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乳幼児はマスク困難…コロナ感染対策、悩む保育施設

2021/9/20 19:36
保護者から健康観察表を受け取る「第二みみょう保育園」の保育士。同居家族の健康状態も書いてもらう=広島市南区、撮影・山田太一(画像の一部を修整しています)

保護者から健康観察表を受け取る「第二みみょう保育園」の保育士。同居家族の健康状態も書いてもらう=広島市南区、撮影・山田太一(画像の一部を修整しています)

 新型コロナウイルス感染が子どもにも広がり、広島県内の保育施設では夏以降にクラスター(感染者集団)が増えている。また、利用する乳幼児の感染が分かって臨時休園する施設も多い。乳幼児は、マスクを着けるなどの感染対策の徹底が難しい面もあり、各施設は苦心しながらクラスターが発生しにくい環境づくりに工夫を凝らしている。

 今月上旬の平日午前8時半すぎ、第二みみょう保育園(広島市南区)では、登園した園児と保護者が健康観察表を保育士に手渡していた。

 ▽観察表にせきや体の痛みなど6項目

 観察表では、子どものせきや体の痛みなど6項目に「ある」「なし」で答えてもらっている。家庭内感染の増加が目立つ中、家族の体調や県外へ行く予定も記入してもらっている。県外へ行った親には、PCR検査を受けるようお願いし、陰性と分かるまで園児の登園を自粛してもらう。

 対策に力を入れるのは、クラスターを防ぎたいからだ。広島県内ではことし4月以降に福山市と広島市などにある保育施設と幼稚園で計10件のクラスターが起きた。規模は5〜14人。感染の広がりが乳幼児の間だけの場合と、乳幼児と職員の両方のケースがある。

 この10件の発生時期は8月以降に集中している。6件が起きた福山市の保育施設課は「クラスターの特徴を分析できておらず、なぜ多発するのか分からない。換気の強化や職員のマスク着用を徹底するように施設に伝えている」と話す。クラスターではないものの、園児や職員の感染によって数日間の臨時休園をする園も目立つ。全国でも、9日時点で臨時休園している保育園やこども園は126カ所に上る。

 第二みみょう保育園で主任保育士を務める岩槻由紀さんは「突然の休園は、保護者の仕事に大きな支障が出る。クラスターが起きると休園期間も長くなりそうなので、何としても避けたい」と話す。

 ▽「近づいては駄目」と言えない

 広島市内の別の保育園では人の流れを抑えている。保護者が子どもの教室内に立ち入ることや、子どもの誕生日会への参加を遠慮してもらっている。

 ただ、園長によると、乳幼児自身に感染対策を徹底させるのは難しいという。予防の要のマスクについては厚生労働省は窒息の恐れなどがあるため、2歳未満の着用を推奨しないとの見解を出している。この園では4歳以上は着けるルールにしているが、遊びに熱中すると外してしまう。マスクをしない年齢の園児が大声で泣き、心配した園児が周りに集まることもある。

 園長は「思いやりが育つ場面。感染対策として『近づいては駄目』と言えない」と話す。

 園児同士の距離を十分に保ち続けるには、全員が一斉に着席してお絵描きなどをするのがいい。ただ、現在の保育では園児の主体性を重んじるのが主流だ。折り紙やブロックなど複数のコーナーから自分で遊びを選ぶ。園児は自由に動くので、距離を保ちにくい。

 園長は他の園のクラスターを知ると「『うちでも起きたらどうしよう』と考えて一日も気が休まらない」と打ち明ける。

 保育施設のクラスターはどうすれば防げるのか。広島県感染症・疾病管理センターの桑原正雄センター長は「マスクを着けずに密になるので、親は少しでも体調が悪い子どもを登園させないでほしい」と話す。

 幼い子どもは新型コロナにかかっても無症状か軽症で、風邪と間違えられやすい。園内で「風邪」として広がった新型コロナが家庭に持ち帰られ、重症化リスクが高い家族にうつることも予想される。桑原センター長は「保護者は子どものだるさや不機嫌という不調のサインに気付けるはず。兆候があれば、できるだけ早く小児科を受診してほしい」と話す。(治徳貴子) 

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