コラム・連載・特集

オーバーワーク当たり前 山口県内、時給仕事支える留学生

2019/7/12 16:55
ネオンが連なる県内の盛り場で働く外国人留学生。店員の半数が外国人の店も=画像の一部を修整しています(撮影・山下悟史)

ネオンが連なる県内の盛り場で働く外国人留学生。店員の半数が外国人の店も=画像の一部を修整しています(撮影・山下悟史)

 人手不足を背景に国内各地で増加する外国人労働者。技能実習や特定技能など国の制度の陰に隠れながら、膨大な数の若者が地方の労働現場を支える。それは留学生。山口県内では約1300人に上るアルバイト留学生がきょうも夜の盛り場やコンビニエンスストアなどの時給仕事に汗を流す。

 「いらっしゃいませ」。県東部のレストラン。流ちょうな日本語のあいさつが響く。テーブルの上の皿を東南アジア系の外国人が手早く入れ替える。席に案内するのも外国人。店内を眺めるとどうやら半分近くは日本人ではないようだ。

 「この店では週20時間ね」。店員の一人でベトナム人の男子留学生(23)がいう。100万円の費用をかけて来日し、この店に出勤する前は工場でも働く。週40時間はバイトに費やし、手取りで月20万円稼ぐ。

 入管難民法は留学生が資格外活動として働ける時間を原則週28時間以内と規定する。違反すれば強制帰国もあり得る。だが、男子留学生は「知ってるけど守れば生活できない。友達もオーバーワークだよ。当たり前」と悪びれた様子はない。

 県内で働く外国人労働者のうち約17%を留学生が占める。職種の規制が緩いため、外国人技能実習制度が対象としないコンビニや飲食業界からの引き合いが強い。店員の7割が留学生という県東部の飲食店経営者(44)は「留学生には短く働いたことにしてほしいと頼まれる。他でもバイトしてオーバーワークなのかもしれないが、辞められたら困るので聞かない」と話す。

 文部科学省によると2018年5月現在、県内で留学生を受け入れる専門学校は5校。うち3校は学生の9割以上が留学生だ。大学では徳山大は229人(全学生の20%)、山口大は432人(同4%)。中でも萩市の至誠館大は全学生864人のうち8割以上の705人に上る。うち本校の4倍以上の693人が在籍する東京のサテライト校は全員が留学生だ。

 「ヤマグチ 行ったことない。稼ぐにはやっぱり東京だよ」。東京のサテライト校の前で中国やバングラデシュ、ネパールからの留学生をつかまえて話を聞いた。ある学生は「都会は時給が良い。結婚したばかりだからバイトで稼がないと」とあけすけに語った。

 「国際色豊かな高等教育機関を目指し留学生を受け入れている」と同大は方針を説明する。前身の萩国際大時代に大幅な定員割れとなったのを機に留学生の受け入れを拡大。所在不明になる中国人留学生が続出した。02年には100人を超す入学予定者に対し広島入国管理局がビザ取得に必要な在留資格を認めない騒動にも発展した。

 また、今年に入って東京福祉大では1600人を超える留学生が所在不明となっていることが発覚。留学生の受け入れを巡り、元総長が「120億の金が入る」と述べていたとの証言が飛び出す。少子化で経営難の大学にとって留学生は「金のなる木」との指摘も出ている。

 問題が相次ぐ一方、国は留学生の卒業後の国内就職率を5割まで高めることを計画。5月30日付で法務省告示を改正し日本語能力が高くオーバーワークをしていない卒業生に新たな在留資格を与え、飲食業界などで働けるようにした。これまでは基準が厳しく就職率は36%にとどまっていた。

 外国人労働に詳しいジャーナリスト望月優大さんは「留学生は規制が緩く使い勝手の良い労働力。来日までに借金を抱え、学費や生活費もかかり違法就労をせざるを得ない構造を生んでいる」と指摘する。

 「フレンドか日本」のこれまでの記事はこちら

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

フレンドか日本 外国人「門戸開放」と地域の最新記事
一覧

  • 【交論】外国人労働者受け入れ (2/3)

     外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が施行されてから、この春で1年を迎える。従来の技能実習制度を巡っては、国際貢献をうたいながら実態は人手不足の穴埋めで劣悪な働かせ方が横行しているとの批判...

  • 【インタビュー】外国人受け入れ拡大、是か非か (12/20)

     外国人労働者の大幅な受け入れ拡大を図る改正入管難民法が昨年12月に成立してから1年。政府が「移民政策はとらない」との立場を取る中、なし崩し的に地域や職場で国際化が進む。外国人労働者や移民の受け入れに...

  • 改正入管難民法、成立1年余 移民化警戒、家族帯同認めぬ政府 (12/17)

    [出稼ぎは身一つで] 「都合良く追い返す」懸念 人手不足の工場などで働く外国人は20、30代の若者が多い。晩婚・少子化の日本と比べ、人口が増加する東南アジアでは多くが結婚、子育てをしている世代に当たる...

  • 山口県が初の外国人雇用調査 「国際貢献」目的ほぼ皆無 (10/9)

     外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が4月に施行されたのを受け、山口県が初めて外国人雇用の実態調査をまとめた。技能実習生の雇用が約6割を占め、「人手不足」の穴埋めと答えた企業が最も多かった...

  • 技能実習、日立に改善命令 入管庁など、計画外の作業従事 (9/7)

     出入国在留管理庁と厚生労働省は6日、日立製作所(東京)が笠戸事業所(下松市)でフィリピン人技能実習生に対し、技能を学べない単純作業をさせ、技能実習適正化法に違反したとして、日立に改善命令を出した。 ...