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自宅で婚活、コスパ良し マッチング失敗の切なさ薄く【コロナ禍の中の恋愛】<下>

2021/7/19 19:47
グラフィック・末永朋子

グラフィック・末永朋子

 ▽誠実な人を希望 38歳女性

 6月下旬、広島市南区の女性(38)が、自宅でスマートフォンに向かっていた。手にはアイスコーヒー。「休みの日って何してますか」「仕事はどんな内容?」。リラックスした表情で会話する。オンライン婚活への参加は2回目になる。「コロナへの感染リスクもないし、家にいながら婚活できる。こんな出会いもありですね」

 ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」の画面越しに、身分証を提示すれば準備完了。男女計14人が顔を合わせた。司会者から「笑顔を忘れずに」「質問は遠慮なく」と助言を受け、1対1のトークタイムに臨む。勝負服に選んだのは、顔映りのいい薄緑のワンピース。モニター越しでは暗く映るので、口紅も明るめにした。

 画面には自分と相手だけ。他の参加者を気にせず話せる。最初はぎこちなかったが、少しずつ打ち解けた。「紅茶を飲みながら海外ドラマを見るのが好き」「僕は草野球が趣味です」「すごーい! 私、運動神経ないからスポーツできる人に憧れます」。マスク要らずで表情が分かりやすい。会話も弾んできた。

 5分ほどで相手が入れ替わる。その都度、相手のプロフィルと会話の内容を忘れないよう、手元の手帳にメモする。対面のイベントではできない「裏技」だ。トークが2周すると2時間の婚活も終盤。少し悩みつつ、気になる人を第1から第3希望まで書いて投票した。

 婚活を始めたのは2年ほど前。離婚経験があり、老後に不安を感じ始めた。元夫の浮気が原因で別れたので「次は誠実な人と出会いたくて」。でもコロナ禍以降は、イベント自体が減って「婚活難民」状態に。医療機関で働いており、感染には人一倍気を使う。家と職場を往復する日々に焦っていた時、見つけたのがオンライン婚活だ。

 この日のマッチングは女性を含めた4組。年下の会社員男性と連絡先を交換し、お茶を飲む約束をした。途中、通信が不安定で声が途切れたり、会話でタイムラグが生じたりしたのはストレスだったが、やはりメリットは大きい。

 場所代や飲食代がない分、参加費は対面イベントの半額くらい。「移動の疲れもないし、夏場にメーク崩れを気にしなくていいのも助かります」。「コスパの良さ」がうれしい。

 ▽37歳カップル 「運命の出会い」

 オンライン婚活で結婚したカップルもいる。「30代後半の大事な時期に、チャンスを逃さずに済んだ」と話すのは、広島市安佐南区の男性(37)と岩国市の女性(37)。広島県主催のイベントで昨夏に出会い、今年5月に婚姻届を出した。

 2人とも、感染対策のために家族以外の人に極力会わないよう、職場から厳しく言われていた。しかし、年齢を考えると長期の婚活中断は痛い。アラフォーの1年は20代とは重みが違う。「不要不急」とは思えなかった。

 女性は最初はオンラインに抵抗もあったが、男女4対4の少人数制で余裕を持って話せたという。もともと対面パーティーで、女性の周りを男性がぐるぐる回って交流する「回転ずし婚活」には苦手意識があった。全員と話し終わる頃には、誰が誰だか分からなくなる。

 2人は「ネット環境さえ万全なら対面よりいいかも」と声をそろえる。オンライン上では自室に張られた野球チームのポスターなどで趣味が分かるし、家での素の雰囲気も伝わる。誰ともマッチングせず、とぼとぼ帰路に就く切なさもない。互いが出会ったイベントでは、すぐに意気投合。実家が近いことも分かって親近感が湧いた。

 マッチング後は、電話とメールで仲を深めた。仕事のことや理想の夫婦像について、じっくり価値観を擦り合わせた。デートは県境の公園で互いの車に乗って窓越しに話す「ドライブスルー方式」。実際会ってみると「画面で見る以上にすてき」「話が合う」とさらに気持ちが盛り上がった。

 今はまだ別居婚だが、来月には広島市内で新婚生活を始める。「コロナ禍でも諦めずに活動できたのはオンラインのおかげ。運命の人に出会えました」と見つめ合った。(ラン暁雨) 

 ■結婚したくなった人、増加

 コロナ禍の中でも、婚活熱は衰えていない。リクルートブライダル総研(東京)の調査では、コロナ禍以降、「結婚したい気持ちが高まった」と答えた独身者は41・6%。「恋人が欲しくなった」という回答も37・5%あった。総研長の落合歩さんは、「自粛中に将来をイメージする時間が増え、誰かと過ごす貴重さに気付いた人が多い」と指摘する。

 オンライン婚活についても「費用が抑えられる(45・5%)」「周囲の目を気にせず会える(35・8%)」「時間が自由(35・6%)」と肯定的な声が多かった。落合さんは「合理性を求める今の社会にフィットしている」とみる。リアルな対面以上に言葉によるコミュニケーションの比重が高まるため「外見や職業に惑わされず中身を冷静に評価しやすい」と分析する。

 一方、厚生労働省によると、2020年の婚姻件数は前年比12%減で戦後最少となった。雇用情勢の悪化が影響しているとみられる。

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