレを使うたび、掃除と換気を徹底。ごみは袋の口を縛って出してもらった。夫には長年患う持病もある。急変が怖くて、何度も様子を見に行った。「私も感染しているかも」と息子との接触も避けた。食事も時間をずらし、別々に食べた。

 夫は幸い、年明け早々に療養ホテルへ入り、その直後に女性と息子もPCR検査で陰性が分かった。ただ夫は療養中も食事に困ったようだ。コロナのせいか、例えば麺類は「ゴムを食べているよう」。食品によっては味がしないという。差し入れをしたくても、女性は濃厚接触者。外出機会が限られる。高齢の親にも頼れない。女性が持たせたインスタント食品が切れると、夫はスーパーの宅配サービスを使ってしのいだ。

 心配した後遺症は出ず、一家はいつもの生活を取り戻した。だが女性は「またいつ同じ状況になってもおかしくない」と言う。夫は外食を絶ち、会社でも「孤食」に努めていた。感染経路は不明のままだ。女性は「なかなか医療につながれず不安でしたが、感染者が急増する今も似たような状況ではないでしょうか」と案ずる。(田中美千子) 

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