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【広島土砂災害を追う 第6部 継ぐ】<5>救助 殉職の仲間、胸に訓練

2015/6/25 10:50

訓練でがれきに埋まった負傷者を運び出す佐伯消防署員

 がれきの山に、二次災害の前兆を知らせる消防隊員の鋭い笛の音が響いた。同時に「斜面から小石が落ちている。緊急退避せよ」と声を張り上げる。負傷者を捜索していた消防隊員と警察官が一斉に安全な場所に駆けだした。

 ▽再発防止誓い、危機管理徹底

 二次災害で亡くなったベテラン消防士の尊い犠牲を無駄にしたくない―。10日、土砂災害のがれきが仮置きされたまま残る広島市佐伯区の市消防局訓練場で土砂災害を想定した訓練があった。緊張感が張り詰める中、佐伯消防署と佐伯署の両署員が安全を確保しながら救助作業を進める手順を確かめた。

 ▽検討委が改善策

 土砂災害では、安佐北区可部東6丁目で土石流に巻き込まれた安佐北消防署の政岡則義さん(53)が殉職した。幼稚園児畑中和希ちゃん(3)を救出する途中、2度目の土石流にのまれた。政岡さんは二次災害を警戒し、土石流の流れに対して直角に移動するセオリー通りの行動を取っていた。しかし、2度目は、倒壊した家屋などにぶつかって流れを変え、背後から2人を直撃した。

 殉職を受け、市消防局は昨年10月、幹部や現場責任者たち20人でつくる検討委員会を設置。11月まで4回にわたり、原因究明や再発防止策などについて議論を重ねた。検討委は土砂災害の専門家を招いた研修、災害の前兆をいち早く把握する警戒員の配置の徹底などの改善策をまとめた。

 救急隊を除く市内の全消防隊90隊を対象に3月と5月、安全管理に特化した訓練を実施した。災害現場で部隊を陣頭指揮した佐伯消防署の片岡吉典・警防司令官(55)も参加。「二度と殉職者を出したくない。教訓を、新たに入隊する若い人たちに教育、継承することが大事だ」と力を込める。

 同様に人命救助や行方不明者の捜索に当たる広島県警。被災地が管轄内にある安佐南署は土砂災害への備えを強める。チェーンソーの扱い方の講習や災害警備対策本部の図上訓練などに取り組んだ。

▽「安全を誓う日」

 同署では23日、災害の救助などで役立つロープの結び方を確認する訓練があった。災害などで臨時に招集される同署第2機動隊の隊員約20人が、木に固定して斜面を下りる時に必要な結び方などを体験した。岸聡巡査部長(29)は「災害を経験し、どんな場面で役立つかを、より具体的にイメージしながら訓練に臨むようになった」と話す。

 目の前で土砂に埋まった仲間の救助に当たり、大きなショックを受けた消防隊員もいる。しかし、その死を胸に刻み、後世に伝え続けることを決めた。和希ちゃんを抱きかかえるようにして政岡さんが逝った8月20日。市消防局は毎年この日を「安全を誓う日」に定めた。(浜村満大)=第6部おわり


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