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<解説>拙速議論否めず 最終報告案

2014/12/25 8:35

 広島市の土砂災害の初動対応について、避難対策等検証部会は24日の最終報告案で、適切な避難勧告の発令時期や危機管理の組織体制の在り方に踏み込まなかった。7回約15時間の会合は、年内まとめのスケジュールを優先し、拙速な議論に終わった感が否めない。

 9月に始まった検証部会は、未曽有の災害の教訓を、これからの市の地域防災計画に生かすのが目的の一つ。最終報告案の提言は優先的な避難情報の伝達地域の設定など示唆に富み、一定の成果はあった。

 一方、大きな焦点だった、災害発生後となった勧告発令の適否は「やむを得なかったが、適切ではない」と玉虫色の結論だ。夜間の勧告発令の難しさは分かる。だが、行政の勧告は住民の避難を促すだけでなく、切迫する危険を知らせる意味合いも強い。被害を把握して1時間近く「警鐘」を発しなかった市の対応は、本当に問題がなかったのか。

 またこの日の会合に示された最終報告案では当初、「組織体制」の提言は空欄だった。結局、最終日にメンバーが発した意見が、深い議論もないままで反映されるという。行政の在り方の議論にしてはあまりにお粗末だろう。

 そもそも本年度末の地域防災計画の見直しは、8月の災害発生前からの「既定路線」だった。計画見直しを見据えた日程ありきの結論なら本末転倒だ。74人の犠牲者と1万人を超す被災者の視点に立てば、到底納得できない。(和多正憲)


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