くらし

窃盗繰り返し9回逮捕された70代男性 再犯防ぐ支援とは

2021/9/17 19:12
広島市内の自宅で、荷札作りをして過ごす元受刑者の70代男性

広島市内の自宅で、荷札作りをして過ごす元受刑者の70代男性

 孤立や生活苦などが原因で、罪を犯して逮捕された高齢者や障害者に対する支援の大切さが注目されている。刑務所の出所後にサポートするこれまでの「出口支援」に加え、重視されつつあるのが容疑段階などから福祉サービスにつなぐ「入り口支援」だ。厚生労働省は本年度、各都道府県にある地域生活定着支援センターの事業として入り口支援に注力し始めた。住居や仕事探し、公的支援の手続き…。再犯を防ぐため、生活を立て直す福祉サポートの充実が求められている。

 広島市内で1人暮らしをする元受刑者の70代男性は窃盗を繰り返して9回逮捕され、何度も刑務所に入った。「人間として駄目だと思う。でも金に困るとつい…。自分一人でどうしたらいいのか分からなくなり、眠れないこともあった」

 中学を卒業して土木工事の現場で働き、大型の重機も操った。結婚したが、景気の低迷で仕事を失って離婚。各地を転々とし、数人の仲間と置引をして逮捕された。刑期を終えて仕事を探しても、なかなか見つからない。「生活のため」に窃盗を重ねたという。

 保護観察所を通じてつながったのが、元受刑者たちを支援するNPO法人風の家(広島市中区)だ。住居探しや生活保護申請のサポートを受け、自宅でできる軽作業を仲介してもらった。精神障害があるため、苦手な金銭管理も頼んでいる。「支えがあると助かる。ぼちぼちでも今の生活を続けていけたら」と感謝する。

 この男性のように出所後に受けるサポートは「出口支援」と呼ばれる。都道府県の地域生活定着支援センターが中心になって取り組むが、民間団体が担うこともある。一方で「入り口支援」は、逮捕などの容疑段階や、公判前からサポートに入る。生活の自立が困難な高齢者や障害者について、検察庁や保護観察所が地域生活定着支援センターに連絡し、センターの職員が本人と面会して支援を調整する仕組みだ。

 法務省の犯罪白書などによると、刑法犯の高齢化が進んでいる。2019年に摘発された高齢者は4万2463人で全体の22・0%を占め、10年間で7・6ポイント増えた。窃盗を中心に再犯率も高く、刑務所に2回以上入る割合は71・4%(17年)で、65歳未満を13・7ポイント上回る。また、精神障害のある受刑者は、刑務所に複数回入る人が65%を超すというデータもある。

 この現状に、風の家の大原嘉樹理事長(77)は「罪を犯すのはいけないが、人生の再スタートに手助けが必要な人もいる。支援は早いほどいい」と話す。身寄りがなく、どう公的支援の手続きをしたらいいのか分からない人は少なくない。精神障害などで収入の管理ができずに使い果たしてしまい、生活が苦しくなって犯罪に走る人もいる。

 ▽「真面目に暮らそう」。そう思っていた
(ここまで 1128文字/記事全文 2439文字)

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  • 大原理事長(右)と近況を語り合う元受刑者の40代男性(広島市中区の風の家)
  • 「再犯を防ぐには、福祉のいち早い支援が鍵を握るケースが少なくない」と話す高原代表理事
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