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給食の完食指導、心に傷 「会食恐怖症」に反響 

2021/6/11 18:53
グラフィック・大友勇人

グラフィック・大友勇人

 3日のくらし面で掲載した「会食恐怖症」の記事に、無料通信アプリLINE(ライン)やメールで読者から多くの反響が寄せられた。同じ症状で苦しんでいるという声や、学校給食での「完食指導」への疑問が相次いだ。

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 ▽当事者の声 外食できず交友も制限/一口ごとに苦しみ、家でも

 「私も一緒。空腹で挑んでも外食は吐き気がして無理です」。広島県安芸郡の女子学生(22)はラインにつづった。きっかけは保育所と小学校の完食指導。「絶対に残してはいけない雰囲気で地獄だった」と振り返る。今も食事中は相手に分からないよう、膝にこっそりティッシュを広げ、食べられない物を包む。残したり捨てたりという罪悪感から「自己肯定感は地に落ちています」と打ち明ける。

 広島市の女性(58)も、小学校の完食指導の影響で全く外食ができず、家でも夫とは別々に食事をする。人がいる場所では緊張して吐き気を催すため、同窓会や誰かとお茶をするのは「もってのほか」。長時間の仕事もできず、友人もほとんどいないという。

 記事で紹介した女性のようにトイレで昼食を食べていたという広島県の30代主婦は、「食事が常に恐怖です」と寄せた。小さい頃から食べるのが遅く、家でも学校でも完食するまで席を立たせてもらえなかった。大人になっても、相手を待たせるんじゃないかとのプレッシャーを感じ、誰かと向かい合って食べることができない。

 「中学3年の娘が書かれている通りの症状に8年も苦しんでいる」とつづったのは下松市の女性(50)。小学校では担任が交代するたび、給食の量を減らしてもらうよう頼んでいたが「少量」の基準は人それぞれ。理解がない先生もいた。娘は必死で食べた翌日からは登校できず、今も学校では「赤ちゃんのご飯かというくらいの量」しか受け付けない。家でも一口ごとに体を傾けて、苦しそうにのみ込む姿を見るのがつらい。

 ▽現在の状況 食べきるまで昼休みなし/「残食ゼロ」クラスで競う

 「今も給食の完食指導はなくなっていない」という声も多かった。広島県府中町の40代女性は、小学3年の息子を心配する。息子の学校では食べきるまで昼休みや掃除時間も居残りさせられる。洋風の味付けが苦手な息子は毎月の献立表をチェックし、チーズやマヨネーズを使った献立の日が近づくと腹痛を訴え、学校に行きたくないと泣く。

 息子に給食への恐怖心が植え付けられたのは小学1年の頃。「残食ゼロ」へのこだわりが強い担任は、食べられない子の口までスプーンを運んだ。近くの小学校でもクラスごとに「残食ゼロ」を競わせていると聞く。「食はデリケートな問題。成長してから外食できなくなるケースがあると知り、不安でなりません」

 娘が小学生だった6年前を思い出したというのは広島市東区の女性。娘は体調によって食べられない日があったが、担任の配慮は一切なし。親が頭を下げて渋々了承をもらったが、毎日給食時間になると娘は教室の前に立たされ、「自分が残した分を誰か食べてください」と懇願させられた。「こんな指導では食べることが嫌いになるばかり。教育委員会はもっと現場の状況を知って」と訴える。

 中国新聞デジタルで記事を読んだ全国の読者からも意見が寄せられた。

 東京都世田谷区の女性(41)は「小学6年の息子が通う学校では定期的に『残飯が少ないクラス表彰』が行われている」という。食べられない子には配慮がある一方で、元気のいい男子がその分を処理させられる。先日も息子が「もう無理」と言ったのに「まだ大丈夫」と、先生から魚のフライ7人分を食べさせられたばかり。クラスの競争心をあおる学校のやり方に疑問を感じている。

 千葉県の臨時採用の教員男性(28)からは、トレーに載った大量の給食の写真が届いた。3月まで勤めていた公立中では、担任が余った給食を体格のいい子に無理やり食べさせているという。残すことは許されず、子どもたちは牛乳やお茶で流し込んでいた。男性は「教師の考えを押し付ける『昭和のような指導』が今も日常的に行われていることを知ってほしい」と話した。(ラン暁雨)

 

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  • 千葉県の教員男性が撮影した給食の写真。ご飯とおかずが大量に盛られている
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