トピックス

「あの日」に誕生、成長の喜び深く 有田さん長女あす1歳

2015/8/19 12:29

母の有田志穂さん(右)と昨年8月20日に生まれた紗代ちゃん

 広島土砂災害があった昨年8月20日、元気に生まれて周囲に笑顔を届けた赤ちゃんが、1歳の誕生日を迎える。当時、広島市安佐南区八木4丁目の実家に里帰りしていた有田志穂さん(40)=東区=の長女紗代ちゃん。両親は「命を大切にする人になってほしい」と願う。

 すくすくと育ち、3588グラムだった体重は8・25キロに増えた。「大きな病気もなく元気。気が強いんですよ」。有田さんは紗代ちゃんに温かいまなざしを向ける。

 あの日の午前1時ごろ、陣痛が始まった。外は大雨と稲光。寝ていた母親を起こそうかと思ったが、「今、病院に行くのは危ない」と思いとどまり、おなかをさすりながら朝を待った。母親の運転で濁流が流れる道を避けて、中区の病院に向かい、無事出産した。

 近くの八木ケ丘団地では10人が亡くなった。崩れた山肌や更地となった住宅跡をみると、被害の大きさを実感し、言葉をなくす。多くの人を悲しみに包んだ日に授かった命。喜ぶだけではいけない。複雑な思いもある。

 「大きくなったら災害のことを話そうと思う。どう話すかは、決めていないけれど」と有田さん。「とにかく元気に大きくなってくれたらいい」。つかまり立ちをする紗代ちゃんを優しく抱き上げた。(久保田剛)


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

広島土砂災害の最新記事
一覧

  • 3市6小学校区の基礎調査公表 土砂災害防止法で広島県 (6/30)

     広島県は土砂災害防止法に基づき、広島、尾道、三次の3市の計6小学校区での基礎調査の結果をまとめた。 西区山田▽安佐北区久地▽佐伯区湯来西▽尾道市旧田熊▽三次市甲奴、小童―の各小学校区。崖崩れと土石流...

  • ひょっとこ踊り、地域に元気 八木の60〜80代 (6/21)

     2014年の広島土砂災害の被災地、広島市安佐南区八木地区で、地域に笑いを届けようと活動するグループがある。60〜80代でつくる「八木ひょっとこ踊り同好会」。昨年2月に結成し、近頃は地域外にも出向いて...

  • 土石流センサー改良し運用再開 安佐南区 (6/9)

     国土交通省太田川河川事務所は8日、5月に3度の誤作動を起こした広島市安佐南区八木町の土石流警報装置(ワイヤセンサー)の改良作業を終え、運用を再開した。通信線の1カ所に小動物がかんだとみられる傷が確認...

  • 土砂災害に備え避難訓練 緑井の自治会、経路確認 (6/4)

     2014年の広島土砂災害で11人が亡くなった広島市安佐南区緑井7丁目の八敷地区で3日、避難訓練があった。地元住民でつくる自治会「八敷福祉会」の主催。参加者約150人が避難所までの経路を確認した。 午...

  • 防災と復興、思い一つに 広島市安佐南区で集い (5/31)

     広島県と広島市は30日、土砂災害防止県民の集いを広島市安佐南区の区民文化センターで開いた。2014年8月の広島土砂災害の被災地で災害に強いまちづくりに取り組む住民組織の活動発表などがあり、市民たち約...