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アプリで「恋活」お手軽に 悪意を見抜くリテラシー必要【コロナ禍の中の恋愛】<上>

2021/7/18 20:36
グラフィック・末永朋子

グラフィック・末永朋子

 自粛生活で誰かと直接顔を合わせる機会が限られ、ネット上で恋人探しをする人が増えている。合コンや飲み会がなくなった代わりに、マッチングアプリでの「恋活」や「オンライン婚活」にシフトする若者たち。家にいながら手軽に、効率的に、異性と出会えるのが魅力のようだ。コロナ禍の中の恋愛事情を探った。(ラン暁雨)

 ▽3人と付き合っていた 23歳の会社員女性

 「私、この前まで彼氏が3人いたんです」。そう告白するのは広島市の会社員女性(23)だ。1人は遠距離恋愛中、もう1人は同業他社の先輩、3人目はマッチングアプリで出会った。「コロナ禍でデートの機会が減ったから、三股でもバレません」

 3人目の彼氏は関東出身で、広島への転勤を機に登録した。顔はかわいい子犬系でまあまあ好み。互いに社会人1年目で仕事の悩みを打ち明け合ううち、付き合う流れになった。

 週1回のデートでは食事やドライブに行ったが、楽しかったのは最初だけ。すぐに飽きた。真面目な草食男子で話がつまらない。LINE(ライン)を既読無視するようになり、そのまま別れた。罪悪感は少しあったけど「アプリでの出会いはリアルな人間関係と少し違う。出会いも別れもお手軽です」。後腐れのなさが楽という。

 使っているアプリは累計会員数が1千万人を超える。年齢や趣味、職業といった条件で異性を検索し、男女が互いに「いいね!」を送るとメッセージをやりとりできる。

 大学2年の時、彼氏に振られて登録した。当時は「遊び人がやるもの」「チャラい」というイメージ。恥ずかしくて秘密にしていた。でもコロナ禍以降、「私もやってる」と話す友人が急増した。対面での出会いが減り、オンラインの「恋活」にシフトしている。

 今も彼氏はいるが、アプリでの新規開拓は続く。通勤中や寝る前にスマートフォンで「いい男」検索するのが日課だ。「若い時期をコロナで棒に振るなんて損。遊びたいし、多くの人に効率的に出会いたい」と屈託ない。アプリで選んでデートして、嫌になったら即ブロック―。ライトな「インスタント恋愛」が加速している。

 ▽アプリデビュー 20歳の女子学生

 大学生の利用も目立つ。広島市の女子学生(20)は昨年、オンライン授業が始まったのを機にアプリデビューした。飲み会も合コンもバイトもない。県外出身で友人の輪が広がらない。孤独を埋めたかった。

 かつての「出会い系サイト」のような怪しさがないのは、「アプリ」という軽やかな響きもあるのだろう。コロナ禍で登録者が増えているようで、1日当たりのマッチング数も伸びている。居住地で検索すると、知り合いの男性が何人も表示されて驚いた。

 感染の第3波が広がった昨秋、福山市の大学生と恋人同士に。アプリのビデオ通話機能を使って同じ映画を見たり、食事したりする遠隔デートを楽しんだ。クリスマスには実際に会ったが、だんだんと会話が減り5カ月で自然消滅。それでも「少し離れた地域の人と知り合えて新鮮。モニター越しでも恋できる」と前向きだ。

 趣味や好きな食べ物など等身大の自分が伝わるプロフィルに差し替え、次の出会いに備えて「自己PR力」を磨く。コロナ収束後も、アプリとリアルな出会いを合わせた「ハイブリッド型」で恋活する予定だ。

 ただ、登録のハードルが低いからこそのリスクもある。写真を加工して実際に会ってみたら「別人」だったり、プロフィル詐称をしていたり。いくらでも盛れるから虚実の境はあいまい。性行為が目的の「やりモク男」や不倫相手を探す既婚者も少なくない。

 ▽会ってみたら「勧誘」された 24歳女性

 広島市西区の女性(24)は、詐欺まがいの「マルチ商法男」に会った。2歳上の爽やかなイケメン。高級スーツを着て、いつもおいしい店に連れて行ってくれた。「若いのに羽振りがいい。どんな仕事なんだろう」。不思議に思っていると唐突に勧誘が始まった。

 「カジノアプリで稼げる」という触れ込みで、会員になると紹介者にお金が入るねずみ講のような仕組み。「興味ない」と断っているのに、「やらない理由ないでしょ!」としつこかった。事務所に連れて行かれそうになり、怖くなって逃げた。

 ラインをブロックして連絡を絶った。それからはアプリのアイコン写真でブランド品に身を包んでいる男は警戒している。女性は「彼氏が欲しいという気持ちに付け込まれた」と憤る。「異性と簡単に出会える分、悪意を持つ人を見抜くリテラシーが必要。アプリは全て自己責任ですね」

 ■アプリ利用率、1年で倍

 マッチングアプリが、コロナ禍の中で存在感を増している。MMD研究所(東京)が2020年9月、20〜40代の未婚男女1453人を対象にした調査では、マッチングアプリを使ったことがある人の割合は57.1%に上った。19年調査の30.2%と比べ、1年で利用率が倍近くになっている。

 使っているアプリを聞いたところ、「Pairs(ペアーズ)」が60.5%で過半数を占めた。「タップル」(34.5%)、「with(ウィズ)」(26.5%)、「Omiai(オミアイ)」(23.8%)、「Tinder(ティンダー)」(19.1%)と続いた。

 オンライン上で性被害やいじめに遭ったことはありませんか。

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